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【ふーみん】近況_051 ふーみんのアンニュイな日曜日

こんにちは。
今回は、先日迎えた誕生日の前日の体験を書いてみました。長文になってしまい、ネガティブ要素もあります。お暇で、余裕があって、興味があるという方はご覧ください。


その日は車で母と買い物に出ていた。
久しぶりの買い物になってしまったので、色々買う必要があった。母の希望があって、猫が飲む天然水やエサはホームセンターA、猫砂はホームセンターBのもの。スーパーCでペット用品や食材を買い、スーパーDのトイレットペーパーを買う。孫のためのクッションも見に行きたいとのことで、店舗Eも寄りたいとのことだった。

水の違いは自分にはよくわからない。「違う天然水だと猫が飲まなかった」と言われたことがある。猫を大事に思っていない訳ではないが、そのへんの水では駄目らしい。

当日の自分の調子は一旦置いておく。延期しても仕方ないし、考えず動けばそれで終わる。位置的にA→E→C→B→Dの順で5件を回ることになる。面倒くさいと感じても、それを伝えられず、あきらめ飲み込む。

その日は14:00に散髪の予約を入れていた。少し前に入れたもので、調子がよければ問題なく間に合うはずだった。

でも身体が重い。頭が重い。
朝のスタートが遅れる。

それでも必要なものだけ買い集めれば、その時間までには終わる。母には予約の件を伝えない。伝えられない。

でも、どの店でも時間がかかる。車を持たない母にとっては、自転車で行くにはちょっと遠い店ばかり。3件目で孫向けに、「どれがいいかしら」とトミカおもちゃを見ている。
時間は13:30になろうとしていた。

昼食どうしようか、と聞かれる。
母の提案は惣菜弁当を買ってフードコートで食べようかというもの。考えるのも面倒で、それでいいと応じる。さっと済ませたくて、大きめのおにぎりを1つ選んだ。

入ってみて気付いたが、日曜昼のフードコートはかなり混んでいて、気が張りとても落ち着かない。予約にもとても間に合わない。食べるのをあきらめて、それを母への当て付けにしようかとも思った。

清掃のおじさんが前を通る。少しよろけながらも懸命にテーブルを拭き取り、乱れたイスを整えるおじさんを見て、何ともいえない気持ちが込み上げ、おにぎりにかじりついた。

トイレに行くと言って、美容室にキャンセルの連絡をいれた。得られたものは果たして安堵だったのだろうか。流し去ったものは、果たして不安だったのだろうか。足に力が入らなくなるのを感じた。

自分の計画立ての下手さに目が向く。
なんで浅はかに予約を入れたのか。
なんでもっと早く動きだせなかったのか。

なんで母に予定を言わなかったのか。

なんで言えなかったのか。

常識や当たり前、損得以上にも感じる謎の抵抗感。そしてそんな自分への失望。母ではなく、「母と向き合うときの自分」が自分のエネルギーを奪うのだ。

まっすぐ停めたとばかり思っていた車が、戻ってみたらバッチリななめに傾いていた。

母に相対する自分は、相手を「守らなければならないもの」と捉える。今に始まったことではない、昔から。守ってもらった記憶が薄いとは、思っていたとしても言えない。そんなことを思っては申し訳ない。感謝が足りないのだと言い聞かせる。

「さっきクッションを見たけど、いろいろあって決められなかったわ。難しいね。クレーンゲームでぬいぐるみを取って代わりにしようかしら。でも私には無理だわ。お父さんは上手だったの」
母は無邪気に笑った。

4件目のホームセンターで買い物し、重たい荷物を先に車に積みにいく。

前の方が何か落としていたようで、それに気がついた自分の後ろにいた人が走って声をかける。自分は気付けなかった。目には入ったが、はいってなかった。申し訳なさのようなものが込み上げた気がするが、もう空き容量も置き場もなく、頭の外のその辺に漂ってついてくるような状態だ。

停めた車の後ろにはちょっと大きな水溜まりがあって、落とさないよう用心深く猫砂などを積んだ。停めるときには気にしていなかった。よく思い返せば、目には入っていた。母の降りる位置には気を配って停めていた。

店のほうへ戻ると、母が屋外のレジで戸惑った様子を見せていた。
店員さんとの間にある仕切りのビニールの下から、レジを覗き込もうとしてる。会計が聴こえなくて、表示もビニールで見づらいのだ。

ズルい。

そんな状態を見せられてしまったら。まるで人質を取られて脅迫でもされているかのような気分になる。

放っておいても、母は「耳が不自由」とアピールして、店員さんも気付いたら何とか対応してくれるのだろう。

でも目にすると身体が先に動いてしまう。
「気付いておいて動かない自分」になるのが怖いのだろうか。動かなければ、後で必ず自分を責める。今懸命に守ろうとしている小さな自分が、たとえ「自分を苦しめているもの」になってしまっているとしても、それを壊す勇気は持てずにいる。きっとその後、自分には何も残らない気がする。

会計したレンガを運び、車にのせる。母がすっと除菌シートを差し出してくれた。
受け取ったそれで手をさっと拭き取る。それはゴミ箱にぽいと捨てて、次の目的地に向けて車を出した。

おわり?

おわり。

にょろりんで、ぐるんぐるんで、へろんへろん。
ここまで読んでいただいてありがとうございます。