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IT×医療 ~オンライン診療は、医療分野における新たなスタンダードとなるのか?~

皆さん、こんにちは!
リバイバルブックスの布施です。
リバイバルブックスでは、各業界に関する投稿を毎週行っていますが、実は私が投稿するのは約2か月ぶりです…。少しブランクはありましたが、頑張っていきたいと思います!


さて、今回はIT業界編の第2弾です!
10月に第1弾を公開しているので、まだ見ていない方は、そちらを見てからこの投稿を見て頂けると幸いです!

人手不足の影響は?―IT業界の未来を占う―|東洋経営学生支援団体リバイバルブックス|note

今回は、オンライン診療について触れていきます!
新型コロナウイルスの影響で、病院に行くのをためらっている人もいるのではないでしょうか?そこで注目され始めたのが、オンライン診療であり、私自身も今回、この新たな医療方式に目を付けました!今回は、オンライン診療に関する政府の指針とIT業界の関わりを中心に、深く探っていきます!



目次

1.オンライン診療とは?
2.オンライン診療のメリットとデメリット
3.オンライン診療に関するIT業界の考え
4.オンライン診療に関する、IT企業の取り組みについて
最後に



1. オンライン診療とは?

そもそも、オンライン診療の正確な定義とはどのようなものでしょうか。厚生労働省によると、オンライン診療とは、


遠隔医療のうち、医師―患者間において、情報機器を通して、患者の診察及び診断を行い診断結果の伝達や処方等の医療行為をリアルタイムにより行う行為


と定義されています!何らかの理由で通院が困難であったり、近くに専門医がいなかったりする時などにオンライン診療が利用されているという実例が政府の未来投資会議構造改革徹底推進会合で報告されています。また、


患者の日常生活の情報も得ることにより、医療の質のさらなる向上に結び付けていくこと
医療を必要とする患者に対して、医療に対するアクセシビリティ(アクセスの容易性)を確保し、よりよい医療を得られる機会を増やすこと
患者が治療に能動的に参画することにより、治療の効果を最大化すること


を目的とし、守秘義務や安全面、正確な情報の提供などに留意し、責任感を持って対応していく事を基本理念として掲げています。



2. オンライン診療のメリットとデメリット

ではオンライン診療には、どのようなメリットデメリットがあるのでしょうか。MMD研究所は2020年10月から11月の間、オンライン診療を利用したことがある人321人に行ったアンケート調査を起こった結果、以下の回答を得ることが出来たそうです。


図1は、オンライン診療を受けたきっかけについて尋ねたものです。これを見る限りは、感染症への不安や待ち時間及び通院時間の短縮等、最近私たちがオンライン授業の良いところと重なるところがありますね。


画像2


図1:オンライン診療を利用したきっかけ
出所:MMD研究所HP、https://mmdlabo.jp/investigation/detail_1902.html


図2は、オンライン診療を利用してみて良かったと思うことを表したものです。図1で回答していた目的を概ね達成している方が多いということが分かりますね。


画像2


図2:オンライン診療を利用してよかったこと
出所:図1と同じ


一方、図3は逆に不安だったことや不満に感じたことを表したものです。やはり対面ではない分、触診や処置が出来ないため、不十分であると感じている人も少なくないようです。また、オンライン診療に対応している医療機関の数が少ない点も、まだまだ課題ですね。


画像3


図3:オンライン診療を利用して不安や不満に思ったこと
出所:図1・2と同じ


以上のようなアンケート結果より、オンライン診療は、
・メリット:待ち時間を短縮できる通院のための費用や時間がかからない
・デメリット:触診や処置が出来ない分、正確な病名の判定や適切な処置が出来ない可能性がある
ということが分かりますね!満足度が高かったというアンケート結果も出ているので、今後オンライン診療が拡大していく事は間違いないでしょう。



3. オンライン診療に関するIT業界の考え

ここまではオンライン診療の概要について説明してきましたが、ではオンライン診療は、IT業界との間にどのような関わりがあるのでしょうか?実は、日本IT団体連盟が2020年の5月に政府へ提言した、「withコロナ時代を見据えたデジタル化・オンライン化推進のための政策提言」の中に、オンライン診療を推進していく必要性が明記されており、重要課題の一つとしてIT業界は捉えているのです!
また、2020年10月には、更に以下のような提言を政府に対して行いました。図4は、その全体像を示したものです。


