Ventangle紹介+プレイレポ【PL視点】

 はじめまして、Reyoと申します。ロールプレイの大好きなごく普通のゲーマーです。
 本記事では、TRPG「Ventangle」の紹介とPL視点でのプレイレポをお届けさせていただきます。noteを使うのは初めてですので、読みにくい点があったら笑って流していただけると助かります。
 なお、記事そのものはTRPGのプレイ経験がある方を読者として想定しており、TRPGで一般的な用語は特に説明なく使用しておりますのでご了承ください。


 全部で5000文字近くありますので「長いよっ!」という場合は「そもそもVentangleって?」「まとめ」の2つだけでも読んでいただければ幸いです。

そもそもVentangleって?

 2021年7月中旬に発売された成人向け同人TRPGです。発売元となっているのはZQワークス。デザイナーは『永い後日談のネクロニカ(一般向け)』や『絶対隷奴(成人向け)』のデザイナーである神谷涼さま。表紙イラストにヘッツァさま、挿絵やサンプルキャラクターには神無月ゾロメさまやレサ夫さまと個人的にファンなイラストレーターの多いルールブックでした。

 TRPGと一口に言ってもいろいろあります。近頃よく見かけるものだと、主に近現代を舞台とするCoCやDX3rd、剣と魔法のファンタジー世界を舞台とするSW2.5やアリアンロッドでしょうか? それらと比較した場合『技術の発達した近未来(作中時間軸は24世紀)』というサイバーパンク要素と『情報生命体である神』や『別次元のエネルギーである魔力を用いた魔術・魔法』といったファンタジー要素の共存が特徴となるでしょう。
 ……え、CoCでは魔術があるじゃないかって? CoCでのハイリスクハイリターンなほぼNPC専用スキルとしての魔術ではなく、PCでも十分に扱えるキャラクターの特色としての魔術が存在する、と思ってください。そういう意味ではファンタジー世界が舞台となっているTRPGに近いですね。
 ちなみに、魔術の使い手vsアサルトライフルを構えたガンナーなんていう戦闘が普通に発生します。しました。

 細かい世界観については200P超のボリュームを誇る本編に譲りますが、神谷さまの著書によく見かける独自性の高い世界観だと感じます。また、アダルトなロールプレイがPCのリソース回復手段として成立しているなど、このゲームでしか出来ないことは多々あることでしょう。神谷さまの絶対隷奴や敗北刻印の特色を濃く継いでいるシステムでもあるのでしょう。

 このnoteを書いている2021年8月現在、多くの委託書店では品切れになっていることだけが残念。絶対隷奴のようなDL版の販売や増刷が待たれます。
 なお、委託先については神谷さまのツイートをご参照ください。


プリプレイ:キャラメイクとシナリオ相談

 さて、TRPGをプレイするにはまずキャラクター、そしてシナリオを用意して進行を担当してくださるGMが必要となります。
 このVentangle、成人向けということもあり基本はGM:PLでの1:1セッションが推奨されております。ですので、準備も一般的なTRPGと比較すると非常にスピーディーに展開します。

 今回は神谷さまの成人向けTRPGを全般に扱っているディスコードサーバーにお邪魔してのプレイとなりました。

◎キャラメイクについて

 PCを表すのは種族である『オリジン』と戦闘スタイルである『アデプト』の2種類。それぞれ10種ずつ用意されており、組み合わせとしては100通り……ではなく『アデプト』を2種類取得できる『オリジン』が存在するため180通りにも及びます。
 大雑把な分類だけでも180通りものスタイルが出来るわけで、加えて武器の選択やカスタマイズなど、取捨選択するべきデータはかなり多岐に渡るため非常に多岐に渡ります。
 武器や装備品(サイバーパンクらしく『ウェア』と呼称されます)を獲得するに際して、キャラメイク時から借金して購入という選択も出来るためロールプレイや設定を先行させることも難しくありません。

 なお、筆者は性的にもトリガーハッピーな元情報屋なキャラクターをビルド。先ほども紹介した『アデプト』を2種類取得できる『オリジン』を用いたビルドです。銃を撃つ快感を知ってしまって情報屋を辞めた、銃を撃つと濡れる(意味深)女の子です。

 さて、キャラクターが出来上がれば早速セッション……の前にシナリオ相談です。

◎プリプレイとシナリオ相談について

 Ventangleは成人向けTRPGです。ただでさえ「クチ(RP)で喧嘩しながら卓の下(PL同士)で握手をする」なんて表現がされることのあるTRPGに、人を選びまくるアダルトな表現が入ってくるので、プレイ前のすり合わせは非常に重要なファクターです。これはルールブックにも注意深い言葉選びで何度も記載されています。
 故に、シナリオのおおまかな展開について、GMと事前に相談することになります。

 相談内容は主にシナリオ傾向、シナリオ中のエロール(成人向け要素を含むロールプレイのこと。Ventangleでは立派なリソース回復&獲得手段)相手の属性の2点。
 シナリオ傾向は「戦闘系シナリオ」や「調査系シナリオ」といった大まかな枠組みに加えて、ミドル戦闘の有無や戦闘のシチュエーションといった細かい部分まで踏み込みます。とはいえ、あくまでも展開の方向性やシチュエーションの決定がメインとなるので、シナリオの内容そのものはプレイするまで判りません。TRPGならではのライブ感は相談の仕方できちんと保つことができます。
 そしてエロール相手の属性。おっぱいのサイズ1つとっても、大きいのが好きだったり小さいのが好きだったりで戦争が起こるのが性癖です。プリプレイの相談の中でも特に比率の大きい部分となるでしょう。対象が名有りのユニークキャラクターなのか、あるいはせいぜいが容姿と1,2個の特徴付けがされただけのモブキャラクターなのか。

