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USMLE step1の勉強法について

はじめに

USMLE step1を6年生の夏に受験しました。勉強を始めて1年ほどは出口の分からないトンネルを進んでいる感覚でしたが、今考えれば効率が悪い部分もあったと思います。そのような経験も踏まえて実際に行ったことと、こうすればよかったということを書きたいと思います。
2023年追記:年月が経ってきたので、個人情報の部分を消して無料公開にすることにいたしました。もう少し詳しいバージョンを読みたいという方は直接お送りするのでご連絡頂けますと幸いです。

勉強の進め方

結論から言うとUWorldの解説を丁寧に読み込み、覚えていないことを全てAnkiに入れ、毎日復習する、と言うのが最もいいやり方だと思います。UWorldの問題は、step1の出題者が問いたい知識を、出題者と同じ視点で聞いてくるのが良いところです。解説に書いてある病態生理もわかりやすいので、本番で少し違った角度で問われても答えられるように、それらを丸ごと覚えるくらいの気持ちで利用するとより望ましいと思います。

次にAnkiというアプリについてです。問題集をやって理解したことも後からしつこく復習しないと忘れてしまうので、知識は全てこれに入れました。私は一つの問いにまとめて色々な知識を入れていたので、多いものは1問に3−5分位かけて思い出していました。大体30分に10~15問くらいのペースで1日50−100問位やっていました。受験半年前に始めて最終的には1840問の問題ができました。直前期はこれの復習を優先してやりました。カードについてはUWの図やインターネット上の画像などをとってきてパソコンで作成するのが簡単だと思います。

実際の勉強スケジュール

First Aid Q&A(4,5ヶ月)
CBT/OSCEが終わってから始めました。最初は英単語が全然わからず1問に30分程度かかっていました。1つの分野が終わるとその分野の英単語は大体覚えられている状態になったので単語を覚えるという意味では役立ったと思います。しかし、1周しただけで復習もしなかったので問題集として機能したのかはわかりません。最初からUSMLE-Rxなどの問題解説がしっかりした問題集をやり復習もした方がよかったのではと思います。

Firecracker(1ヶ月)
5−6個の分野に絞って小問合計3000個位やりました。ただ、知識が細かすぎたのと、まだ始めたばかりの時期に特定の分野に偏って暗記しても全体の知識量としてはそこまで増えず、あまり効果はないと感じやめました。

その後2ヶ月ほど留学やその準備などに追われてUSMLEの勉強は中断していました。

UWorld 1周目(3.5ヶ月)
1問ごとに時間がかかりすぎてしまい、とにかく早く1周したいという気持ちでスピード重視で進めていました。結局1周終わった時点で間違えた問題や理解していないところは曖昧なまま身についていない状態でした。

この1周目の時にtutor mode(1問解いてその都度解説を読む)にして、時間がかかったとしても辛抱強く理解することを重視した方が後々良かったのではと思います。

実習で内科の大変なところをまわっており、USMLEは一旦中断してイヤーノートを使って内科外科のQBを中心に勉強していました。(日本語で知識が整理されて良かったと思います。)


Uworld 2周目(3ヶ月)

UWorldで間違った問題、旗をつけていた問題の2周目を始め、毎回Incorrectから選択して間違えなくなるまで繰り返しました。
この時にAnkiを始めました。

Uworld 3周目(1.5ヶ月)
UW3000問全てtutor modeで解き直し、曖昧なものには旗をつけました。大体500問くらいに旗がつきました。(※本来は1周目から丁寧にやって2周目以降は間違った問題だけ解き直しをしていく方が効率的だと思います。)


AMBOSS(1ヶ月)
この問題集は本番とは全く似ていない形式の問題が多いですが、UWだけではFAに載っている知識を網羅できないので、知っている問題のパターンを増やす目的で最後の方にやるのはおすすめです。AMBOSSは難易度が選べますが、私は星2−4個の問題だけ選んで1300問くらいやりました。


本番まで2,3週間
FAの通読を始めましたが、ただ読むというのが苦痛だったのでUW3週目で旗をつけた問題を解いて、それに関連するページを全部読むという方法で1周読みました。覚えていない知識はたくさんありましたが全部は無理なので重要そうなものだけAnkiに入れました。
直前期までUWを一日1セット(40問)やるのとAnki中心に続けました。私は問題を急いで解く感覚を忘れたくなかったのでUW追加問題を直前にとっておいて、初見問題を解く練習として使いました。

模試

最後に模試の点数推移を載せておきます。個人的な意見になりますが、210くらいに至るまではまだ全体像がつかめていない時期で振れ幅が大きいので一喜一憂しなくて良いと思います。点数そのものよりも、解くのにかかる時間や難易度の感じ方が大事だと思います。

First Aid Q&A後: NBME21 178
UW1周目後: NBME23 186
内科の試験後: NBME18 207
UW2周目後: NBME17 207, NBME15 228(1週間後)
UW3周目途中: NBME19 234
本番1か月前: NBME22 240, UW1 254
2週間前: NBME24 240
1週間前: UW2 254

Free120  84%
本番のスコア:240点台

本番は簡単なUWの問題をゆっくり解いていく感覚でした。7時間も連続で乗り切れるのか心配していましたが、NBMEよりも分かりやすく解答しやすい問題が多いので、2連続模試を解いた時よりはるかに楽だと感じました。

情報の集め方と進め方

私は周りに一緒に受験する友人がいなかったのでネット上にある体験記を参考に進めていました。しかしそのような体験記の多くは、(今自分が体験記を書く段階にきて思いますが)後知恵バイアスが入っているのと多少誇張されていることがあるので、自分の進捗が体験記の通りにいかなくても焦る必要はないと思います。

私はUW1周目が終わっても全然知識を覚えられている手応えがなく、自分の勉強法が合っているのか疑問に思いながらやっていました。そこで開始したAnkiがgame changerだったと思います。筋トレのように毎日続けたところかなり覚えられるようになり、その後は模試の点数も比較的順調に伸びました。ただ、それまでに学習していたUWや国試のQBなどの知識が、ちょうどその時期に整理されてきていたことも寄与していたかもしれません。他人のアドバイスや情報は集めた上で、自分の手応えを元に進めるのが一番いいと思います。

また、step1の勉強では2,3年生の時の基礎医学の時期に勉強した内容やその時の教科書(特に解剖、ロビンス基礎病理学)が使えました。私は本格的に始めた5年生の8月からは国家試験の対策はほとんどやっていませんでしたが、数ヶ月QBを集中して解いた時期があり、その時期に日本語で得た知識も理解しきれていなかった部分を補ってくれて結果的には役立ったと思います。USMLEの勉強だからと言ってあまり戦略的になりすぎず、医学の勉強として使えるものは教科書、QB、イヤーノートなどなんでも利用して、理解し覚えることを重視すれば点数は必ず上がってくると感じました。

おまけ 受験時期について
6年生の7~8月はマッチングシーズンですが、私はほとんど対策はせずUSMLEを優先しようと思っていたので8月上旬に設定しました。可能であれば直前1〜2週間程集中できる時期に受験日を設定できると精神的には安心です。

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