多裂筋

多裂筋の解剖


■起始部
頸椎3番~仙骨4番まで付着し、頸多裂筋・胸多裂筋・腰多裂筋に分かれる。仙骨背面、後仙腸靭帯、腰椎の乳頭突起、胸椎の横突起、頸椎の関節突起から起こる。

■停止部
2~5個上位の棘突起に付着する
・浅層繊維:椎骨を3~5個越えて付着
・深層繊維:椎骨を2個越えて付着
している。

■作用
・両側が働くことで脊柱を伸展させる。腰仙部においては仙骨を前傾させる
・片側が働くことで脊柱を同側に側屈させる

■神経支配
・脊髄神経の後枝

画像1

(写真は腰部多裂筋を中心のもの)

■ワンポイント解説
多裂筋は腹横筋・骨盤底筋群・横隔膜と協調し、骨盤・腰部を安定させるLocal筋となります。

頸椎~仙骨まで付着を持ちますが、筋の面積としては、腰椎4番~仙骨背面が非常に太く、腰部の安定化においてとても重要な筋肉とされています。
※脊柱起立筋との断面積の比率は、腰椎1・2番では脊柱起立筋のほうが太く、腰椎3番レベルで1:1、腰椎4・5番では脊柱起立筋は腱膜となっているため、筋肉としてはほぼ全てが多裂筋となっています。

多裂筋は、仙腸関節を直接的に安定させるため腹横筋や骨盤底筋群よりも、安定化機能が高く、腰痛改善においてとても重要な役割を果たしています。

多裂筋が機能低下すると、筋委縮・空洞化・脂肪層の入り込みなどが起こり、収縮がうまく起こせず関節の安定力が低下します。

機能低下した多裂筋は筋委縮や脂肪層の入り込みの結果、触診すると硬くか感じるケースが多いです。しかしこのケースにおいて「硬い=弛める」と思う方は気を付けてほしいのですが、多裂筋のこのケースでは、「弛めるアプローチ」はNGとなります。

硬くなる原因が「筋機能の低下」である場合は、基本的には筋の短縮性収縮を起こすトレーニングが必須であり、弛めるのではなく「締めるアプローチ」が必要になるのです。
(弛めることでさらに不安定性が増大するケースがあるため、その点に気を付けることが必要ということです。)

筋収縮により筋組成の回復を図り、神経-筋リンクを回復させることで、早期に機能を改善させることが可能となります。

腰痛の方は、まずは負荷をかけない状態で、多裂筋の短縮性トレーニング(もしくはアイソメトリック)を開始することがお勧めとなります。

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