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とあるスピーチ

部屋の整理をしていると、昔使っていたUSBをみつけた。
新卒で入った会社の課題や週報、当時の旅行の写真などが入っている、20代のこそばい記録。
そのなかに、親友(同期で5年間同居していた)の結婚式のために作成したスピーチがあった。

(略)
話は変わりますが、実はわたしは半年前に***(彼女と一緒に働いていた会社)を辞め、今はワインを扱う仕事をしております。この転職を一番に応援してくれたのもK(親友)でしたね。ワインを嗜まれている方はご存知かとは思いますが、ワインと料理をマッチング(ペアリングっていう言葉をまだ知らなかった)させることをマリアージュといいます。フランス語で結婚という意味です。マリアージュの方法はふたつあり、似たものを合わせる方法、正反対のものを合わせる方法です。たとえば、似たものを合わせる方法は、白身魚や鶏肉料理など白い料理には白ワインを、砂糖を使う甘いデザートには甘口ワインをあわせます、逆に正反対のものを合わせる方法は、脂っこい料理に対し、酸味や泡の刺激のあるワインや渋みのある赤ワインを合わせます。この方法を学んだときに、まるで人間同士のようだと思いました。似たもの同士がうまくいったり、正反対の性格のカップルがうまくいったりするように。お客様にワインを勧めるときに、好みを聞くのはもちろんですが、合わせたい料理をお伺いすることもあり、たくさんのワインから目星をつけます。ワインと料理にたとえるのは失礼かとも思いますが、Tさん(新郎)さんは優しく、いざという時にとても頼りになるというKの話や今の二人を見ていると、KとTさんは、きっと似たもの同士のマリアージュだなと感じました。しかし、マリアージュは最終的には料理を食べ、ワインを口にしないとわかりません、もちろんうまくいくときばかりではありませんが、ふたつが一緒になることで、また新たな発見や感動が生まれるのは間違いありません。(中略)

Tさん、いろいろお願いをしましたが、悔しいですが私たちの5年間を超える楽しい日々を、Kと過ごしてください。
二人がすばらしいマリアージュの相手となり、幸多き結婚生活を送られることをお祈りして、お祝いのご挨拶とさせていただきます。

ベタ!若い!こそばいよーと思うけど、結婚に対してすごく理想をもっていて、とにかく純粋な気持ちで、結婚に向かう彼女のことを祝福していた。
当時は結婚願望はなかったけれど、この後ずいぶん経ってから私も結婚して、いろいろ経験して、これを読むと、ほんとうに自分が書いたのか、と思う。

はあ~っ、時間って…、年月って…、むごい。
今は「ワインのマリアージュのほうが何倍も簡単だわっ!」って思う。歳をとると、自分がこじらせるようになってしまうからな。
このUSBはまたしばらく開く予定はないから、ここに残しておこう。

青い自分。