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AIが算出した日本社会のシナリオとは〜広井良典『人口減少のデザイン』 / 福島12市町村での「起業」を発信するパートナーを公募 (9月21日)

■広井良典『人口減少社会のデザイン』★4.0

「都市集中型シナリオ。主に都市の企業が主導する技術革新によって、人口の都市への一極集中が進行し、地方は衰退する。出生率の低下と格差の拡大がさらに進行し、個人の健康寿命や幸福感は低下する一方で、政府支出の都市への集中によって政府の財政は持ち直す」「地方分散型シナリオ。地方へ人口分散が起こり、出生率が持ち直して格差が縮小し、個人の健康寿命や幸福感も増大する」p23
「人口減少社会においては「人生前半の社会保障」、つまり若い世代への支援の強化が何より重要であり、またすでに生じている世代間の不公正を是正するためにも、たとえば年金給付約55兆円のうち、高所得高齢者向けのせめて一兆円程度を、課税等を通じて教育・雇用等を含めた若者支援に再配分する」p311
「地域ないし国土の構造として、「多極集中」という方向を実現するとともに、「コミュニティ空間」という視点を重視した「歩いて楽しめるまちづくり」を積極的にすすめる」p311

広井良典『人口減少のデザイン』

 2017年、日本社会の未来をAIを用いてシミュレーションする取り組みが公表され、話題になりました。その代表研究者である筆者が、研究の内容を簡易にまとめた一冊です。

 この研究では2050年に向けて2万通りにおよぶ日本社会のシナリオを描き、結果として「都市集中型」ではなく「地方分散型」が持続可能性・健康・幸福といった観点で望ましいと結論づけました。

 広井先生はコロナ感染症の広がりを踏まえた分析も行っていて、女性の給与改善や、仕事過程の両立といった「多様な働き方」を推し進めることが大事だとし、「人生の分散型」社会を目指すべきと主張しています。

 私は福島の移住施策を中心に取り組んでいるわけですが、そこに集う方々は必ずしも地方一辺倒というわけではなく、都市と地域の仕事を掛け持ちしていたり、海外もふくめて各地を飛び回っている方が少なくありません。仕事も組織も分散型のライフスタイルを送られています。移住支援センターの仕事は、福島をさらに多様で分散的な場にしていく営みと言えるかもしれません。


■福島12市町村での「起業」を発信するパートナーを公募

 昨日、移住支援センターで新たなプロポーザルを実施することを公開しました。

 福島12市町村では、他から移り住み、新しくこの地で生業を起こす方を求めています。実際、原発事故以降、多くの方が開業し、地域に彩りを加えてきました。全国でのトップレベルの支援制度も用意されていますが、起業に関してまとまった情報サイトがなく、ローカルで起業を考えている方に、福島での可能性が届いていない現実があります。

 そこで今回のプロポーザルを通じて、福島12市町村での起業情報をまとめたサイトを立ち上げ、また地域での起業に関心ある方に届ける取り組みを求めています。

 関心ある事業者の皆さんは、ぜひ募集要領や仕様書をみて頂ければとおもいます。福島での起業をともに支えていくパートナーが現れることを、期待しています。

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