Ventangeleプレイレポ【GM視点】

 はじめましての方ははじめまして。そうでない方はお久しぶりです、Reyoです。
 今回はVentangleプレイレポ第2段ということで、GM視点でのVentangleについて覚書を残しておこうと思います。
 本記事はVentangleのプレイ経験(主にPL側)がある方を読者として想定しております。
 もし「そもそもVentangleって何?」という方が此方のページに辿り着いている場合、ひとつ前の記事やZQワークスのサイトをご覧ください。

◎ZQワークスさま

◎紹介+プレイレポ


シナリオの用意に関して:コンセンサスを取ろう


 シナリオを用意するうえで、Ventangleだからこそ気をつけなければならないポイントとしてはやはりキャラクターの属性が挙げられるでしょう。
 ここでいう属性は一般的なTRPGでも見かけるような「PCに友好的である」「PCに敵対的である」といった一般的な軸に加えて、いわゆるアダルトロールプレイに関連してくる性癖的な部分を含みます。
 アダルトロールプレイというセンシティブなものを扱う以上、最も事故りやすいのが登場キャラクター関連であることは読者の皆様にも勿論想像が出来るでしょう。
 筆者が経験してきたキャラクター関連の事故は、だいたい次の2種に収束します。

・GMが登場させたエロール用NPCが思ったよりもPLの好みから外れてしまう。
・上述とは逆に、特に設定も考えていないモブNPCがPLに刺さってしまう。

 それぞれに問題が生じるのですが、シナリオ進行に支障をきたし得るのは1つめの「PLの好みから外れたNPC」です。
 Ventangleはご存じの通り、ロールプレイによってリソース回復および獲得を行うことがシステムに組み込まれているといっても過言ではありません。オリジンやアデプトの構成次第ではセッションの大半をロールプレイによるリソース確保に費やす場合もあります。
 では、そういったリソースを得るための相手が欠けたシナリオでは何が起こるのでしょうか?
 第1に、ミドルフェイズでの情報収集全般に関わるカルマ判定の目標値が上昇することによるシナリオ進行の鈍化です。幸いにしてカルマの上限値は10と定められているため、どれだけ沼っても成功率は8%ほど保証されますが、それはそれとして辛いものがあるでしょう。
 第2に、ある程度のリソースを獲得していることを前提とした戦闘の難化です。主に戦闘系シナリオのボス戦が相当します。PCの敗北がコンセサンス的にOKなPLであっても、戦闘バランスの悪化はストレスフルです。此方については数値バランスで咄嗟の対処も可能でしょうが、ある程度の数値勘や慣れが必要となります。
 第3にして最も重大な問題は、参加者全員のロールプレイモチベーションの低下です。TRPGがロールプレイを楽しむゲームである以上、これは致命的です。
 この問題を避けるためにも、Ventangleではプリプレイでの打ち合わせを他のシステム以上に重視する必要があります。
 ある程度即効性がある対策としてはコンセンサスのリスト化および提示が考えられます。特に「苦手」や「NG」についてのすり合わせが重要です。どれだけ魅力的で性癖に刺さるキャラでも、登場の仕方や関係性次第で全てがおじゃん、なんていうのは悲しいですから。

 もうひとつの良く見る事故である「モブNPCが刺さる」については、シナリオ進行にはそこまで問題を生じさせません。敢えて言えば「プレイ時間の増加」や「想定以上のアドリブを求められることによるGMの疲労」あたりが問題になるでしょうか?
 しかし、それらは先に述べたようなシナリオが進行し辛くなる問題と比べれば非常に些細なことです。

シナリオの構造に関して:開幕エロールのススメ


 退廃の24世紀を、自分好みのキャラで駆け抜ける――Ventangleは非常にスタイリッシュな世界観を持ち、それらを非常に簡素で手軽なシステムで楽しむ事のできるシステムです。
 それを踏まえたうえで、Ventangleは成人向けのTRPGです。
 いわゆる健全なプレイもルールブック内でサポートされていますが、それはそれとして。世に数あるTRPGシステムの中からVentangleを遊ぼう、という時はだいたいアダルトな展開を求めて遊ぶのではないでしょうか?
 では、そういった「アダルトな展開」をどこに仕込むのか。
 シナリオのミドルフェイズに、回復として?
 あるいは、ボスをぶっ飛ばしたあとのご褒美的に?
 どちらも魅力的です。特にボスを倒して性的にも蹂躙するというのが性癖という方も多いでしょう。

ですが、ここで筆者は「シナリオ開始直後に、依頼への導入としてエロールを行う」ことを提案します。
 この方法には大きく分けて下記の3つの利点があります。

・プリプレイのNPCに関する相談からシームレスにシナリオ本編に入ることが出来る。
・シナリオ開始直後にカルマの低下や人脈効果の獲得を促し、シナリオの進行を円滑化できる。
・プレイ時間の配分が行いやすい。

それぞれ、どういう事なのか説明しようと思います。

 まず、シームレスな本編への突入について。
 Ventangleがプリプレイでの打ち合わせを必要とするシステムであるのは前述のとおりです。打ち合わせの内容はシナリオの傾向や登場キャラクターの属性などでしょう。シナリオの大まかな方向性が定まり、エロール相手も問題なさそう、というところまで話が進んだらいざ本編となるわけです。
 ある程度のシチュエーションなども相談できているのなら、もういっそそのまま「そのシチュエーションからシナリオを開始してしまえばいい!」というわけです。

 次に、シナリオの進行円滑化について。
 さて、本編が始まると依頼を受託し、事件の解決に向けて動き出すわけですが……Ventangleのシナリオには往々にして行動回数の制限がつきものです。もちろん、そういった制限のないシナリオを用意すれば別ですが……。
 限られた行動回数の中でいかにリソースを揃え、どう事件解決へと向かうか。GMから見ればエンディングやクライマックスから逆算して配置したパーツも、PLから見れば判りません。不透明な状況の中で積極的にエロールを行うのはキャラクターのビルド次第では困難です。
 ならば、行動回数の制限が着く前、つまり依頼を受ける際のロールプレイでエロールを済ませてしまえばいいのだ、という提案です。
 これによりカルマの低下が生じて情報収集はまず判定失敗が起こらなくなりますし、人脈効果が確実に1つある状態でシナリオが進みます。

 そして最後にプレイ時間の配分について。
 エロールはVentangleを楽しむ上で中核になりうる要素ですが、同時に非常に時間コストを要求するものでもあります。
 シナリオ進行上NPCといい雰囲気になったけど、時間が厳しいから軽めの描写で済ませてしまおう、という経験は筆者にも少なくありません。
 であれば、時間の猶予があるうちにたっぷり楽しんでおく、というのがひとつのプレイスタイルではないかと思うのです。
 ――もちろん、シナリオ進行に伴うシチュエーションの変化こそ、TRPGを遊ぶ醍醐味です。この提案はミドルフェイズでのエロールを否定するものではないと申し上げておきます。

 以上が、VentangleのGMを何回かやってみた上で感じたこととなります。
 皆さまの堕落した24世紀ライフの一助となれば幸いです。

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