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NPOは日本社会で信頼を勝ち得るか。~新公益連盟幹事会より

 10月24日は、事業型NPOと社会的企業100団体によるネットワーク組織である新公益連盟( https://www.shinkoren.or.jp/ )の幹事会が、大阪で初開催されました。社会的企業は東京に偏っていることもあり、新公連としても全国に拡大することを目指しています。大阪は白井理事中心に結束力が強く、独自の企画も多数進めて頂いています。
 さて今回は、そうした新公益連盟幹事会で行われる会合の内容と、最近の問題意識について共有しておきたいと思います。

1.コレクティブインパクト戦略会議

 新公益連盟は、創設者である駒崎弘樹さんに続き、二代目代表は宮城治男さんに担って頂いています。駒崎さん時代には、政策提言と団体拡大を進めましたが、宮城さんに代わり、とりわけ団体間の連携や、団体内部の人材育成に力を入れています。
 その一環で開始されたのが、コレクティブインパクト戦略会議です。年4回開催され、その時々の社会的テーマについて、組織を越えて対話が行われ、新たな事業や、政策提言につなげています。
 今回は「多様な家族」と「教育確保法の推進」がテーマでした。前者は虹色ダイバーシティ村木代表にリード頂いて、従来の家族観からもれてしまうような、例えばLGBTの方々のパートナーシップや、離婚後の子育てのあり方などについて、議論が行われました。
 後者はトイボックス白井代表にリード頂き、政策起業家としても社会改革を牽引する駒崎弘樹さんの助言もあり、政策形成に向けた相当に実践的な進め方が議論されています。
 新公益連盟の存在意義の一つは、個別の団体ではなかなかできない事業化や制度化を加速することにあります。新公連の場を通じて、新たな社会課題が定義され、複数団体が集まってモデル事業が模索され、そして制度化も当初から模索されています。通常のNPO事業でいえば5-10年かかるようなプロセスが、この場を通じて2-3年に短縮できているように感じています。
 日々事業を進めていても、なかなか社会課題解決につながらない・・と悩まれているNPOさんには、ぜひこの枠組みを活用してほしいとの思いがあります。

2.オープン幹事会

 これも宮城代表の発案により、従来は限られた理事・幹事のみが参加していた幹事会を、新公益連盟正会員やパートナーの方に開き、議論に参加して頂く形に今年から変えています。
 新公益連盟が様々な政策提言を実現できた背景には、この幹事会が大きな役割を果たしています。新公連の幹事団体代表には、あらゆるセクターから重要な社会課題や、課題解決にむけたアイデア、リソースの提供が日常的に集まっています。それらをこの幹事会に共有頂き、新公連としてのアクションを決めてきています。これまでも、NPOへの融資拡充、休眠預金活用、公務員のNPO兼業解禁、コレクティブインパクトの政府方針への導入などが、この幹事会での議論を通じて実現されてきました。最近では、NPOへの不動産寄付の促進も、サポートできています。
 今回も特に「NPOという役割をいかに日本社会で強めていくか」について意見が交わされました。

3.NPOは日本社会で信頼を勝ち得るか

 東日本大震災以降、NPOの役割を強まっています。NPOの団体数は5万団体とピークアウトしたものの、平均給与も少しずつ上がり、新公益連盟加盟団体に限って言えば平均年収383万円となっており(※1)、大企業とは行きませんが、ようやく一般企業並みの水準にまで達してきました。今後、財政不足から、なかなか行政の役割を増やしていけない中、NPOの役割と期待は高まりつつ有るといえます。新公益連盟としても、会員がさらに事業を拡大し、優秀な職員を確保し、あまたある社会課題解決を1ミリずつでも解決にすすめていけるよう、お手伝いをしていきたいと考えています。
 他方、新公連に属している団体代表は、危機感を覚えています。彼らがNPOを設立した10年程前に比べると、役割が増えているにも関わらず、NPOを志す若い方が減っているように感じられているのです。十分なファクトはありませんが、ベンチャーを中心にビジネスセクターが社会課題解決を旗印に掲げていることも、その理由だと我々は考えています。
 「NPOは、もはや強者として見られている」という幹事の言葉もありました。NPOが社会からサポートを受ける時代ではなく、行政と同様に、組織に見合った社会的成果を挙げられている団体なのか、相当に注目されていると感じます。今年度から休眠預金を活用して事業を進めるNPOも増えますが、より説明責任が求められることにもなります。
 昨日もこうした問題意識を共有しつつ、NPO/ソーシャルセクターが社会から信頼を得ていくかを検討することを今後の重要な課題とすることが決まりました。

※1 ソーシャルセクター組織実態調査2017(新公益連盟)



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RCF代表。一橋大学卒業後、マッキンゼーを経て独立。社会事業コーディネイター集団として活動しています。著書に『社会のために働く』(講談社)『人生100年時代の国家戦略~小泉小委員会の500日』(東洋経済新報社)、共著に『東日本大震災 復興が日本を変える』(ぎょうせい)他
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