 筆者の場合、性癖が雑食性なのもありミドル戦闘でぶちのめす事になる雑魚敵相手のシチュエーションを提示。GM側からはシナリオ中に同行することになるユニークキャラクターとのロールプレイを提示されました。どちらも魅力的だったため、相手の選択は実プレイ中の流れに応じて行う事としました。
 ちなみに、この際に同行者として提示されたのはGMの所有しているPCです。VentangleでPCの立場はおおむねハンターという何でも屋になるので、こういった形でGMの持ちキャラがシナリオに登場することもあります。

セッション

 さて、事前相談が終わったら本番です。今回は相談から1日あいて2日後のプレイとなりました。

 セッションはフルテキストで進行しました。プレイ時間はおよそ8時間程度。プレイヤーである筆者が初プレイであり途中にルールの説明を含んでいること、オンラインセッションであること、かつほぼ全編がロールプレイで進行したことの3点を考えれば普通かやや長い程度でしょうか? 
 依頼を受けるシーンからかなり丁寧にロールプレイした、という面もありますので、要所を行動宣言のみでロールプレイなしという形で進行すればより短時間になると思われます。

 シナリオの展開そのものはオーソドックスなものでした。オープニングで依頼人から依頼を受け、ミドルフェイズで必要な情報を集めながら雑魚敵と戦闘。クライマックスでは情報収集の結果得られた優位な戦場の飛び込みつつも辛勝という具合です。
 Ventangleの特徴でもあるエロールは、ミドルフェイズの戦闘後に挟まっています。お相手は、同行者でもあったGMのキャラクター。キャラメイク時のダイス結果で根無し草であったPCが、同行者の部屋に転がり込んで泊り賃代わりのマッサージから発展する……というシチュエーションでした。
 時間の都合もありがっつりというよりは軽く流す感じになりエロールのシーンそのものは1時間半程で切り上げることになりましたが、キャラクターの性的嗜好やペッティングに際する手付きの描写など、他のTRPGではなかなか考えることのない部分が盛り沢山な時間です。
 そういう意味では、一次・二次を問わずアダルトな創作に触れた経験のあるほうが楽しめるかと思います。Ventangleを気に入ったのなら、ここを入り口にアダルトな創作活動に踏み込んでみるのも良いでしょう。

 さて、TRPGで実プレイとなれば切っても切り離せないのがダイスロール。筆者の知る限り、ダイスを使わないTRPGといえばF.E.A.R.のトーキョーNOVAや、やはり神谷さまのゆうやけこやけくらいです。
 Ventangleのセッションで必要になるのは6面体ダイスのみ。オフラインでやることはないと思うので個数は特に気にする必要はないと思います。通常のダイスロールは全て2d6で完結します。
 ミドルシーンで稼いだリソースをつぎ込むことでダイス数を増やすことはできますが、最終的な判定そのものには任意の出目2つを用いるので計算も楽ちんです。
 そしてどんな状況でも2d6が乱数として適用される以上、判定値としての1点は非常に大きな価値を持ちました。

 筆者の場合2回の戦闘を経験したのですが、戦闘判定の基礎値に1点の差があるだけで非常に展開が変わります。具体的には、ミドル戦闘の雑魚(こちらが1点優位)にはほぼ無双状態でしたが、ボス戦闘(ボスが1点優位)では命中・回避ともに出目の下振れがあったとはいえガタガタでした。

 また、戦闘以外でもダイスロールが必要な場面はもちろん存在し、代表的なものは情報収集です。Ventangleのダイスロールは戦闘とそれ以外に大別されているのですが、戦闘外の判定はすこし特殊です。
 目標値が常にキャラクターのパラメータに準じて変動し、判定を行えば行うほど目標値が上昇し判定に失敗しやすくなります。目標値の上昇には上限があるとはいえ、だいたい5回も判定すれば成功率は5割を切る感じです。
 もちろん、上昇してしまったパラメータを低下させる方法も用意されています。
 察しの良い方であれば既にお気付きかと思いますが……はい、エロールが代表的な方法です。エロールそのものにパラメータの変動効果があることに加え、PCの持つコネクションの効果を発揮するための手段の1つにエロールが設定されています。つまり、パラメータを変動させる効果のあるコネクションをエロールで発動させれば二重に効果が得られるというわけです。

 ロールプレイをキャラクターリソースに結び付けるシステムは多くありますが、ここまで直結しているものは非常に珍しいかな、と思います。筆者が知る中で一番近いのはエンゼルギアでしょうかね。

まとめ

 実際にプレイしてみた感想として、Ventangleは非常にユニークなプレイフィールを持つTRPGでした。
 筆者は戦闘を得意とするキャラクターでプレイしたため戦闘を軸とした展開になりましたが、Ventangleでは「情報屋」としてのロールプレイも可能です。
 情報屋といえば、多くのシステムではGMの扱うNPCになりがちだと思います。しかし、Ventangleでは『依頼に関する情報を集めて、適切なキャラクターに投げ渡す』プレイングもシナリオの進行方法として記載されており、情報収集だけで完結するキャラクターもきちんと考慮されているのです。

 以上をもって、筆者としては以下のような方にお勧めできるシステムなのではないかと考えております。

・魔術的サイバーパンク、という言葉に惹かれる方
・戦闘ロールプレイが好きな方
・情報屋のロールプレイに興味がある方
・キャラメイク時についついシモの事情まで考えてしまう方
・アダルトなロールプレイが好きな方

 さて、このお勧め5項目なのですが、ルールブック裏表紙に非常に簡潔な言葉でまとめられております。

退廃の未来都市を駆けるRPG!

 いやぁ、やっぱり本家のキャッチコピーは素晴らしいですね。
 それでは、長い記事にお付き合いいただきありがとうございました!

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