![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/47676574/rectangle_large_type_2_c407840fb977fab07b10e1daf23252b9.jpg?width=1200)
Vol.4 「24 bars to kill」 Ski Beatz, Anarchy, Rino Latina II, 漢 & Maccho①
第4回目は、Jay-ZやMosdefを手掛けたアメリカのビートメイカーSki Beatzのプロデュースによる「24 bars to kill」という曲です。(2010年リリース)
①Anarchy→②Rino Latina Ⅱ→③漢 a.k.a. gami→④Maccho
という4人によるマイクリレーを堪能できます。
せっかく、キャラの立った4者のマイクリレーですので、ラッパーごとの韻のスタイルがどう違うのか、多少のこじつけも交えつつ、解剖していきたいと思います。
①Anarchy
~ 男気、韻のタイマンスタイル ~
特徴
まず前提としてAnarchyは声が強いです。
韻は、
詞(詩)に込めたメッセージをより音的にも心にも”響かす”ための技巧であり手段
と以前書いたのですが、ラップをするうえでは、ラップをよりカッコよく聞かせるための手段でもあると思います。
その点、Anarchyは声が強い(≒カッコいい)ので、その手段を過剰に使う必要がありません。
つまりむやみに長い韻や複雑に韻を配置せずとも、ラップをカッコよく聞かせることが可能なのだと思います。
それを示すように、このバースでは、基本的に2小節1セットの脚韻が主軸になっています。
Anarchyの過去
Anarchyは少年時代、暴走族の総長を張っていましたし、喧嘩をして「決闘罪」という罪で逮捕された経歴を持つ人物です。
そうした出自、キャラクターを考えると、「小細工はいらねえ」「韻は分かりやすく1回踏めば十分」という姿勢を持っていても不思議ではありません。
韻のスタイルが真っ向勝負でシンプルなのも、そんな彼の姿勢の表れだと考えることもできるのではないでしょうか。
リリック
では、中身を見ていきましょう。
この8小節では基本的に2音~3音のシンプルな脚韻で構成されています。
かっちり踏んでいなくても、
14,15 飛んで25,26 New York, New York
っていうだけで十分カッコいい。(笑)
次の8小節です。
「龍のように」と「銃を装備」、「あの女神」と「”アドレナリ”ン」
「同じ」と「文無し」、「足跡」と「街角」
といったように2小節1セットでこれぞ脚韻といった風に踏んできます。
ただ、よく聴くと分かりますが、「同じ」と「文無し」の脚韻の前段階で「ジャ"パニーズ"」と「クソ"なビーツ"」で踏んでいます。
最後の8小節です。
「危ねー」と「サブウェイ」、「漏れ」「俺」「乗れ」といった踏み方も登場しますが、基本的には
「Go go」と「道場」、「匂い"とビート"」と「"飛び道"具」、
「フリーキー」と「Ski Beatz」といった2小節1セットの脚韻です。
バースの最後は「Ski beatz」のネームドロップで締められます。
以上が①Anarchyのバースでしたが、韻はいたってシンプルです。しかしそれだけで十分カッコいいラップを聴かせることができます。
サブタイトルで、タイマンスタイルと名付けたのは、2小節1セットの脚韻がまさしくそうで、1個の響きで何個も韻を踏むのではなく、1個の響きに対しては1つの韻というように、韻の関係が「1対1」になっているからです。
次回は②Rino Latina Ⅱのバースを解剖していきます。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?