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寺山修司記念館、すごかった

寺山修司記念館は青森県三沢市にあります。ちょうど下北半島の付け根あたり。

三沢まで行くのも一苦労なのに、三沢駅から車でさらに30分(休日は市内を周遊する「MISAWAぐるっとバス」を利用できますが、1日に3〜4本しか運行してませんのでご注意を)。
はっきり言って交通の便はあまり良くないですね。でも、だからいい。それがいい。

奥地というか、ほぼ秘境レベル。

3連休最終日の11月5日に行ってきました。

これがまあ素晴らしかった。


常設展示室に入ると、目の前に並んでいたのは十数個の机でした。
展示物は、各机の引き出しのなかにおさめられているのです。

窓から光は差し込むんですが、基本的に薄暗い。
引き出しのなかの展示物は、各机に置いてある懐中電灯で照らしつつ、身を乗り出してのぞき込む。
自分が見たい引き出しをあけて、自分が見たい箇所に光をあてて。
照射範囲はそこまで大きくないので、視線が動けば、同時に照らす向きも調整する必要があります。だから懐中電灯を小刻みに動かしながら鑑賞します。

見る人が、「見る」という行為に能動的にならざるを得ないように設計されている。

自分は何が見たいのか。自分は何を見ているのか。鑑賞者は毎秒毎瞬、かすかに自問自答しつづけるのです。


「週刊古中」2号(昭和23年9月25日)
中学校の学内新聞。記事・編集をほとんど寺山が行っていたようです。
「男女共にくちびるを開け 胸を開け」ってさ、もうさ、寺山修司は中1にしてすでに寺山修司。


記念館や博物館にありがちなのは、
壁づたいにずらっと並んだショーケースに、ゆかりの品々がだいたい時系列順に収められていて、それを順々に見ていく…というスタイルだと思います。

いくまでは、なんとなくそういう感じなんだろうなと想像していました。


ですが、この記念館には順路がありません。

入口に一番近い机から見ていくんかな…というのはなんとなく想像がつくんですが、次にみるべきは果たして右の机なのか前の机なのかわからない。番号が振られているわけでもない。その机に行って、ひきだしを開けてみるまでわからない。でもたぶん、いきなり遠くの机に飛んだりはしないんだろうなというのも、なんとなく想像がつく。そういう展示空間でした。

とにかく、心のおもむくままに、進む。開く。


机から机へ移動しているうちに、

時間は、過去から未来へ単線的に流れていくように思えるけど、本当にそうなのか?
と問いかけられているような気がしてきました。

人生はジグザグしていい、行きつ戻りつしていい、分裂や断裂があったっていい。一生のうちのある場面が、時間軸から断ち放たれて 独立した離れ小島のようになっていることだってある。


木の枝をボキボキ折るように、寺山修司の一生がゆるやかに解体されて、バラバラになったパーツが机の一つひとつにしまわれています。


そしてきわめつけは、この「俳句パズル」。展示室の片隅に置かれていました。↓

寺山修司の「父を詠んだ俳句」八句をパズルにしました。
五音、七音、五音で区切ってバラバラにしたものです。
(若干、字余りのものもあります)
並べかえてオリジナルの俳句を作っても、
元の俳句を探してもよいでしょう。
ルールは、ひとマスごとピースを移動させることと、
ピースを盤から離さないことです。

バラバラに解体されているところも、隣にしか移動できないところも、展示の構成の仕方とぴったり重なって、震えました。


記念館の裏手には雑木林が広がっていて、来館者が散歩できるように林道が整備されています。秋も清々しくていいけど、初夏もまた気持ちがいいだろうなあと思いました。またその季節に行きたい。
林道は少し傾斜がついていて、坂を登り切ると視界がひらけ、大きな沼がみえます。

小田内沼
この写真だとわかりにくいけど、水面がキラキラ光って本当にきれいでした。



今週の質問:もしドラえもんの秘密道具を無制限に使えるとしたら、どの道具をどう使って何をしたいですか?


時間を止めたい願望が強いので、「タンマウオッチ」を使って時間を止めます。

スイッチを押すと自分以外のすべての時間を止めることができる。もう一度スイッチを押さないかぎり、太陽も地球も動かない。
という、なかなかに恐ろしいシロモノです。故障したらやばいな。

こういう状況になる.

10年くらい前のドラマ「SPEC」で、神木隆之介がやってたニノマエも同じことができます。彼の場合は、指を鳴らすと時間が止まってましたね。

ニノマエは、色々やばいことしてましたけど、
私は、とりあえず駅前のパン屋さんのパンを好きなだけ食べて、家に戻って積読を解消しますかね。ついでに部屋の片付けもしましょう。

つまりちょっと悪さをしつつ、あとは普段できないことをする。

受験期は、タンマウオッチで時間を止めて、大学に忍び込んで試験問題を盗み見したい…とかいう妄想をしてました。こういう悪だくみはすこぶる捗ってました。

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