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意思決定におけるゼロベースと知識・経験ベース

早く、正しく意思決定ができるようになりたいと思い、意思決定に関する本を読んでみたり、上司にどうしているか聞いてみたところ、ゼロベースで考えろという意見と知識・経験ベースで考えろという意見があるように思いました。とは言え、これらは相反するものではなく、適切に使い分けることが重要だと思ったので、考えをシェアします。

意思決定の流れと適用する考え方

意思決定の流れと適用する考え方は次のようになるのではないかと考えています。

意思決定の流れと適用する考え方
  1. 意思決定の方式を決定する段階では知識・経験ベース

  2. 選択肢・観点の洗い出しを行う段階では、まずは知識・経験ベースで洗い出し、それをゼロベースで叩く

  3. 情報を集めたり評価する段階では、今持っている知識・経験を捨て、ゼロベースで行う

意思決定の方式決定 ⇒ 知識・経験ベース

意思決定を行うためには、誰を呼ぶか、どのように決定するか(一人で?みんなで?)、どんなフレームワークを使うか、どのように議論をファシリテートするか、といった方式が必要になるでしょう。

この段階では、既に多くの先人の知恵が蓄えられており、知識・経験ベースでどれを選択するのが適切なのか、を考えるのがよいと思われます。

選択肢や観点の洗い出し ⇒ 知識・経験ベースからゼロベース

知識・経験ベースで土台を作る

方式が決まったら、次にとり得る選択肢(提案)や、その際に考えるべき観点(軸)を洗い出す必要があります。この段階では、経験ベースが効果的だと考えます。ブレストなどは、典型的な知識・経験ベースの手法と言えるでしょう。

例えば「あるサービスの発注先を決める」という意思決定において、選択肢(発注先)が出そろったとします。これを評価するための観点として、下記の2つしかなければ、意思決定の精度は低くなってしまうでしょう。
・予算
・納期

ここに、例えば過去品質管理が杜撰な会社と契約した経験があるメンバがいれば、
・実績
という観点が出てきたり、アフターサービスがなく契約終了後に苦労したという経験があるメンバがいれば、
・アフターサービス
という観点が加わったりするでしょう。

このように、選択肢(提案)や観点(軸)を洗い出す段階では、知識や経験が役に立ちます。

出てきた意見をゼロベースで叩く

しかし、この段階で知識や経験だけどベースにしていると、変化に対応できません。そこで、知識・経験ベースで出てきた選択肢(提案)や観点(軸)をゼロベースで叩き直すことで、より精度を高められるはずです。

ファクト集めやファクトの評価・議論 ⇒ ゼロベース

最後に、各選択肢(提案)について、各観点(軸)で評価するための情報(数値・ファクト)を集め、それをもとに評価・議論を行います。

この部分については、こちらの書籍が非常に参考になります。

ゼロベースで情報(数値・ファクト)を集める

選択肢の洗い出しや、観点の洗い出しが終わった後は、それを評価するために、情報(数値やファクト)を集めます。この際には、次のような各種の認知バイアスに気を付けます。

  • 最初に見た情報にこだわってしまうアンカリング

  • 現状を変えるような行動を避ける現状維持バイアス

  • 回収不可能な過去の投資(費用や時間)にとらわれるサンクコスト

  • 現時点で持っている直感や持論を裏付ける情報しか受け入れられなくなる確証バイアス

  • 過去の成功例に引きずられる

ゼロベースで評価・議論する

集まった情報を評価・議論する段階も同じです。『意思決定の教科書』では意思決定者が自問すべき質問として次のようなチェックリストが紹介されています。

  • 私利私欲に駆られていないか?

  • 特定の選択肢にほれ込んでいないか?

  • 反対意見はあったか?

以上です。

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