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始まり。まだ、何もない。

世界は、ひとひとりの人生では網羅できない程のモノで溢れている。

過去よりも、より多くのモノで溢れた現代。
店舗や雑誌から流行が生まれた時代は過ぎ去り
SNSから流行が生まれる。

そんな現代、店舗のセレクトにはどんな意味があるのだろうか。

そんな疑問がうかんだ。


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誰かが言っていた。
「人は知っていることしか、見えない。」と。

知らないことを知るというのは
理解、納得、把握、受け入れるなど
様々な角度からの意見にも目を向ける事であり
自身への戒めや、固定概念を払拭することにも繋がる。

必ずしも、知る事 = 納得 ではないと思うが
知る事 = 可能性だと思えば、人生に楽しみが増える。


私のセレクトは、衣食住といったジャンルを問わず
これまでに出会った様々な人物や出来事から「知った事」が大きな土台となっている。

知識や洋服屋の勤務経験に絞れば、安定感のある販売員になれるし
人気や珍しいモノの所持にこだわれば、ひとつの特徴になる。

私の場合、結果的に其々を少しかじる事となり
取捨選択した結果が今となったようだ。

まぁカッコ良さげに書いたが、広く浅くとも言える。
が、その広さがわりと広くできたらしい。

実際どんな事を考え、その時々を過ごしたのか
私自身の紹介も兼ねて、これまでに知る事を学んだ出来事
少なくとも視野が広がるきっかけとなった出来事を少しずつ書いていこうと思う。

もう一度書くが、ファッション(アパレル)だけでなく
様々な出会いが私に大きな影響を与えた。

そしてその経験は、私なりに思う
現代の店舗セレクトの意味にも繋がっているようだ。


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かの有名な言葉「考えるな、感じろ。」を体現した新社会人


18歳、高校を卒業した私は、とくに将来設計があるわけでもなく
当時流行していたカリスマ美容師をみて、「なんか楽しそう。」
そんな軽い気持ちで某会社(美容室)に入社した。
ビューティフルライフ、アクア、ビューティーコロシアム。
同世代には懐かしいフレーズだと思う。

しかし出社初日
ここは美容室ではなく 理容室だと知り、入社半日で退職。
そんな事ある?と自分でも思ったが
卒業文集に担任も「立派な美容師になれ!」と書くほど
誰もがほんとに美容室だと思っていた。

在籍時間、数時間。

その後、某有名海外コレクションに スタッフを派遣する美容室に入社。
店舗に飾ってあった、英語で書かれた沢山の賞状は輝いて見えたが
なにかイメージと違う。1週間で退社。。。

私は美容師には向いていない。じゃあ何をするか。
ん-ファッションに興味があるので、アパレルで働いてみるか。
そんな軽い気持ちだった。

求人雑誌に載っていたアパレル企業に面接希望の連絡。
1件目にかけた企業が、翌日に面接をしてくれるとの事。

面接当日、結果でいうと即採用。
「明日から来て下さい。」

面接官いわく
「30人ほど面接して、ようやく合格者を決める事が出来ました。」
「この春からレディースだけでなく、メンズもスタートさせるので
メンズのスタッフを探していました。」

販売未経験にはハードルが高く感じたが、とてもやりがいはある。

とはならず、んー辞退しようか。
帰りの地下鉄、イヤホン越しに聞こえる最寄り駅のアナウンス。
立ち上がる気になれず数駅通り過ぎると
地下鉄は地上の路線に切り替わり、目の前に海が見えた事を覚えている。

初めてみる景色に何か思う事があったのだろう、きっと。
結局この会社にお世話になる事にした。

辞退を考えたのは、仕事内容に関しての不安や
待遇への不満ではなく、違った理由から。

高校卒業直後の4月、既に2件の退社。

実家に飾ってあった、ブルースリーのパネルの影響なのか(Don't think feel!)
考えるよりも、直観優先で選択をする人間に育っていたようだ。

今回の選択がどんな考えや、今に繋がるのか。


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4月下旬、ようやくキャリアのスタートとなるアパレル企業に入社。

私がこの面接を受けた頃は
ラガーシャツに、ラルフローレンのチノパン。
アディダスのスニーカーとLLBeanのリュック。
いわゆるアメカジベースのファッション。

応募したのはレディースのショップではあるが
カジュアルベースであれば対応が出来る。そう考え応募。

当然求人案内は、ショップ名ではなく企業名が掲載。
WEB検索がない当時、企業名で判断できない事が多すぎた。

面接場所は店舗。そこに即採用を頂いても躊躇した理由があった。

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私が全く通ってこなかったファッションジャンル。
店員がゴスロリやパンクロック、そんな店舗だったからだ。

