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メッシュセパワンインプレッション

セパレートワンピースに興味を持ったのは4年も前のことだ。当時ワンピースと言えばTTやトラック競技ではメジャーで、クリテリウムや短時間のロードレースでも使用されてはいた。しかし練習となれば補給や財布、携帯は必須で、ポケットか無くピタリとフィットしすぎてしまうワンピースは導入に尻込みする人も多かった。

ロードレースに初めてワンピースを導入したのはチームスカイ(現イネオス)で、そこからどんどんと広がっていった。
ワンピースは空気抵抗を減らす作りがされているため、通気性等はあまり高いとは言えず、着ていてかなり疲れるのだが、企業はワンピースのシェアがどんどんと広がると予測して「ならジャージみたいな着心地でポケットを付けたワンピース作れば良くね?」とセパレートワンピースの開発に着手したのである。

自分が初めて購入したワンピースはパールイズミのセパレートワンピースだった。着心地は日本企業ということもあってかなり良かったし、バタツキも少なくて快適だった。しかし練習でこればかり着ていたためか、1年半後にはボロボロになってしまい、パッドもごわごわになってしまった。これはスピードセンサーという、空気の「摩擦」抵抗を減らす生地の耐久性が無かったのが悪い。ちなみにチームジャージにも同じ生地が(それもかなり多く)使われてるため、2年間レースと合宿のみに使用したがボロボロになっている。

そして昨年、私が目をつけたのはサンボルトというメーカーだ。ウェアに関しては当たり外れが大きくて、あまり通販で買うのは好まないのだが、サンボルトのオンラインショップを覗いて驚愕した。

あの…安すぎやしませんかね…?

現市場でセパレートワンピースといえば、各社のトップエンドの生地をメインに使用しているため、大抵高額になりがちである。カステリやビオレーサーは3万円、ラファやアソスでは5~7万円近くするし、パールイズミでも市販されていた物は2万5千円した。しかしサンボルトのワンピースはバカみたいに安い。

1万5千~2万6千円

しかも普通セパレートワンピースは通常ラインナップには1~2プロダクトしかない。しかしサンボルトは長袖半袖の違いはあれど7種類あるのである。
そのなかでもメッシュセパワンはとにかく人気で、オンラインショップに出回れば直ぐに売り切れてしまう人気商品だ。お値段は1万9千円(税抜き)程。後述の性能を考えればかなりお買い得だろう。

ここまでセパレートワンピの特徴や歴史について語ってきたが、ここからが本題だ。メッシュセパワンを練習で使ってみてどうかという話だ。

メッシュセパワンは、その名の通り上半身部分は8割以上メッシュ生地で、脇部分はさらに薄く、通気性の良い生地を採用している。袖は比較的長めでシームレスだ。滑り止めとなる加工はされておらず、切りっぱなしにして生地を上手く成型することで、まるで"何も着ていないかのような"着心地を再現する。 

下半身部分は普通のレーパンのような履き心地だ。ワンピース特有の引っ張られているような感じかしない。大腿部には滑り止め加工が施されているため、普通のレーパンと比べて違和感を感じる構造にはなっていない。パッド部は人によって評価が別れる部分だが、私としてはかなり気に入った。少なくともパールイズミの3Dネオ+パッドと同レベルとまではいかないが、厚すぎず薄すぎず、ちょうど良いラインを実現している。股ズレも起きづらく、ワンピースそのもののフィット感とあわせて気に入る人は多いと思う。

耐久性も上々で、週4程のペースで一年使用してもパンツ部の記事が薄くなってきた程度だ。週末ライダーやジャージを沢山持つ人なら全く気にならない耐久性を実現している。私はこのワンピースを気に入りすぎてしまい、チームの練習会にも持ち出した(チームのスポンサーはパールイズミだが)。おかげで様々な人から忠告を受けたが、その日の練習はとても集中できたと思う。

そんなメッシュセパレートワンピースにも2つの弱点があった。

1つは下腹部の圧迫感である。他社のセパレートワンピースに比べてかなりゴムの位置が高く、腹圧を使って乗ると少々苦しかった。大抵の場合は気にならないが、食べ過ぎた日の翌日等は少し苦しく感じる。しかしこちらはアップデートされて、ゴムの位置が下げられた。本日届いた第三世代のメッシュセパワンはかなりゴムの位置が下がり、食後だというのに圧迫感を感じなかった。

2つ目は上半身の構造そのものにある。メッシュ生地を採用しているため、背中部分の通気性はとにかく高く、20℃程の環境だと風次第では寒いくらいだ。当然メッシュ生地ということでUVカットが全く機能していない。これに関してはメーカー側も認めているようで、日焼け止めとの併用を勧めている。実際私も苦労した。猛暑のなか、日差しを浴びながら長時間走った後のシャワーはかなり痛い。これに関しては諦めるか、日焼け止めを塗るかで対策するべきだ。

そして女性の方にはこのワンピをオススメしない。メッシュを全面に採用しているため、端的に言うと「全てスケスケ」だ。…これ以上は言わないでおこう…。

練習用としてはとても良い(良すぎる)生地を採用しているワンピースは高嶺の花だと尻込みしてしまう人も多いはずだ。しかしこのワンピースは出来が違う。騙されたと思って一度着てみてはいかがだろうか。

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