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男性育休―ママジャナキャ神話の検証

夫が育休をとるということについて、最も恐れていたのは「ママジャナキャ」神話の存在である。

「なんだかんだいって、ママジャナキャだめなことってあるじゃない」
「ママがお乳あげるんでしょ?」
「男が育休取って戦力になるかしらね~」
「え、育休国会議員が不倫?」

男が育休とって何になる? という疑問を持つ人は多いようだ。冗談でも「不倫」とか言われたら、一生懸命やっている夫が不憫である。(ちょっとタイミングがよすぎた)

2015年10月末出産で、12月から夫も育児休業、24時間体制の授乳時期(~2月)を経て、4月に私が復帰しました。その後、夫は1年間の育休中です。

夫育休でもっとも重要だったのは、「里帰りしなくて済んだ」というところでしょうか。生後3~4ヶ月間の昼夜関係なく世話をしてやらなければならない時期を2人で乗り切れたのがよかったです。エンドレスに続くオムツ替えに、授乳、お風呂…。これはしんどいので、里帰りする人が多いことに納得。

では、その後の1年間の育休にどんな意味があったのか。女性より男性が長く育休を取るというケースは厚労省でも想定されていない(イクメンプロジェクト)ようなので、経験者としてまとめておく価値があるのではないかと思いました。

ほ乳瓶拒否に2人で対応した生後半年頃

生後半年、5月頃までは、ほ乳瓶拒否だったので、在宅勤務を増やし、外に行くときは夫と赤ん坊連れで仕事に行ってました。

授乳→出勤→昼に赤ん坊と夫が職場に来て授乳→退勤→近所で待機してた赤ん坊と夫と合流して授乳→帰宅

外で長く打ち合わせなどやらなければならないときは、外での授乳が3回になります。朝ドラ「おひさま」の井上真央がやってたスタイルですな。出張も夫子同伴で行ってみたりしました。

私が復帰に向けて仕事をぼちぼちやっていた3月頃から、定期健診や毎月ある予防接種などの管理はすべて夫が担っており(これが案外回数が多い)、授乳のタイミングを決める、昼に遊びにつきあう、なども夫の担当でした。別にそれで問題はなかった。夕飯は宅配弁当。それ以外の食事も夫が作ってくれていました。そのおかげで、私は授乳とお風呂と寝かしつけだけを担当し、産後半年経たないガタガタの体でなんとか仕事をこなすことも、子供とふれあうこともできた

寝かしつけだけは「ママジャナキャ」だった7ヶ月

6月になると、娘がほ乳瓶を受け付けるようになったので、1人で泊まりの出張をしてみたりしていました。この頃はまだ、お風呂のあとママの授乳→ママの寝かしつけじゃないと! という感じだったので、夜だけは私が担当しておりました。「ママジャナキャ」の部分を残してくれていたのは、働くママとしては、母親としての自覚を養うという意味では悪くはなかったと思います。

生後8ヶ月、ママ1週間の留守にも対応

7月には、ママの私が1週間の出張で留守にしました。ワンオペはまだつらかろうと言うことで、妻側の実家に置いていくということにしました(夫実家は狭い)。便秘対策で朝夕晩の授乳は続けていたのですが、この1週間は全部ミルク。母親の姿が見えないと、もう「ママジャナキャ」ということもなかったようです。

この頃には離乳食もはじめていたし、そのあたりのメニュー決めは夫が勝手にやってくれていました。女がやると、母親からの呪い(?)で、きっちりやろうとしますが、夫は効率重視。手抜きバンザイでなんとかなってました。

生後9ヶ月、パパと赤ちゃんの2人旅

夫と娘は8月に、東京~名古屋へ二人旅に旅立って行きました。私は家で留守番しました。ママと赤ちゃんが二人で実家に行くってのはありがちな話だけど、パパと赤ちゃんという組み合わせで、パパの友人のところへ、新幹線で一泊二日。親戚の家でもないとこに行くというのはかなり非典型例でしょう。とまあ、こんなこともできました。

生後10ヶ月、ママは3週間の出張へ

夏の間、私が体調不良でぐったりしていて構ってやれなかったということもあってか、娘は自分から卒乳しました。その後、私は子供と夫を実家へ置いて、出張に行きました。この頃にはすっかり娘はママよりパパを頼りにしているようで、寝かしつけも「ママジャナキャ」でもなくなっていました。

生後1年、飛行機ではまだママの方がよかったみたい

そんなこんなでアメリカに家族で出張することにしたのですが、飛行機で泣きわめく我が子を抱っこして泣き止ませるのは、ママのほうがよかったようです。すでに「プレミアム」感というか、デフォルトがパパで、ママがいるとうれしいようす。夫婦どっちにとっても都合がよい感じでした。

生後1年1ヶ月、寝かしつけは「ママじゃダメ」に

ところが、しばらく寝かしつけをパパにお願いしていたところ、パパがいない日に、ママが寝かしつけをしようとしたら、泣き続けるという事態に。互換性は維持しておきたかったのですが、困った……。けどこれが「男性育休」の成果。

いわゆる「保活」

いわゆる保活、保育園情報の収集や申し込み手続きは、お役所仕事に慣れている夫がやってくれたのが、(事務仕事が苦手な)妻としては楽でした。なんだかんだで、社会というのは男が出て行った方がスムーズに話ができるようにできていて、それは女としては面倒くさいのですが、夫の方が得意なところなので、メリットがあった。自分がやってたら、うまく情報を引き出せずムキーってなってたような気がする……。男社会バンザイ(じゃだめなんだが)。

まとめ

ママじゃなくてもじゅうぶん「メインの親」になることができるようです。娘は夫に全面的になついてるし、夫が外で遊びまくってるということもなければ、仕事できなくて参ってるという話もありません(今のところ)。

自分たちの感覚としては、夜間授乳がなくなったあと(5ヶ月め以降)は、2人ともが育休を取ってると労働力過剰になったかもなと思いました。(2人で育休取ってた近所の人は、ファミサポに登録して他の子を預かるとか言ってたし。そういう社会貢献をするにはいいかも。)つまり、生後4ヶ月までは2人の大人がやるだけの仕事が家にある。2人とも寝不足で、よくわからんことになってました。なるほど、里帰り出産する人が多いわけだ。

「ママジャナキャ」神話については、たしかにお乳をあげている間は、ママじゃなきゃダメなところも残ったようですが、授乳をやめてしまえば、「ママジャナキャ」だめなところなんて実はひとつもなかった……というのが結論です。

もっと重要なのはたぶん、夫が育児専業になってくれたことで、母体の回復をしながら、子育てに最も手のかかる1年間をスキップしてキャリアをつなげたことかもしれません。なんだかんだで、体調ずっと悪くて、仕事は今まで通りという感じにはならないのですが、それでもやはり、保育園に入れるよりはずっと仕事ができているだろうから、後悔はしていない。前にも書いたように、そもそも妊娠している間も仕事ができていなかったので、こうしたサポートがありがたかった。

※母乳神話についてはまた別の話。うちの子は便秘気味だったので、離乳食はじめるまでは……と母乳をがんばりました。(今はプルーンだのみ)

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