そんな戸惑いからのスタート。
働きだしてからは良くも悪くも毎日が濃い。ほんとめちゃくちゃ濃かった。


London calling


メンズが立ち上がり直後で、まだまだレディースの店舗だったが
パンクロック好きな女性スタッフがいたので
たまに友人の、こんなバンドマン達が来店していた。

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下唇を貫通したり、ベロにあいたピアス、ゼロゲージのボディピアス。
人によっては顔にまで入ったタトゥー。
テンション高い人から、クールな人まで。
ランシドばりのモヒカンや、シドのような黒髪ツンツンヘアー。サングラス姿のミッシェルのような人まで。

当時18歳、高校時代に雑誌fruitをたまに購入してはいたものの
自分がそのままのスタイリングで着たいわけではなかったし
自分の人生で交差する事がないであろうと考えていたジャンルの人たち。

テレビや雑誌とは違い、実際に会話できる目の前の人々は
当時の私にとって未知の人種であり
共通項が少なすぎてタブーがわからず、言葉を誤れば即激怒されるのではないかと少し敬遠していた。

とはいえ、みんなガリガリの体に鋲付きの革ジャンがめちゃくちゃ似合っててカッコよかった。
思えば、ジェットラグ(当時福岡にあったイケてる古着屋)に
革ジャンを探しにいったのは、この人たちの影響でしかない。


まぁそんなお客様もいらっしゃるので
店内BGMも中々のボリュームだった。

他にマンソンの音源も置いてあった。ほんとに。
まずこのバンドのジャケットのカッコよさに驚いた。

このあたりはライトなので、店内で流しやすかったのを覚えている。

店長とスタッフ、其々で音楽の好みが少し違い
誰かが休みの日は自分好みの音楽をかけ
場合によっては小声ではあるが店内でシャウトする。

そんな個性的な店頭は、自分の中にあったファッションの概念を少し壊しはじめていた。


目の当たりにした存在感


スタッフの1人に偶然同い年の方がいたが(パンクロックより)
その方は高校にはいかず働いていたので、バリバリ仕事が出来る人だった。

そして何よりもオシャレ。
ジャンルが違う私からみても、それが理解できるほど。

厚底ブーツに黒のアイシャドウ、黒の唇、刈り上げでパッツンの黒髪。
耳も口もピアスジャラジャラ。

文章だけだとこのジャンルではよく見るファッションに感じるが全然違う。ほんとに。

お客さんにファンが多く、コーディネート、メイク、髪型に至るまでそのスタッフのコピーをしている方が多かった。
当時流行ってた「カリスマ」という意味がわかりやすく可視化されていた。

店長(ゴスロリ系)もオシャレで
洋服のサイズ感といい色合わせといい、いつも絶妙なバランスだった。
パキッと明るい金髪、ハキハキした口調は自信に満ちていた。

この二人が接客しているお客様は常にほんと楽しそうで
この二人の存在はオシャレをする楽しさだけでなく
きっと洋服を介して様々な方に、自信や勇気を与えていたと思う。
というのも、休職や不登校など様々な悩みを抱えていた方々も前向きになっていたからだ。

この当時、どちらかと言うと自分のためのファッションだった私は
お客様の為のファッションを提案出来る二人の接客と
何よりもお客さんの笑顔を見て
洋服だけでなく、接客の与える影響の大きさを深々と感じさせられた。

「こんな接客が自分に出来る日がくるのだろうか。。。」


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ここまでは、どちらかというと良い濃さを書いたが

元々興味がないファッションジャンルで働く事は
様々な葛藤や、衝突があった。

レディースショップに、付け焼刃の男性ショップ店員。
先ずは少量ではあったが、スタートしたばかりのメンズ服。

次回は悪いほうの濃さ。
店長には毎日のように怒られ、仕事もやる気なし。悪循環。

しかし、その状況を打破するきっかけが訪れる。

next 『あの人の 手の甲に彫られた蝶は綺麗だった。』


とはいえ、誰も興味がないと書くのも億劫になるので
スキを頂けたら続きを書かせてもらおうと思う。

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