#39「誕生日」
つくづく、自分は誕生日下手だなあと思う。
「〇〇歳になりました」とSNSに投稿することひとつとっても、年によって「お世話になっている人たちへの感謝も込めて…」「今日くらいは主人公気分に…」とポジティブな面持ちで投稿できる年もあれば、「他の人にとっては平日だしなあ」「天皇誕生日でもあるまいし」と自分を腐して黙りこくって終えてしまう年もある。
それはその歳の誕生日近辺の自分の心持ちや価値観により左右されるので、けっこう毎年スタンスが違う。
どの本で(あるいは色んな本で)読んだんだったか失念したが、ある人は誕生日のことを「死に近づいているだけなのに何がめでたいのか、病気などで余命宣告を受けた人を哀れむけどそれと変わりないだろうと思っていた」と書いていた。
徹底的にドライに突き詰めれば、誕生日ってそういうことだなと納得した。
僕自身、祝われるのは嬉しい一方で、何も成さず、何も変わらず、ただたまたま今日がその日だからというだけでやんややんやするのが、少し不思議なような、不自然な感じもどこかでしていた。
思うに、こういうタイプの人間はなかなか幸せになれない。
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単に「誕生日」というものにフォーカスするとこんな文脈になってしまうが、少し見方を変えて「歳をとる」ということに関していうと、実はこれはさほど悪いことだと僕は思っていない。
執筆現在、僕は26歳だ。
正直、芸能やスポーツ、ビジネスの世界ですら、第一線で輝いている人たちの多くが歳下で、幼い頃から何かに夢中だったり、学生時代の早いうちから様々な挑戦を経ていたりする。
同じ歳の人たちを見ても既に大きな山をふたつもみっつも登った人たちだ。
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