6月25日

 早い梅雨明けからの猛暑日。
 太陽が沈んで薄暗くなっていく井の頭公園で、外国人の子どもたちがかくれんぼをしていた。
 生ぬるい風が粘ついた肌をさらっていく。
 青白い肌をした子どもの火照った頬を朧げに見ていた。目の前に過ぎていく、まだ6、7年ほどしか生きていない子の砂利を踏みしめる音が、青葉に遮られた京王井の頭線の最終電車にかき消されていった。
 ダックスフンドと一緒に散歩している貴婦人が、ウォーキングしていた貴婦人とたまたま出会う。今年の夏ははやいこと。猛暑日が続くらしいから体調には気をつけること。うちの息子の部活が休みになったこと。ウォーキングを朝か夜かどちらにしようかと悩んでいること。政府の節電のこと。2,000ポイントは要るのだろうか、そのポイントが命との引換券なのかなんなのか。
 土曜日の公園内で、二人の会話に耳を傾けているのは私だけではないのかもしれない。あちらこちらでベンチに座って休んでいる老若男女も涼しくなりつつある風に休憩がてら誰かの声を欲しているのだと思う。
 

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