好きな漫画の話: サトコとナダ

もう一度大学に入れるなら、比較宗教学をやりたい。
そんな今の私にぴったりはこれ!!!! 

「サトコとナダ」https://www.amazon.co.jp/dp/B0779NTZ12?ref_=cm_sw_r_mwn_dp_C9DCFSYT1JTDZNT8SXQG&language=en_US
アメリカの大学に留学生として通う、日本人のサトコとサウジアラビア出身のナダのわくわく異文化ルームシェア生活。
ナダは敬虔なムスリムで、外ではヒジャヴを被って生活している。医者志望で頭がキレて、でもとってもお茶目で明るい中東美人。最初こそサトコは驚くけれど、ハイパー適応能力が高く二人は唯一無二の友人になっていく。
漫画を通じてイスラムや他宗教のことが学べるし、なんといってもサトコとナダの掛け合いや関係性がめちゃくちゃに良い。留学っていういつか終わりが来る生活で、永遠にこの時間が続けばいいのにって願うサトコに泣いてしまう。
地球の裏側にいても困ったことがあったら絶対助けに行く!と思える友達が人生で何人見つかるのだろう。

日本にいると宗教を感じる瞬間って少ないかもしれない。(感じないだけで宗教由来の行事や風習ばかりなんだけど、たぶんそんなに気にしてない。私はそんなとこが日本人の悪いとこだと思うし良いところだと思うよ。)
でも世間には、世界には、宗教に沿って生きて宗教に縛られて生きてる人って結構いる。たくさんいる。
はたから見たらナダはそうなんだけど、あくまでナダは自分のために信仰し、自分のために神に祈る。この教えおかしくないか?と思うこともあるけど折り合いつけて生きている。親が結婚相手を見つけてくるという習慣に、「前時代的で悪かったわね!」と喚く。でも、肌を隠さなきゃいけないなんて可哀想とか、食事制限されて可哀想とか、まわりがどう思っても当人は全然そんなこと思ってない。キリスト教徒の友人ミラクルや多神教?のサトコのことも尊重してるからまわりからも尊重される。
印象的な話があって、アメリカに売ってる短いスカートや明るい色のワンピースが似合わない!と自分を卑下するサトコに対してナダは「サトコは私より自由なのによっぽど不自由なのね」っていう。真っ黒なヒジャヴに身を包むけれど、その下にはオシャレが大好きな普通の女の子がいる。あくまでナダはナダという人間で、たまたま唯一神アッラーを信仰しているだけ、というかんじ。
そんなナダにサトコを通して私も惹かれるし、あ、私たちとそこまで変わらないんだな、とも思う。

もともとこの漫画はTwitterで掲載されていたんだけど、、監修にあたった西森マリーさんは同時多発テロやイスラム過激派によるテロのニュースの中、イスラム教は危険だ、と誤解される世の中に中道派の意見を伝えるために「イスラムに関する本を作りたい」と思う中で本作の監修を引き受けられたとのこと。
もちろん、イスラムのそういった面を無視しているわけではない(ナダの友達でアフガン出身のパキザが、顔を出して外出することに緊張していると夫に「ここ(アメリカ)では殺されたりしないよ」と声をかけられるとこはグサッとくる)。でも、世界でキリスト教についで2番目に信者が多いのだから、その人たちの日常生活というものは当たり前だけどある。そういうものに触れるきっかけとしてこれはオススメしたい。
かくいう私も仕事柄、ハラルフード対応めんどくせ~~~と思っていた時期が前部署であって、いやでも……これは彼らのアイデンティティのあらわれだから……と考えを改め襟を正すのであった……。

あとシンプルにシスターフッドものとして良い。国も距離も慣習も文化も超えて史上の友達なんだよな、サトコとナダは。1巻と2巻の巻末にあるシェアハウスまでのそれぞれの道のりを経て二人でいることを想うと出会ってくれてハッピーだな~って思うんだ……4巻までしかないからさくっと読んでくれフォロワー。

私の周りの宗教のはなしはいつか書きたい!専攻のことも含めて!

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