教採合格のための戦略は,一人一人,違います。ある人に最適な戦略は,別の人には最悪な愚策かもしれません。これが理解できないと,合格は勝ち取れません。

本日,私(河野)は,次のようなツイートをしました。

美学と科学は違う。
たとえ,昭和の精神論でなくても,指導者の思い込みやこだわりは,美学と同じ。
科学は,エビデンスを必要とし,さらに,再現可能性を必要とする。
「私は,こう指導して,合格させた。」だけではダメで,「こうすれば,誰でも合格する。」のレベルが必要だ。

「こうすれば,誰でも合格する。」のレベルは,教採の面接では,達成不可能・達成困難だ。
だからこそ,レトリック理論やパフォーマンス理論などのコミュニケーション理論で,合格可能性を最大限に上げる戦略を練る。
戦略は,100%の成功を保障しないが,高い可能性での成功が期待できる。

多くの日本人の典型的な思い込みは,過去の限られた成功例にこだわることだ。
そして,その成功例に自分の信念を埋め込んで,一般化し,それを人に強制する。
そういう考え方で,日本は,先の大戦で悲劇を招いた。
思い込みの美学は,破局を招く。
成功したければ,科学と戦略に基づくべきだ。

戦略は,一人一人の受験者のプロフィール・背景によって異なる。
ある人に最適な戦略も,他の人には最低の愚策になる。
「こうすれば合格する」という戦略はない。
必要なのは「この人なら,こうすれば,合格する可能性を最大化できる」という戦略だ。
これが理解できない人は,指導者ではない。

このツイートをしたのは,最近,あまりにも,限られた経験に基づく,一般化し過ぎたアドバイスなるものが,あまりに多すぎて,もはや,「フェイクニュース」のレベルになってきたので,人々の警鐘を鳴らしたいという想いがありました。

ある指導者は,面接の指導において,地方自治体の施策の研究ばかり,唱導します。

もちろん,志望先の施策を知っていることは,重要です。

無知は,すべてを台無しにします。

志望先の施策を研究・分析することは,当たり前のことで,所与の条件です。

それを,いかにも,志望先の施策を読んでおけ!と強調することは,ほとんど,試験を受験するためには,日本語ができることが重要だ!とか,文字が読めること,文章が読めることが重要だ!というのと同じレベルです。

知っておいて当然のことを,知っておけ!と叫ぶ理由は,ほとんどありません。

日本語ができなければ,文字が読めなければ,試験で高得点を取れないという事実(命題)は,日本語ができれば,文字が読めれば,試験で高得点を取れるという事実(命題)を,意味しません。

この程度の,論理的思考もできない指導者が,いたずらに,受験産業の文化を煽っているのは,悲しいことです。

日本のように画一的な教育制度の下では,各自治体の施策は似たようなものです。

概ね,文部科学省の方針通りです。言葉も似通っています。

仮に,自治体独自の施策がある場合でも,その施策の故に,合格者を特別に選抜するということは,特別のスポーツ競技の指導者獲得や特別な新設校への対応以外には,まずありません。

自治体の施策を見ろと凝り固まるのは,美学です。

自治体の施策をある程度は,踏まえて,語るのは,当たり前のことです。

それを,あたかも,天下の方略のように,語るのは,幼稚極まりないことです。

あるいは,普通の受験者は,自分が受験する自治体の施策すら読まないので,それへの親切心から出た助言なのでしょうか。

単なる美学にしても,親切心からの助言にしても,命題の真偽から言えば,

ある自治体を受験するにあたって,その自治体の施策を知っている必要がある,という命題は真実でしょう。

でも,その自治体の施策を知っていれば,その自治体で合格できるという命題は,真実ではありません。

論理的思考が必要です。

自治体の施策は,知っていないよりは,知っていた方がよいです。

でも,全国共通の教育施策を理解しているのであれば,さほど,地方にこだわることはありません。

それでも,気になるのなら,見ておけば良いというくらいです。

自治体の施策を語りに織り込んで合格したという話は,眉唾物です。

その合格は,自治体の施策を語りに織り込んで語ったから合格したのではなく,そこまで,準備周到にするくらいだから,その人の総合的な能力,全体的な語りの能力が高かったということに他なりません。

つまり,合格した人が努力していたのは,真実でしょうけれど,努力さえすれば,必ず合格するとは限らないというのと同じです。

自治体の施策を織り込んで語るほどの,綿密な対策を行った人は,あらゆる点において,同様の綿密な対策を行うでしょうから,その綿密な対策によって合格を勝ち取った可能性が高いというのが,真実です。

