ベイスターズ2020年ドラフトの振り返り

●はじめに

今回はベイスターズのドラフト結果を振り返っていきたいと思います。
まずはじめに言っておきたいことは、「2020年ドラフトはDeNA史上最高のドラフトとなる可能性がある」ということです。
この素晴らしいドラフトを事前予想から振り返ります。

●事前予想

2020予想

2020年のテーマとして、「投手力の充実と内野のコア確保」を挙げていました。
また、獲得人数やポジションは今シーズンの戦力外選手などの予想から、投手4・内野手2がベースなると考えていました。

●事前予想の答え合わせ(過去記事参照)

指名プランとしては、個人的にベストと考えていたA1のプランが最も近かったと思います。
しかし、牧・小深田がそれぞれ一巡下で獲れるとは夢にも思っておらず、予想以上の指名となりました。
単独を狙っていくと予想していたのに、入江の名前を挙げていなかったのは不覚でした…

以下で簡単なまとめ
・投手4・内野2→◎(予想通り)
・上位で先発確保はマスト→◎(誰でも分かる。入江を予想していなかったのが悔しい)
・牧→◎(2位まで残るとは。結果オーライ)
・高校生サード→◎(“タイプ的には左の強打というところで小深田が一番マッチします”と書いていたがまさか4位まで残るとは。2位でも獲れない可能性があると思っていた)
・即戦力SS・素材外野は優先度低→◎(割と望む声が多かったが、個人的にはそこまでとは必要とは思っていなかった)

・左のリリーフ→△(池谷はどっち?)
・高校生先発→△(松本・高田のダブル獲りは予想外。左2枚も予想外)

・1~3位で即戦力投手2枚→×(松本のところは大社と考えていた)
・左3枚獲り→×(右2左2の予想だった)

●過去のドラフトから

2020年のドラフトは、2017年~2019年の過去3年のドラフトのいいとこどりと言えそうです。

一本釣り 入江(東)
2位 大学生プロスペクト内野手 牧(伊藤裕)
3位 ポテンシャル高い高校生投手 松本(阪口)
4位 上位候補と言われていたが巡り合わせで獲れたプロスペクト高校生 小深田(東妻)
6位 なぜか残っていた高評価投手 高田(櫻井(5位)・浅田(7位))

5位の池谷は該当するところがありませんが、全体的に過去3年のドラフトをミックスし踏襲したものとなりました。

●獲得選手について

1位 入江 大生 投手 明治大学

今年もやってきた得意の一本釣りで入江を単独指名することができました。
入江の一本釣りについては物議を醸しているようですが、横浜以降の2位3位で残った大学社会人の投手は、
佐々木健・伊藤将・森・山﨑伊・佐藤蓮・藤井優・大道(以外と評価低かった)
ということを考えると、即戦力先発を獲りたかったら1位で確実に確保しておく必要がありました。
このような理由で、情報戦を制し入江を獲得できたことは大きかったと思います。

大学時代はドラフト1位としては登板が多くないものの、今年は名門明治のエースとして成長著しい選手です。
最速153キロのストレートにひととおりの変化球を持っており、まずは先発としてローテーション争いとなるかと思います。
トップを作るのが遅いところが不安なところですが、右打者のアウトローにしっかり投げきることができます。
また、インタビューを見ても人間的に素晴らしく、プロに入ってさらに成長することを確信しています。
ちなみに打撃もU-18に野手として選ばれたほどであり、横浜好みの打撃の良い投手でもあります。

将来像
まずは先発ローテ争い。いずれはローテーション投手。リリーフ適性も。

選手タイプ
井納翔一

2位 牧 秀悟 内野手 中央大学

まさかまさかの2位まで残っていました。
単独1位級の評価と言われていた選手を獲得でき、ガッツポーズでした。①
編成的にも、セカンドにソトを起用するということはヘルシーではなく、伊藤裕が現状結果を出せていないことから大アリと考えていた指名でした。
前述のとおり、即戦力先発は1位で確保する必要がありました。入江と牧を両獲りするにはこの方法しかなく、球団史に残る会心の指名だったと思います。

選手としては、強打のセカンドです。
大学時代は3年時に日本代表の4番を張り、壮行試合では西(阪神1位)からホームランを放っています。
そこまでホームランを打つタイプではありませんが、一定のパンチ力があるのでハマスタをホームとするベイスターズでは一発も期待できそうです。
それよりもこの選手が優れているのが、ミート力とアプローチの良さです。
3年春AV.400 K3 BB6
3年秋AV.361 K6 BB12
4年秋AV.333 K3 BB8
また、数は多くないものの毎シーズン盗塁を決めており、一定の走力はありそうです。
守備面は範囲はまだ分かりませんが、肩は強いです。
1年目からセカンドのレギュラー候補としての期待が持てる選手です。

将来像
5番セカンド。3割20本で打点を稼ぐ選手に。

選手タイプ
浅村栄斗

3位 松本 隆之介 投手 横浜高校

個人的には意外な指名だった選手でした。
横浜高校から高卒で入団するのは乙坂(2011年)以来となります。
即戦力投手でいくと考えていた3位で将来性に投資してきました。
(当時は大道が残っていたので獲ってほしいと思っていました)
ある程度投手は充実してきたというところで、この順位で高卒投手にいくことが出来たことはポジティブに考えたいと思います。

