【志望動機】には,そもそも実体はありません。だからこそ,戦略的で,クリエイティブな脚本ライティングを行えば,誰でも,簡単に,教採合格を勝ち取れます。

【面接の科学】


教員採用試験では,「志望動機」を聞かれます。

なぜ,教師になりたいのか?

なぜ,その学校種なのか?

なぜ,その教科なのか?

なぜ,複数の教員免許を持っているのに,その志望なのか?

なぜ,この自治体を志望するのか?

なぜ,民間企業から,教師になりたいのか?

このようなことが面接で必ず聞かれます。

面接で聞かれるだけでなく,願書などには,「志望動機」を書く欄があることも多いでしょう。

この「志望動機」というのも,壮大なフィクションであり,イリュージョンと言うべきものかもしれません。

あまり科学的に考えない人は,「志望動機」はあって当然,実体として存在するものだと考えるようですが,そもそも,「志望動機」が明確な実態として存在することは,あまりありません。

でも,人は,行動するときに,あらゆることに,理由を持っているわけではありません。

これも,すべて,人によります。個人個人によって違います。

例えば,ある人は,子供の頃から,教師になりたいと思ってきたかもしれません。

ある人は,保健体育教師として,明確にやりたいことがあるかもしれません。

でも,別の人は,スポーツが得意で,好きで,体育大学(体育学部)に進んで,保健体育の免許を取得して,なんとなく,保健体育教師を目指しているのかもしれません。

大学の教職課程で教員免許を取ったから,なんとなく,教師を目指すという人も多いでしょう。

小学校か,中学校か,高等学校かというのも,明確に,この学校で働きたい!という人もいるでしょうし,別にどの学校でもいい,合格しやすく,倍率が低い学校がいいと思う人もいるでしょう。

免許の種類を,小・中・高と持っていれば,やりがいで選ぶ人もいるでしょうし,合格しやすさで選ぶ人もいるでしょう。

特に,「志望動機は?」と聞かれても,あまり,大っぴらに言えるようなものはないというのが,大多数の人でしょう。

また,なぜこの自治体を志望するのか?と聞かれても,そこが,自分の生まれ育った故郷で,現在もそこに住んでいるのであれば,特に,「志望動機」と聞かれても困ります。

ちょっと意地悪に難しく反論すれば,そもそも,その自治体の住民であるということは,その自治体の主権者であり,有権者であり,納税者です。

言ってみれば,住民は,その自治体のオーナーというわけです。

それなのに,住民の「使用人」であるはずの教育委員会の面接官(公務員)が,オーナーである主権者に向かって,「なぜ,この自治体で働きたいのか?」と聞く方が,無礼千万ということにもなります。

百歩譲って,そういう質問をするのが適切としても,自分が現在住んでいて,生まれ育った故郷の教師になるのに,「志望動機」と聞かれても,答えようがありません。

故郷で,住んでいるから。それだけのことです。

でも,「志望動機」を聞くのは,儀式のようなものになっているので,受験者は仕方なく,

故郷であるこの県の教育に貢献したいから,

生まれ故郷のこの県の子どもたちの教育に携わりたいから,

この県のこの教育施策を実践していきたいから,

などと,誰が聞いても,完全に作りごとの受験作文を言う羽目になります。

採用側の面接官も,それが受験作文だと100%わかっているのですが,儀式ですから,「ああ,そうですか。」という感じで,相槌を打ってきます。

まさに,無駄な会話なのですが,これも,つつがなく「儀式」を終えるためですから,致し方ありません。

もう少し,意味があるのが,自分が住んでいる,あるいは,自分の故郷以外の自治体を受験する場合です。

例えば,広島が故郷で,広島の大学を卒業して,今,広島に住んでいるのに,神奈川県の教採を受験するような場合です。

さすがに,この場合は,なぜ,神奈川県で教師になりたいのかを説明することが必要です。

でも,本当の理由は,話せない場合が多いのが実情です。

例えば,他県から,神奈川県を受験する人の本当の受験理由は,多くの場合,採用枠が多い,競争倍率が低い,合格しやすいということでしょう。

たとえ,神奈川で合格して,採用されても,数年後には,現職枠で,故郷の自治体を再受験して,地元に帰ろうと思っている人も多いことでしょう。

でも,神奈川県の教採の面接で,志望動機を聞かれて,「合格しやすいからです」とか,「とりあえず合格して,数年したら,出ていきます」とは,答えられません。

また,そんなことを言ったら,まず,採用されないでしょう。

従って,受験者は,志望動機を聞かれたら,「ウソ」を付く必要があります。

すぐに見破られる愚かな「ウソ」は,

神奈川県の教育施策に感銘を受けたから,

神奈川県の自然や環境が好きだから,

のようなものです。

ちょこっとパンフレットやホームページで見たくらいの教育施策に感銘したと言っても,採用側の面接官は,まず信じてはくれません。

その教育施策について,深く追加質問をされたら,すぐに崩壊してしまうでしょう。

神奈川県をほとんど訪問していない人が,神奈川県の自然や環境が好きだと言っても,ちょっと追加質問をされて,「~~は知っていますか」,「~~についてはどう思いますか」などと聞かれたら,自滅することでしょう。