第2弾


これだけでは少しわかりにくいですよね?もう少し具体的な話をすると、オンライン診療には、課題として、

初診のオンライン診療の報酬は、対面の初診の時よりも点数が低い→医療機関側は対面の方が多くの報酬を稼げるので、オンライン診療の導入に消極的になってしまう
誤診やプライバシーの侵害、なりすましのリスクが高い
医師が患者から得られる情報が少ない

などといった課題を、日本IT団体連盟は列挙しています。この課題を解消するために、

電話診療を除いたオンライン診療の点数を対面の時と同水準にする(恒久的に)
事業者自らの取り組みについて自主的なガイドライン制定を政府が支援する
5Gをはじめとする通信環境の整備や医療機器プログラムの開発などの支援を行っていく

などといった解決策を、政府に提言しています。(プログラム開発等の整備については、次の章で詳しく触れます)

いかがですか?IT業界が医療の分野に対して政策提言を行うのは意外だと感じた人もいるのではないでしょうか。本格的な導入に向けて課題は多いですが、政府とIT企業、そして医療機関が連携してより良いシステムを作ってほしいですね!



4. オンライン診療に関する、IT企業の取り組みについて

最後に、オンライン診療のシステム面の整備に関して、具体的な事例を紹介していきます!今回は、富士通が新たに開発したシステムについて紹介します。

富士通では、新型コロナウイルス感染症に伴う院内の感染防止策や医師の働き方改革を支援することを目的として、電子カルテシステムと連携した「FUJITSU ヘルスケアソリューション オンライン診療ソリューション(略称:オンライン診療ソリューション)」の販売を開始しました。これは、既に開発・提供を行っている「FUJITSU ヘルスケアソリューション HOPE LifeMark-コンシェルジュ」(※1)と連携して、アプリで通知されたオンライン診療で利用するビデオ通話システムのURLに患者がアクセスすることで、安心・安全なオンライン診療を実現することが出来るシステムです。

(※1)「FUJITSU ヘルスケアソリューション HOPE LifeMark-コンシェルジュ」:患者がスマホアプリで診療予約から会計までを行えるシステム。2016年から提供開始。

このシステムを導入すると、安全性の担保や業務の効率化を実現するだけでなく、

安心・安全かつスムーズなオンライン診療の実現
診療予約から会計までトータルでサポート
電子カルテと連携することによる院内業務の効率化

を実現することが出来るようになります!富士通では、オンライン診療ソリューションの機能を徐々に強化していき、2025年度末までに850施設への当システムの提供を目標としています。今後も、既存のシステムとの連携を増やすことで、患者や医療従事者の様々なニーズにこたえていきたいと富士通はコメントしています。


富士通


図5:オンライン診療ソリューションのイメージ図
出所:富士通HP、https://pr.fujitsu.com/jp/news/2020/11/25.html

このシステムを導入すれば、前の章で指摘したなりすましの問題は解消出来そうですね。今後もイノベーションの進化に期待しましょう!



最後に

いかがでしたか?オンライン診療はIT業界と密接な関係があることが分かりましたね。また、富士通が新たに開発したシステムが、どの程度広がっていくのかも楽しみですね!
それでは、また次回の投稿でお会いしましょう!最後までご覧頂き、ありがとうございました!



参考資料

一般社団法人日本IT団体連盟、https://www.itrenmei.jp/、2020年10月11日取得
厚生労働省 オンライン診療に関するホームページ、https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/rinsyo/index_00010.html、2020年12月1日取得
首相官邸HP オンライン診療のご紹介と課題、https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/miraitoshikaigi/suishinkaigo2018/health/dai8/siryou5.pdf、2020年12月11日取得
富士通 電子カルテシステムと連携した「オンライン診療ソリューションを順次販売開始」、https://pr.fujitsu.com/jp/news/2020/11/25.html、2020年12月1日取得
MMD研究所、https://mmdlabo.jp/、2020年12月1日取得

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