里部あずみ

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『御無沙汰』のその先

9月4日。 私の祖母の誕生日。 本人は自分がいくつになったかはおろか今日が自分の誕生日であることさえ分かっていない。 およそ一年前。 拙作『御無沙汰』が第7回せんだい短編戯曲賞の最終候補に残りました。 残念ながら大賞には選ばれませんでしたが、今年の春先には他の最終候補作品とともに冊子化されました。 4月末には神奈川県相模原市にて初演となるリーディング公演もありました。 自分の書いたものが形になっていくのを見て、改めて劇作りに携わりたいと強く感じた一年でした。 そんな『御無

    • a decade ago.

      6時間目は理科。 担任が電磁石やらコイルやらについて話してる。 右耳から左耳へ垂れ流していた私は机に落書きをしていた。 隣の級友はというと――やはり机に落書きをしていた。 ふと机がカタカタと揺れた。 級友が消しゴムでも使ってるんだろう。 そう思いながら左に目をやるが彼は黙々と机に落書きを続けていた。 消しゴムじゃない。 揺れは止まらない。 「先生、地震!」 その刹那。 教室が、校舎が、大地が大きく揺れた。 すぐさま机の下に潜る。 電気は止まった。 物が落ちてくる。 金魚

      • ちょうど一年前に「御無沙汰」を書き上げました。

        はじめまして。里部あずみと申します。 落ち着かないこのご時世ではありますが、この度、私の処女作である「御無沙汰」が第7回せんだい短編戯曲賞の最終候補作品に選出されました。 感謝の思いと同時に驚きが大きいです。 本当にありがとうございます。 この「せんだい短編戯曲賞」は公益財団法人仙台市市民文化事業団と仙台市が主催する戯曲賞です。 せんだい演劇工房10-BOXのホームページには以下のように説明されています。 この戯曲賞は一過性の懸賞制度に留まらず、多くの演劇の基盤ともいえる

      『御無沙汰』のその先