今日から,このブログでは,毎日,教員採用試験の【面接のサイエンス】について語っていきます。面接で合格するための方法と方向性について,ご紹介します。

【面接のサイエンス】

教員採用試験の面接は,「試験」とは言えません。

教員採用試験の面接は,「就職活動」であり,「人が人を選ぶ営み」です。

「試験」とは言えないということの正確な意味は,「正しいこと」,「事実」,「典拠のあること」を言えば,得点がもらえるというものではないということです。

教員採用試験は,教育委員会という組織が,教師という人材(職員)を採用する営みです。

1次試験の筆記試験などでは,その人の学力や知識が試されるでしょう。

でも,面接においては,必ずしも,学力や知識だけが試されているわけではありません。

究極的な結論を言えば,面接の役割は,

この人を採用したいか?

この人は魅力的な人材か?

この人は期待する仕事をしてくれるか?

この人は組織の中で上手くやっていけるか?

この人は職場の多様な人々に気に入ってもらえるか?

を判断することになります。

採用したいかどうかは,その人の能力だけの問題ではありません。

その人の人柄,その人の雰囲気,その人の話し方,その人のルックス,そういったものの総合的な判断になります。

そして,それは,魅力的な人材かどうかに深く関わっています。

教員採用試験を受験する人の中には,能力があれば合格するはずだ,経験があれば合格するはずだ,正しいことを語れば合格するはずだと思い込んでいる人もいるようですが,残念ながら,それは,間違っています。

採用したい人物,魅力的な人材とは,能力・経験・正しさだけにとらわれません。

その人の,話し方,話す内容,話す雰囲気,対面して語ったときにその人が見せる人柄などが,大きな判断材料になります。

私は,よく,人材の採用活動を,恋愛に例えますが,まさに,この例えどおりなのです。

恋愛においては,必ずしも,能力・経験・正しさが,決定的な要因ではあらいません。

その人の人柄,雰囲気,性格,人あたりなどが,大きな要因となります。

人が人を選ぶ営みである採用面接においても,まったく同じことが言えるのです。

期待する仕事をしてくれるかどうかについても,例えば,数学教師を目指す教員志望者は,数学ができれば,数学を教えることができれば,当然,合格するはずだと思っているのかもしれませんが,それは,残念ながら,採用側の期待ではありません。

確かに,数学ができなければ,数学教師にはなれませんし,数学を教えることができなければ,数学教師にはなれないでしょう。

でも,採用側の教育委員会が,教師志望者に期待していることは,たとえ,数学教師志望者であっても,

生徒指導ができるか。

学級経営ができるか。

保護者対応ができるか。

校務分掌も上手く担えるか。

わかりやすい授業ができるか。

その教科が苦手な生徒にも上手く指導できるか。

同僚と上手く付き合っていけるか。

組織の中で適切な役割を担えるか。

部下にしたい・同僚にしたいと思える人柄か。

児童生徒がついていく教師になれるか。

これから教師として成長していく伸びしろがあるか。

といったようなことです。

ただ単に,数学が得意です,数学を教えるのが上手です,では,日本の学校教育現場での数学教師としては,採用されません。

教員採用試験の面接は,

能力がある人を採用する場とは言えません。

経験がある人を採用する場とは言えません。

正しいことを話す人を採用する場とは言えません。

教員採用試験の面接は,

能力と人柄のバランスが取れている人。

児童生徒・保護者・同僚を含めて,周囲の人から気に入られる人。

組織に馴染み,適切な役割を担える人。

そして何より,面接官が気に入るような人。

が採用される場です。

これは,だれが考えても,当たり前のことなのですが,受験産業の文化のせいなのか,昭和から続いている教採対策の決まりきった言説のせいなのか,いまだに,正しいことを言おう,能力や経験があれば合格するはずだ,ありのままの自分でいけばいいといった面接ではあまり通用しないアプローチを取る人が多いのが現状です。