採用側の面接官も,このくらいのウソは,すぐに見抜けますから,よほど優秀でない限りは,こういう類の回答しかできない人は,敬遠するでしょう。

信じてもらえる「ウソ」もあります。

「ウソ」がウソだとバレない「ウソ」もあります。

そういう百発百中の「ウソ」が付ければいいのですが,戦略がない人は,それもできません。

<このブログは,教育委員会関係者も読んでいるということですので,どんな「ウソ」が百発百中の「ウソ」なのかは,ここには書かないことにします。>

要は,「志望動機」なんてものは,その本質からして,本来的に,胡散臭いものです。

確かに,面接では,「志望動機」は,重要視されます。

「志望動機」で合否が決まる!なんて,豪語している面接指導者もいます。

まったく意味がなさそうな「志望動機」ですが,儀式的なものや,形式的なもの,アリバイ的なものを重視する,日本の採用文化では,どうやら,重要そうなものであることは間違いありません。

だからと言って,「なんとなく」教師を目指している,あるいは,「合格しやすい」からその志望先だ,というのを,そのまま語るわけにはいきません。

また,瞬時に,受験作文だと分かるような,ありきたりの「ウソ」を言っても,採用側の面接官をだますことはできませんし,信用してもらえません。

受験者の全員,あるいは,非常に多くの受験者が,いい加減な志望動機を言うのであれば,結局,合格するのは,メインストリームの大学生,若い講師,その自治体に住んでいる人ということになります。

つまりは,面接の語り,志望動機で差がつかなければ,合格する人は,概ね,メインストリームの大学生,若い講師,その自治体に住んでいる人になるのは,自然なことです。

志望動機は,自己アピールと同じように,そもそも,実体がないものです。

であれば,志望動機は,完全に,ライティング,つまり,戦略的に創作していくものです。

ある程度は,自分の想いや願いを入れるのは当然としても,志望動機には,真の実体はないのですから,自分という受験者が合格するように,戦略的に,ゼロから創作していくものです。

いまだから言えますが,「志望動機」と「自己アピール」を,完全にゼロから創作して,その文章(語り)の力だけで,教採合格を勝ち取った人は,私が,その創作の指導に関わった人だけでも,100人以上はいます。

「志望動機」や「自己アピール」は,学歴や職歴や資格などと違って,真実・事実というものがありません。

実質は,「書きたい放題」,「言いたい放題」なのです。

いかにして,採用側の面接官が,心から信じてくれて,心から共感してくれて,心からこの人を採用したい!と感じてくれるような文章・語りを書くのかということは,戦略的な脚本ライティングの力にかかっています。

映画やドラマなどは,脚本によって,その成否が決まると言われます。

大統領などの有名なスピーチも,スピーチライターの力量で決まります。

「自己アピール」や「志望動機」は,結局のところ,ライティングの力量で,全てが決まります。

「自己アピール」や「志望動機」は,クリエイティブな脚本ライティングで,すぐに,合格圏に達することができます。

これは,かなり年配の受験者でも,ユニークな職歴・経歴の受験者でも,一見すると不利なバックグラウンドがある受験者でも,クリエイティブな脚本ライティングがあれば,ほぼ確実に合格します。

でも,このクリエイティブな脚本ライティングは,一般的な面接対策本や,大人数での面接対策講座などでは,絶対にできません。

一人一人の受験者を徹底的に取材し,その人が合格するための戦略を立案し,それを語りの脚本にしていくことが重要です。

クリエイティブな脚本ライティングは,常に,個別最適なものでなければなりません。

私は,政治家のスピーチライターでしたし,企業経営者のスピーチライターでもありましたから,この辺りの重要性は,本当によく理解しています。

聞き手,聴衆,面接官の心は,脚本によって,簡単に動きます。

人は,言葉によって,動く生き物です。

重要なのは,人を動かす言葉を紡ぐことです。

これが最大限に発揮できるのが,「志望動機」,そして,「自己アピール」です。

今年こそ,教採に合格したいのであれば,「志望動機」と「自己アピール」の戦略的で,クリエイティブな脚本ライティングを行うべきです。

びっくりするくらい,簡単に,教採に合格できるはずです。

特に,教員採用試験の場合,受験者の圧倒的多数が,愚かで平凡で退屈な語りしかしません。

そういう平凡な多くの受験者に圧倒的に差を付けて,合格するためにも,戦略的で,クリエイティブな脚本ライティングを行うことが重要です。


河野正夫


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