腹横筋2

腹横筋の解剖

■起始部
・肋骨部:第7肋骨~第12肋軟骨の内面、胸腰筋膜深層
・腸骨部:鼠経靭帯外側、腸骨稜の内唇~上前腸骨棘(ASIS)

■停止部
・腹直筋鞘後葉

■作用
・腹直筋鞘、胸腰筋膜に張りを作り、腰部の安定性を高める
・寛骨上部を内方に圧迫し前額面における仙腸関節の安定性を高める
※PSISを外方に開くため矢上面上の不安定性を引き起こす事もある。

■支配神経
・腹横筋上部繊維:肋間神経(T5~T12)
・腹横筋中部繊維:腸骨下腹神経
・腹横筋下部繊維:腸骨鼠経神経、陰部大腿神経

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■ワンポイント解説
腹横筋は骨盤・腰部を安定させるLocal筋(インナーマッスル)であり、Global筋が働く直前に収縮活動を開始し、動作時の骨盤・腰部の安定性を高める筋肉とされます。

骨盤・腰部の安定に関わる腹横筋は主に「中部繊維」「下部繊維」であり、中部繊維は胸腰筋膜を引っ張り腰椎の安定性に、下部繊維は腸骨稜上部を前額面において内方に圧迫することで、仙腸関節の安定性に関与しています。

ただし腹横筋は、水平面において、ASISを内方に引き寄せる力を発揮するため、仙骨に対し寛骨が外方(EX)に開いてしまい、水平面における仙腸関節の不安定を引き起こす原因にもなってしまいます。

そのため、腹横筋による仙腸関節の安定化を正しく機能させるには、仙骨に対して寛骨を安定させる「多裂筋」を同時収縮させておくことが必須になります。

腹横筋の「上部繊維」は、配置的に骨盤・腰部の安定化には関与せず、呼気時の下部肋骨の引締めに関与します。(肋間神経支配)

現場で多いエラー動作として、骨盤・腰部を安定させようと「ドローイン(お腹を凹める動作)」をする場合に、この上部繊維を使い過ぎてしまうことで下部肋骨が固定され、骨盤・胸郭の正しい連鎖パターンを崩してしまうことが多くあります。

ドローインを指導する際は、そうしたポイントに注意することが必要となります。

また腹横筋による安定化の様式の一つとして
・Pressure(IAP breath)
も効果的な方法として提唱されています。

これは「横隔膜の収縮によりお腹を膨らませて、その後、腹筋群により外圧をかけることで腹部内圧を高める」方法となり、体幹の剛性力が非常に高い方法となります。


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