松本は左の長身投手で、最速は152キロとスペックとしては高校生屈指の選手です。
変化球もひととおり投げることが出来、将来の左のエースとして期待されます。
常に世代のトップランナーとして活躍してきた選手ですが、身体がまだ出来上がっていないということと、圧倒的な実績を残していないことからメンタル面に気を配りながら、慎重に育てほしいと考えています。
1・2年目は身体づくりをメインに50イニング程度を経験して3年目ごろから一気に一軍に出てきてくれればと思います。

選手タイプ
菊池雄星

4位 小深田 大地 内野手 履正社高校

よもやよもやの4位でした。
2位で獲得を希望していた選手を4位で獲得することができ、ガッツポーズでした。②
編成的に、強打のサードが今年の獲得ポイントで、左であればなお良しだったところで、ベストと考えられる小深田を指名することができました。
今年と昨年のドラフトで、セカンド牧、サード小深田、ショート森という将来のレギュラー候補を獲得でき、将来の青写真を描けるようになりました。

選手としては、左の強打者であり、サードを守ります。
現状打つだけの選手というところで、この順位まで残ったと思われますが、サードであれば走れなくても問題はないでしょう。
バッターとしては、長打力ももちろんありますが、それ以上にミート力に優れた選手です。
特にバットをボールに入れるラインがいいのが特徴で、横浜の先輩である佐野に近いスイングだと思います。将来は、3割30本を目指してほしいです。
1年目から2軍のサードとしてガンガン試合に出場し、4年目くらいから一軍で勝負できるようになればと思います。
宮崎の後継者として一番手の期待を持てる選手です。

選手タイプ
佐野恵太

5位 池谷 蒼大 投手 ヤマハ

「ほー、池谷できたか」
というのが率直な感想でした。
左の即戦力投手が欲しかったところで、高卒3年目の池谷に白羽の矢を立ててきました。
高卒3年目の社会人も指名が有力視されていた選手は多かったですが、実際に指名があったのは池谷だけだったというのは意外なところでした。
また、横浜は高卒社会人をあまり獲らないイメージだったので、その点では少し意外ではありました。

選手としては、真っ直ぐに特徴がある選手です。
スピードは最速147キロと現代では遅いほうに分類されますが、真っ直ぐでガンガン押していくスタイルです。
左投手は阪神岩崎のように、スピードではなく球質で抑える投手がいますが、池谷もその系譜かなと思います。
リリーフでも140キロ前後ながら、空振りを奪える特殊なストレートに期待しています。
入団交渉等では、リリーフとして考えれられているとのことなので、1年目から30試合くらいの登板で、将来はセットアッパーとして期待です。

選手タイプ
岩崎優(阪神)

6位 高田 琢登 投手 静岡商業高校

この選手を6位で獲っていいのか。
上位候補として松本と双璧だった高田を獲得でき、ガッツポーズでした。③
横浜得意の下位で残っていた好投手を今年も獲ってきました。
松本・小深田・高田と2位でもおかしくなかった(違和感のない)選手をそれぞれ獲得することができ、将来が非常に楽しみになります。
支配下指名選手は、比較的ミーハーですが、個人的にはとても好印象です。

高田は世代屈指の左投手です。
最速は148キロで変化球もひととおり投げられます。
フォームにもクセがなく、ビルドアップしていけば早い段階から一軍でも見られるのではないでしょうか。
今永に憧れているとのことなので、同期の松本や池谷とともに、競い合いながら成長してほしいと思います。
高田は松本と違い、実践経験を多く積みながら育成していくのがいいのかなと思います。
1・2年目はファームで80イニング投げて、3年目から一軍で登板できれば。

選手タイプ
石田健大

育成1位 石川 達也 投手 法政大学

おー、と思った指名でした。
そもそも法政から育成で指名するイメージが全くなかったので、驚きがありました。
ただ、育成で石川が獲れたことは良かったと思います。
ケガが多く、肉体的な部分もまだまだだと思いますが、しっかり作っていければ左のリリーフとなれると踏んでの指名ではないでしょうか。

横浜高校では、事実上の決勝といわれた寺島を擁する履正社戦に先発し、全国レベルの実力を示しました。
法政大学では、あまり登板が多くなく、スピードもそこまで上がらなかったのかなと思います。
持っているポテンシャルはあるので、身体作りをしていけば150キロも十分に見えてくるでしょう。
落ちる球を持っているので、リリーフとして一軍でみられることを楽しみにしています。

選手タイプ
濱口遥大(リリーフ)

育成2位 加藤 大 投手 横浜隼人高校

地元神奈川の選手を指名しました。
あまり映像がないので、評価することが難しいですが、とにかく真っ直ぐでガンガン押していく投手のようです。
東海大相模相手にも攻めていけるメンタリティーがあり、最速も151キロまで持ってきた部分を評価されたのでしょう。
プロでは勝負球を覚えて、2ピッチで勝負するリリーフとして期待したいです。

選手タイプ
平良海馬(西武)

●総評

「投手力の充実と内野のコア確保」という個人的に考えていたテーマに対して100点の指名だったと思います。
即戦力で入江・池谷、将来性で松本・高田と近年のドラフトを考えるとやや将来性に振った印象がありますが、これも今までいいドラフトが出来たことの証左でしょう。
また、内野のコア確保として、牧・小深田と2020ドラフト屈指の選手を獲得できました。
内野、特にセカンド・ショートは横浜にとって永遠の課題ですが、昨年の森と合わせていいドラフトが出来ています。
それぞれの選手が活躍することを願ってやみません。

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