【たっくん】雑記_016 障害の神様であるヒルコについて解説してみる

おはようございます、こんにちは、こんばんは、おやすみなさい、はじめましての方は、はじめまして! たっくんです!

今回の記事は障害者のルーツを探っていくものになっています。

この記事を読んでいる方に聞きたいのですが、障害を持って生まれた神様を知っていますでしょうか?

日本の神話にはヒルコという障害を持って生まれた神様がいます。

現在、アニメとして放映されている『サマータイムレンダ』でもヒルコという神様が出てきますので、今から『サマータイムレンダ』を観る方はDisney+(ディズニープラス)に契約して視聴してみてください。

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僕は回し者ではございません。

『サマータイムレンダ』は今、僕が最も推している作品ですのでネタバレを見ずに、そのまま読んでいただければと思います。

本題に入りますが、ヒルコという神様は、日本で最初の男神おがみであるイザナギと、日本で最初の女神めがみであるイザナミの間に生まれた最初の子です。

イザナギとイザナミは聖書でいうアダムとイヴにあたる神様だと思ってくれたほうがわかりやすいと思います。

イザナギとイザナミの間に、はじめて生まれたヒルコだったのですが、3歳になっても体がグニャグニャで立つことさえできませんでした。

そのような障害を持って生まれた理由ですが、子作りの際に女神であるイザナミから先に男神のイザナギに声をかけたことが原因で不具の子として生まれてしまったのです。

最終的にヒルコはイザナギとイザナミによって葦舟に乗せられて海へ流されました。

これが古事記に書かれているヒルコのすべてとなります。

葦舟で海へ流されたあとのヒルコが歴史の表舞台に立つことはありません(※本来の歴史では、という意味です。詳しくは下記に書いてあります)。

障害を持って生まれた者としては残酷に思えるでしょう。

今の時代に障害者を葦舟に乗せて海へ流したら、それはもう大問題ですよね。

どうしてイザナギとイザナミは、なぜ、そんなむごい行為をする決断をしてしまったのでしょうか……?

諸説としては《けがれ》という価値観が影響しています。

《穢れ》とは病気や死を意味する不浄なものという意味です。

当時の人々は《穢れ》を忌み嫌っていました。

体が不自由なことも《穢れ》の一種です。

ヒルコは不吉な子だとイザナギとイザナミに思われたことで、海へ流されることになったのです。

この《穢れ》を払うための行為が《みそぎ》――身を清める行為です。

ちなみに《穢れ》を忌み嫌う価値観は現代の日本人にも受け継がれています。

現在でも「神社の参拝前に手を洗って清める」「葬儀の後に体に塩を振りかける」という風習がありますよね――それが《穢れ》を払うための《禊》です。

また、ヒルコを中心に話を戻しますが、ヒルコは漢字で「水蛭子」「蛭子神」「蛭子命」「蛭児」などと表記されます。

漢字表記がバラバラなのは古事記での表記だったり、日本書紀での表記だったり、祀られている神社での表記だったりで、どうしても統一されないのです(ほかの日本の神々もそうです)。

「蛭」という字が入っていますが、それは動物のヒルと漢字表記が同じではあるのですが、それは後付けの設定であると言われています。

確かにヒルのように体がグニャグニャとしていて足腰が立たないヒルコですが、実は日本神話の中心的な神様である天照大神あまてらすおおみかみと名前が対の関係になっているのです。

天照大神ことアマテラスは別名、大日孁貴神おおひるめのむちのかみとも呼ばれます。

「おおひるめのむちのかみ」の間にある「ひるめ」に注目してほしいのですが、どこかで見覚えがありますよね。

ヒルコは「日る子」、アマテラス――ヒルメは「日る女」と表すことができます。

「日る子」は太陽の子(男)、「日る女」は太陽の女という意味です(※「る」は「の」の古形であり、「の」を意味します)。

蛭子の「子」は女性であると勘違いされやすいのですが、本来は男性であるという意味になります(※小野妹子おののいもこにも「子」が名前に付くように当時は男性の名前に「子」を付けても違和感がなかったのです)。

ちなみに『サマータイムレンダ』のヒルコは女性的な表現がなされていますが、正しくは男性です(※『サマータイムレンダ』の世界では女性なのかもしれませんが……)。

縄文時代の太陽の神は男です。

古代の稲作農耕社会では名も無き男神の太陽神が祀られていました。

弥生時代の太陽の神は女です。

弥生時代は卑弥呼ひみこのような巫女が活躍していましたからね。

本来、祀られていた太陽の男神が太陽の女神に切り替わった理由は巫女が原因です。

太陽神を祀るのは多くが女性の役割で、その巫女は《神の妻》とも、みなされていました。

これがアマテラスの原型です。

その後、祀る巫女と祀られる男神の太陽神が混同されていき、男神の太陽神に代わり女神の太陽神に切り替わったということです。

その流れが古事記と日本書紀にも組み込まれたのでしょう――古事記と日本書紀ができたのは奈良時代でした。

ヒルコが流された理由が、なんとなく見えてきた気がします。

縄文時代の太陽神がヒルコにあたる名も無き神であり、弥生時代の太陽神が《神の妻》として崇められていた卑弥呼のような巫女がヒルメ――アマテラスだったということが言えると思います。

まとめに入ります。

古事記や日本書紀では残酷な扱いを受けていたヒルコですが、あとの時代ではエビスと習合しゅうごう(様々な宗教の神々や教義などの一部が混同ないしは同一視される現象のこと)して福の神となりました。

葦舟が無事に岸に流れ着いて、そこで魚釣りの神になったというわけです。

当時の庶民の伝承でヒルコはエビスになったんだよ、って現代にも語り継がれているのでした。

今の時代では蛭子ひるこ蛭子えびすとも呼べますからね。

ちなみに「蛭子」とつく名字は「えびす」読みが多いです。

ヒルコのような《福子伝説》は日本各地に存在しています。

障害を持った子が生まれると、その家は栄えるという言い伝えがあり、障害の子が一生こまらないようにと、家族全体が心を合わせて仕事に励む結果が、その家を栄えさせることになる……というのが《福子伝説》です。

そんな感じでヒルコはハッピーエンドを迎えました!

僕たちもハッピーになれるようにがんばりましょう!

文章が長くなりましたが、以上です!

たっくんでした!!

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