Vol.4 「24 bars to kill」 Ski Beatz, Anarchy, Rino Latina II, 漢 & Maccho④
④ Maccho
~ ハマの大怪獣、大暴れスタイル ~
特徴
MacchoはAnarchy同様、声が強いです。
そして、ものすごくパワフルなラップをするので、韻を横に置いておいてもラップをカッコよく聴かせることができます。
Anarchy同様、シンプルな脚韻は多いのですが、突如長い韻を踏んだり、同じ韻を連打したりとスタイルは変幻自在です。
また、その発声の強さゆえに強引に韻を生み出すこともしているのでは、という箇所がありました。
ハマの大怪獣
Macchoの所属するグループOZROSAURUSの公式ブログにはこんなコピーがあります。
全国へ向けて吐き出すパワフルなメッセージが深い爪痕を残す“ハマの大怪獣”――。
確かに、そのパワフルなラップは大怪獣の咆哮に近いものを感じます。
そんな大怪獣という異名に寄せて考えると、韻のスタイルもまるで、映画「シン・ゴジラ」さながら、怪獣が暴れているようにも思えてきます。
リリック
では、そんな怪獣の暴れっぷりを見ていきたいと思います。
基本的にはシンプルな脚韻ですが、その発声の強さを存分に活かしており、"o" の響きを活かした「髑髏の脳」と「rock'n'roll」という完全に踏んではいないラインですが、破壊力は抜群です。
また、四角で囲んだ「ペン」と「"パン"ドラ」でも母音は違えど、"p" の破裂音の強さで韻として成立させている気もします。これが怪獣の腕力か。
かと、思えば、「煌めく月光」と「閃く言語」という7文字の綺麗な脚韻も登場します。むやみに暴れていたかと思えば、いきなり精度の高い一撃です。
この8小節では、脚韻に加え、頭韻も目立ちます。
クソな人格 クソなチープラブも クソな毎日もクソアチーラップ
ここでは、「クソ」の繰り返しとなり、1聴しただけでは何を言っているか分かりませんが、怪獣が建物をなぎ倒すように、多少強引でも韻を踏み倒していきます。
最後の8小節です。
3~4小節目では、「フロウ唸る」と「ノウハウ」という気持ち良いライムが出てきますが、その最中に突如として、
非凡 疑問 思想 依存
という4連打が登場します。怪獣の突進による地響きが聴こえてきそうなラインです。
そして最後のラインでは、「風情」と「フェニック"ス零"戦」で踏んでいると思われますが、「ぜ」の響きを強調することで、韻を成立させていると思われます。
以上が④Macchoのバースでした。韻の踏み方を怪獣に例えるのは少々無理があったかと思います。しかし、かっちりと規則性は持たせずに、いろんなパターンで韻を踏んでいること、その発声の強さを活かして踏んでいることは見て取れたかと思います。
~まとめ~
今回は、キャラの強い4人のマイクリレーということで、それぞれの韻のスタイルの違いに注目してみました。
多少強引ではありましたが、韻の踏み方、置き方にもそれぞれのキャラクターは出るし、ライフスタイルや土地柄みたいなものは確実に影響を与えているのだと思います。
ミクロな視点で言葉だけに注目するのではなく、マクロな視点でそのラッパーの実生活、キャラクターを含めて韻の傾向を探っていくのも、ひとつの楽しみ方かもしれません。