#003 WVRPS(ユーティリティ)
今回も、現時点で世界No.1の音楽NFT「WVRPS(ワープス)」の人気の理由を更に深掘ってみたいと思います。
1. ユーティリティ
ユーティリティは、直訳すると効用という意味ですが、NFTを購入することにより得られる「特典」を指します。
ユーティリティが魅力的であるほど、NFT自体の価値が上がるため、各NFTコレクションは独自のユーティリティを用意して差別化を図ります。
(1) 二次利用
WVRPSホルダーには、所有するNFTのアートワーク、及び楽曲の商用利用権が付与されています。これは、ホルダーが二次創作にてマネタイズできるということであり、クリエイター向けのユーティリティといえるでしょう。
アートワーク自体はデザイン変更不可ですが、楽曲はステムデータも取得でき、自由にアレンジやRemixが可能となります。(クレジットには、「Contains a sample of WVRP #XXXX」の記載が必須です)
NFT購入層のほとんどは、自身で楽曲を作らないことを考えると、特定層のみを訴求するユーティリティといえるでしょう。但し、商用利用を可能にしているという姿勢を示すことは、NFTホルダーから好感を持たれるメリットがあります。
(2) プレゼント
WVRPSは、ホルダー向けに定期的にAirdropを行っています。Airdropとは、NFTホルダーのウォレットに、無料でNFTをプレゼント(送る)ことを意味します。
ホルダーとしては、無料で新しいNFTが入手できるのですが、このAirdropされたNFTの流動性(価値)があるかが重要です。
WVRPSのAirdropは、0.001-0.02ETH程度で取引されているため、そこまで流動性が高いとはいえないでしょう。
https://opensea.io/collection/wvrps-drops
人気のNFT PJでは、AirdropされたNFT自体に数10-100万円の価値が付くこともあり、ホルダーがNFTを長期保有するインセンティブになっています。
(3)イベント参加
WVRPSは、バーチャル及びリアルにてイベントを開催予定で、ホルダー限定で参加できるようになるでしょう。
現状では、毎週Twitchにて開催されているバーチャルライブにそこまで人が集まっていないことに鑑みると、どこまで訴求力があるかは不明ですが、バーチャルアーティストや楽曲の人気に比例して、イベントに対するニーズも上がることが予想されます。
(4) Perkshop(抽選会)
WVRPSホルダーのみが応募できる、特典の抽選会が実施されています。特典には、Mike ShinodaとのコラボNFTや他のNFTコレクションのAllow list(優先購入権)など、50-100個ほど用意されており、バリエーションが豊富です。
また抽選で当たれば無料で獲得できるため、ホルダーからも評判のいいユーティリティになっております。但し、抽選なので皆が当たるわけではなく、どこまで興味を維持できるかは、今後注視する必要があると思います。
(5) ホルダーとの共作
将来的には、ホルダーと共同でバーチャルアーティストを育成することも、マイルストーンに盛り込まれています。
これは、いわゆるDAOレーベルの考え方であり、従来はレーベルが独占していたプロデュースを民主化する試みです。但し、実現可能性や、どこまでをホルダーに解放して、どこを運営側がコントロールするか、等、実務面での課題は山積です。
Web3の新規性でもあり、且つ障壁でもある非中央集権的なアーティストプロデュースがどのように進化するのか、注目すべきでしょう。
2. ユーティリティのまとめ
WVRPSのユーティリティは、クリエイターなどの特定層に限定されており、それがトップのNFTコレクションと差を開ける要因の一つのようです。
但し、その他の音楽NFTコレクションと比較すると、特にAirdropやPerkShop、等、無料でNFTを獲得できる機会が多く、既存ホルダーの満足度を維持できているといえるでしょう。
今後は、独自のコンテンツ(バーチャルアーティスト、楽曲、等)の人気をどこまで高めて、イベントなどの付加価値を向上させるかが鍵となってきそうです。
次回の記事では、WVRPSのマーケティング戦略について深ぼっていきたいと思います。
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