準バナッハ空間における不動点定理

$${\|u+v\|_X\le C(\|u\|_X+\|v\|_X)}$$
を満たす準バナッハ空間$${X}$$の空でない閉部分集合$${S}$$から$${S}$$への写像$${\varPhi}$$が或る定数$${0\lt K\lt 1}$$について
$${\|\varPhi(u)-\varPhi(v)\|_X\le K\|u-v\|_X}$$
を満たすとする. また$${\|u\|_S\le M}$$を満たす$${u}$$によらない定数$${M}$$が存在するとする. このとき
$${\varPhi(w)=w}$$
となる$${w\in S}$$が一意に存在する.
(証明)
$${u_0\in S}$$を任意に選び
$${u_{n+1}=\varPhi(u_{n})}$$
として点列$${\{u_n\}\subset S}$$を定義する.
$${\|\varPhi(u_{m})-\varPhi(u_n)\|_X}$$
$${\le K\|\varPhi(u_{m-1})-\varPhi(u_{n-1})\|_X\le…\le K^n\|u_{m-n+1}-u_1\|_X\le 2CM K^n}$$
右辺はいくらでも小さくできるゆえ$${\{u_n\}}$$は$${S}$$のコーシー列であり$${S}$$の完備性と$${S}$$が閉部分空間であることより或る$${w\in S}$$に収束する. $${\varPhi}$$は連続だから
$${\varPhi(w)=\varPhi(\lim u_n)=\lim\varPhi(u_n)}$$
$${=\lim u_{n+1}=w}$$
である. 他に$${\varPhi(w')=w'}$$となる$${w'\in S}$$があれば
$${\|w-w'\|_X=\|\varPhi(w)-\varPhi(w')\|_X}$$
$${\le K\|w-w'\|_X}$$
ゆえに$${w=w'}$$.
(END)

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