7月は仕事が忙しくなり読書量が少し減ったし、noteに感想もあまりかけなかった。
1.「放課後ミステリクラブ 1金魚の泳ぐプール事件」/著:知念実希人 絵:Gurin.
2024年本屋大賞ノミネート作品。
本屋大賞初の児童書ノミネートとして注目された本作ですが、出版社HPに『「人生初の伏線回収」を子どもたちへ!』とあるとおり、大人がしっかり読めば、犯人や仕掛けにはある程度気づけるつくりになっています。読書好きな児童にもちょうどよいのではないでしょうか。
自分が小学生だったらハマったかも。あとがきを見ると、ミステリ界を盛り上げたいという知念さんの強い思いが感じられます。
2.色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年/著:村上春樹
自分は小説好きといいつつも、恥ずかしながら村上春樹作品はあまり読んだことがなかった。少しずつ読んでいこうと思っているところ、表紙の綺麗さで選んで本作を読みました。
まず何よりも表現が美しいです。こういうところが「さすが村上春樹」ということなのでしょうか。
それと『大都市郊外「中の上」クラス』(本作第1章より)の苦悩を扱うところが本作の面白いところの一つかなと思っていて、悩みとか抑圧とかが描かれるのって、たいていは底辺クラスの悪環境にいる人々が多いと思うのですよね。そういう人たちの苦悩って、無条件に読み手に受け入れられるというか、そういう人たちが悩んでいることにはあまり違和感がない(という先入観がある)というか。
その一方「中の上」クラスが悩んでいると、それだけで受け入れられなくて頭に入ってこない読み手もいると思うのですが、そこを深く掘り下げていくのが良いです。
3.カモフラージュ/著:松井玲奈
何かの記事で「今村夏子っぽい」という評判を見た気がしたので読んでみましたが、特に今村夏子っぽさはなかった。
4.踊る幽霊/著:オルタナ旧市街
注目の作家オルタナ旧市街さんのデビューエッセイ集。写真とともに随筆が収められていて、その土地ごとの肌触りみたいなものが伝わってきます。
5.遠い指先が触れて/著:島口大樹
6.家庭用安心坑夫/著:小砂川チト
猿の戴冠式が面白かったので期待して読んだけど、主人公小波が母の言葉をどの程度信じているのか、三越で見たシールは何だったのか、やや消化不良だった。
7.無敵の犬の夜/著:小泉綾子
読み方や読み手によっては、登場人物全員が浅い人物に見えてしまいそうな、紙一重の作品という第一印象。何かやろうとして何もできない感じが、主人公の前しか見てない思春期特有の狭い視野を通して描かれていて、最後までボルテージが高い。
8.成瀬は天下を取りにいく/著:宮島未奈
読む前からして明らかに自分の好みではなさそうな作品なのだけど、本屋大賞を取り(その前からだけど)読書好き・読書会でたびたび話題に挙がるようになったので、読んでみました。
特に期待が裏切られることはなく、だいたい思ったとおりだった。かなりアニメ的なキャラクターである主人公成瀬が世間で絶賛されているのが意外。
9.火花/著:又吉直樹
普段聞いている読書系ポッドキャストの今週配信が火花回だったので読了。予想していたよりエンタメっぽくなくて意外だった。先輩の神谷と主人公徳永の関係性は芸人特有の部分もあると思うが、一つの者に取りつかれた人間の業みたいなものも感じた。