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小津安二郎が描いた女性たち


前回、小津監督の映画の話をしましたが、今回ももう一つ感想を。
彼の映画をいくつか観た時に、感動はするもののなんとなく違和感を覚えていました。
数十年前はわからなかったのですが、今になってみてわかったのです。
それは、父がなかなか結婚できない娘を
心配しているといったストーリーが多いこと。

たとえば、1949年晩春、1951年麦秋、1962年秋刀魚の味などもすべて、娘の結婚問題を扱っています。

しかも25歳までに結婚しないとまずい、
もうできないだろう、という価値観は戦前からあり、
昭和まで続いていたのではないでしょうか?

私も、実は言われました。
25歳になる直前、未婚の私に職場の人はこういったのです。
「もう食べられなくなるクリスマスケーキだね、おばさん」
愕然としましたね。
25歳でおばさんはないですよね。

でも小津監督が別に特別、男尊女卑というわけでもなく、
映画で描かれているように日本女性は
20歳くらいで結婚するのがあたりまえ、
就職しても数年働いたら結婚する。
それが長い間続いてきた常識だったのですね。
しかも、お見合いで好きでもない人と結婚する。
その背景には、女性はなかなか仕事につけず
男性に養って生きていくしか道はなかったという事情が垣間見えます。

女は家庭に入って子供を産み育てる。
そうして、子孫繁栄が続いてきたわけです。

でも、今、令和の時を迎えて、完全なる男女平等ではないものの女性も働くことはできます。
そして、結婚してもしなくても生きていける時代になった。
そんな自由を享受できるようになったはいいが、今度は少子化。
産みたい人が産むという世の中は、
今度は子孫繁栄が止まってしまうという
矛盾を抱えるようになってしまった。

とはいえ、小津監督が描いたあの時代に逆戻りしたくないですよね。
20歳過ぎて未婚だともう価値がないって言われるんですよ~

ありえない!

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