面接の極意は,

採用側の面接官に気に入ってもらうこと,

もう少し,詳しく言い換えると,採用側の面接官に,

教科指導ができるだけでなく,

生徒指導も上手くできそう,

学級経営も上手くできそう,

保護者対応も上手くできそう,

校務分掌も上手くできそう,

わかりやすい授業上手くできそう,

その教科が苦手な生徒にも上手く指導できそう,

同僚と上手く付き合っていけそう,

組織の中で適切な役割を担えそう,

部下にしたい・同僚にしたいと思われそう,

児童生徒がついていく教師になれそう,

これから教師として成長していく伸びしろがありそう,

と感じてもらうことです。

そして,何度もブログ等で指摘してきたように,教員採用試験の面接は,20分~30分程度の面接が,1回だけです。

初対面の面接官,しかも,人材採用のプロフェッショナルではない面接官(校長や教育委員会の管理職など)が,面接を担当し,受験者を評価します。

面接の評価は,面接官の主観的なものです。

面接の評価は,必ずしも,受験者の能力や適性や資質を客観的に把握するものではありませんし,客観的に把握することは困難です。

20分~30分話してみて,面接官は,話してみた印象・心証・主観で,受験者を評価します。

上に述べた多くの「~しそう」というのは,すべて,印象・心証・主観です。

この「~そう」というのを,積み上げていくことが,面接で合格を勝ち取るための秘訣です。

面接では,この「~そう」を,いかに面接官に感じてもらうかの戦略と脚本と演出が,面接で合格を勝ち取るための方法です。

ただ単に,能力をアピールする,経験をアピールする,志望自治体の求める人物像に沿ったことを語る,では不十分です。

面接は,必ずしも,真実がぶつかり合う場ではありません。

面接は,戦略と脚本と演出が,勝負を決める場です。

そして,戦略と脚本と演出は,受験者ひとりひとりによって,異なります。

年齢によって,

性別によって,

志望教科によって,

学歴・職歴によって,

経験によって,

ユニークなバックグラウンドによって,

特別な事情によって,

戦略と脚本と演出は異なります。

ある人が合格した方法は,他の人には適応できないかもしれません。

ある人が素晴らしくアピールした内容は,他の人には無意味なアピールになるかもしれません。

誰にでも当てはまる戦略・脚本・演出など,存在しません。

戦略・脚本・演出は,本来的に,本質的に,個別の受験者に最適なものでなければいけません。

ところが,受験産業は,一般的な正解を求めます。

筆記試験ならまだしも,面接にも,一般的な正解と言えるような語り方や自己アピールや志望動機を求めます。

また,多くの場合,指導者の美学や主義主張が入ってきます。

面接は,人が人を選ぶ営みです。

面接は,面接官の印象・心証・主観で,評価が決まります。

それを分析するのは,科学(サイエンス)である必要があります。

人の心を分析するのも,サイエンスです。

人の心を動かす方法を考案するのもサイエンスです。

純粋な筆記試験なら,サイエンスが入ってくる余地は,少なくなります。

純粋な筆記試験なら,

知識がある方が勝ち。

活用力がある方が勝ち。

教養がある方が勝ち。

それだけです。

学習法法に関しては,若干のサイエンスが存在しますが,筆記試験の結果は,サイエンスで左右することは困難です。

知識と活用力と教養があれば,当然に,高得点を取ることができます。

面接は,面接官の印象・心証・主観で,評価されるからこそ,面接官の心を分析する科学が必要です。

面接官の心を動かす戦略・脚本・演出を決定するためのサイエンスが必要です。

このことは面接という分野に限らず,選挙の広報戦略,商品・サービスの広告戦略,米国などの陪審員裁判の法廷戦略など,幅広い分野で応用されているサイエンスが確立しているということからもわかります。

【面接のサイエンス】を理解し,活用することができれば,誰でも,面接で合格を勝ち取ることができます。

そして,【面接のサイエンス】が示唆する戦略・脚本・演出は,当然,一人一人の受験者によって違います。

面接のサイエンスの公式は普遍的でも,受験者のプロフィール・学歴・職歴・経歴・バックグラウンド・年齢・性別・特別の事情などの変数で,当然ながら,戦略・脚本・演出は異なってきます。

今日からは,このブログでは,【面接のサイエンス】について,毎日,語っていきます。

【面接のサイエンス】を正しく,効果的に,活用して,最適な戦略・脚本・演出を手にすれば,教採合格は,とても簡単なのですから。


河野正夫


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