それを,自治体の施策を織り込んで語れば合格すると言うのは,ミスリーディングであり,はっきり言って,間違いです。ウソです。

受験産業には,こういう言説が多すぎます。

受験産業には,こういうミスリーディングな言説で,指導者面をする人が多すぎます。

素人は,こうした小手先のテクニックにこだわります。

それでは,ダメなのです。

素人は,小手先のテクニックを売るために,ミスリーディングなウソを言います。

本当にやるべきことは,受験自治体を徹底的に研究するというよりは,自分自身を徹底的に研究して,自分に最適な合格戦略を立案することです。

戦略があれば,脚本ができます。

脚本ができれば,演出も練習できます。

選挙戦略,広告戦略,広報戦略,世の中の,コミュニケーション戦略は,こういう土台の上に成り立っています。

まずは,受験者の,

プロフィール,

バックグラウンド,

ルックス,外見,

年齢,

経歴,

職歴,

性別,

特技・能力,

表情・話し方,

そういったものを徹底的に分析して,どのような内容を,どのように語れば,採用側の面接官の,最大の好感・共感・好印象を取れるかを,戦略的に判断していきます。

具体的に,お話ししましょう。

例えば,面接質問に,非常に簡潔に,短い1文か2文で答えるという答え方があるとしましょう。

通常は,面接質問には,30秒~40秒くらいで答えるのがよいとされています。

1分を超えるような回答は,長すぎて,いけませんが,また,15秒を下回るような回答は,ちょっと簡単すぎて,面接官は満足してくれません。

ここで,愚かな指導者は,すぐに「言葉のキャッチボール」に誘い込んだ方がいいなどといますが,これも,一般化することはできません。

「言葉のキャッチボール」になれば,それはそれでいいのですが,面接官が,「不十分な回答だ。この受験者は,そのくらいの能力の人なのだろう。」と,半ばあきらめて,次の質問に行くようでは,もはや,高評価は得られません。

面接質問の一つ一つ,答えた瞬間瞬間で,面接官の満足感や好感・共感・好印象を勝ち取って行く必要があるというのが常道です。

ただし,受験者によっては,受験者のルックス,雰囲気,話し方,年齢,性別,表情によっては,15秒程度の短い回答でも,十分に,面接官の好感・共感・好印象を勝ち取れる場合があります。

面接官が,この受験者なら,どんどん「言葉のキャッチボール」をしていきたい!と感じさせるような人であれば,むしろ,簡潔な回答を積み重ねていった方が,合格に,はるかに近づきます。

私は,毎日,何十・何百という面接の語りの脚本に指導コメントを差し上げています。

私は,単なる,「代案」を与えるということに終始することはありません。

「代案」を与えるのは,簡単なことです。

私は,もともとが,スピーチライターですので,何百本でも,何千本でも,ショートスピーチ(面接の語り)は,書けます。

ファスト・タイピストなので,おそらく,話すより早く,適切な語りを書き上げることができます。

アメリカでも,オランダでも,日本でも,私は,スピーチのファストライターとして,評価されていました。

でも,私が,ただ単に,「代案」を出すだけでは,合格には近づきません。

「代案」を受講生に渡して,それで,満足しているような指導者は,自分の文章に酔いしれている,ど素人の指導者です。

重要なのは,「代案」ではなく,「戦略」と「脚本の在り方」です。そして,脚本が決まれば,その演出の仕方です。

この人のルックスなら,この人の年齢・経歴なら,この人の話し方なら,この人の面接の回答は,どのような内容であるべきか,どのような長さであるべきか,どのような表情で語るべきかを,その人に合わせて考えます。

アメリカの選挙戦のディベートなどであれば,スピーチライターや,パフォーマンス・アドバイザーが,当然に考えることであり,もはや,一つの学問,科学の分野にもなっています。

このような準備をすれば,合格する可能性は,飛躍的に上がります。

教採の面接は,非常に,主観的なものです。

面接時間も短く,回数も,1回だけというところが圧倒的に多いのです。

初対面の面接官が,30分前後の面接で,合否を決めるということになります。

主観・印象・心証・イメージ,そういったもので,評価が決まります。

でも,その評価の決まり方は,科学的に分析できます。

科学としての医学と同じで,医学における治療なら,ある程度の一般的な法則はあっても,具体的な治療方法や手術の方法は,それぞれの患者の容態や年齢,体力,既往症などによって,異なります。

面接の指導も,ある程度の一般的な法則はありますが,それぞれの受験者の,

プロフィール,

バックグラウンド,

ルックス,外見,

年齢,

経歴,

職歴,

性別,

特技・能力,

表情・話し方,

によって,「戦略」,「脚本」,「演出」は,異なります。

教採合格のための戦略は,一人一人,違います。

ある人に最適な戦略は,別の人には最悪な愚策かもしれません。

これが理解できないと,合格は勝ち取れません。

このことは,とても重要なことなのです。

明日からのブログでは,愚かな指導者の,ミスリーディングな言説に惑わされず,それぞれの受験者が,確実に,合格を勝ち取れるような,秘訣をご紹介していきますね。

そして,美学や思い込みだけで,ミスリーディングな指導をしている,そんな言説を,ぶっ壊していきます。

ご期待ください。


河野正夫


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