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リーンウィズで速くなる!?

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バイクに乗るときの基本のフォームと言われている『リーンウィズ』 これまであまり深く語られることのなかったリーンウィズの有用性をもう一度見直していきます
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#リターンライダー

最新刊【シン・リーンウィズ】

前作【リーンウィズで速くなる!?】の続編、【シン・リーンウィズ】を本日発刊しました。(Amazon kindleより発売) これまで支えてくださった皆様、ありがとうございました。 手前味噌ですが、リーンウィズだけをテーマに2冊の本を書いたのは恐らく世界初だと思います。ぜひお手に取っていただけましたら幸いです。 ちなみに2冊セットで購入されると2,100円となり送料が無料になるのでお得です。

バイクは楽しく安全に

バイクに乗るのは楽しいですよね。僕もバイクに乗るのが大好きです。それはもう三度の飯より好きです。 でも僕は『バイクは乗って楽しければいい』という意見には賛成しかねます。 バイクは両手両足による複雑な操作が必要で、加速力に優れていてスピードが出るにも関わらず、二輪であるがゆえ非常に不安定な乗り物です。 『法定速度を守って走っていれば安全じゃないの?』と言われそうですが、ではこのようなケースではどうでしょう。 例えば、制限速度60キロの道を時速60キロで走っている時に差し

【リーンウィズで速くなる!?】タイトルまとめ

ビギナーライダー、タンデム大好きライダー、そして僕のようなリターンライダーまで、全てのライダーは運転技術を向上させる義務と責任があると思います。 『たかがリーンウィズ』と侮らず基本を今一度よく見つめ直してみると、新たな発見がきっとあります。 【リーンウィズで速くなる!?】がその手助けになることを心から願っています。 【リーンウィズで速くなる!?】  《全20回+2》 《その1》リターンライダー、タンデムライダーのために 《その2 》正しいフォームって? 《その3

【リーンウィズで速くなる!? 《全20回》】その20 最後に

速いことは偉くもなんともない【リーンウィズで速くなる!?】というタイトルで書いてきましたが、一般公道を走るのは競争でもなんでもなく、速ければエライなどということも全くありません。 僕が思っていることは『限界を知っていれば、限界よりも手前の領域で安全に走ることができる。』ということです。 だから、無理のない範囲で構わないので、これまで説明したテクニックを一通り試してみて、限界を知る努力をしてください。 バイクは、新しく試したことの結果がすぐに返ってくるのが良いところです。

【リーンウィズで速くなる!? 《全20回》】その19 新説:らせんコーナリング

らせんの動きを使ってコーナリングをするこれは、今まで誰も提唱していなかったライディングテクニックだと思います。 このテクニックは、合気道をされている方とライディングについて話し合っていた時に生まれました。 合気道では、相手を動かすために、見た目にはほんの小さな動き、すなわちらせんの動きを使っているそうです。 人間は、一番元となるDNAがらせんでできていますから、らせんの動きというのはとても自然で理にかなっているものだと思います。 らせんコーナリングがどういうものかを簡

【リーンウィズで速くなる!? 《全20回》】その18 リーンウィズならではの尻荷重

尻荷重?『尻荷重』なんていう言葉をライディング理論で聞いたことはありませんが、バイクをリーンウィズで走らせるときには、こういう感覚が確かにあります。 尻荷重とは『お尻でシートに荷重を載せる』ことです。 似た言葉にシート荷重というものがありますが、これは加速時にシートからリアタイヤへ向かって荷重を載せトラクションを稼ぐ場面(ハングオフのフォームで乗っている時に外側の太ももでシートに荷重を載せている場合など)で主に使われる言葉だと思いますので、ここではそれと区別するために尻荷

【リーンウィズで速くなる!? 《全20回》】その17 感情のコントロール

ニュートラルな精神状態にバイクに乗る時は、精神状態をコントロールすることが非常に大切です。 ライディング中は常に心を落ち着かせて、冷静な判断と、正確で繊細な操作をしなくてはなりません。 でなければ、たったの1馬力にも満たない人間の力で、何十馬力、車種によっては百何十馬力もの力を発揮することが出来る機械を操ることはできないからです。 興奮しすぎず、恐れすぎず、精神状態をニュートラルな位置に保って、ライディングすることを心がけます。 怒られない・はやらない・焦らない・侮らな

【リーンウィズで速くなる!? 《全20回》】その16 記録に優る記憶なし

人間は忘れる動物「デジタルの時代に、なんと古風な」と思われるかもしれませんが、僕はバイクで走るたびにノートにメモを残すことをおすすめします。(もちろん手書きではなく、スマホやパソコンでのメモでも良いです) ライディングというのは仮説と検証、日々いろんなことを考え、試し、また考えるの繰り返しです。 「以前と今では乗り方がこう違う」ということを確認するため、また「考えすぎて迷路にはまり込んでしまった」という時、原点に戻ってくる助けとなるように、簡単でもいいのでぜひメモを残して

【リーンウィズで速くなる!? 《全20回》】その15 暖気運転とストレッチ

最初の10分間バイクを走らせる前には、暖機運転と身体のストレッチを必ず行いましょう。 まずエンジンをかけたら10分程度はアイドリングでエンジンを暖めます。冷え切っているエンジンの金属部分やエンジンオイル、冷却水などを温めるのが目的です。 その間に自分のウォーミングアップとして、簡単に各部のストレッチをします。 ストレッチのコツは、体を伸ばすとき息を吐きながら伸ばしていくことです。息を吐きながら伸ばすと筋肉が緩むので、より効果的にストレッチを行うことができます。この時の呼

【リーンウィズで速くなる!? 《全20回》】その14 タンデムランのコツ

楽しいタンデムランのために高速道路のタンデムラン解禁やコロナ禍などの影響もあってか、最近は彼女や奥さん、友人、お子さんなどを後ろに乗せて走る姿がよく見られます。 ですが、タンデムランというのは、通常のライディングよりもはるかに難易度が高いものです。 タンデムランの時、後ろのライダーが一番危険なのは、発進や急ブレーキの時です。 運転するライダーは、自分が操作しているので次にバイクがどう動くか分かっていますが、後ろに乗っているライダーは次にどう動くかがわからないので、反応が

【リーンウィズで速くなる!? 《全20回》】その13 腹式呼吸と平常心

腹式呼吸腹式呼吸は、ライディングにおいて極めて大切です。 腹式呼吸をすることで、たくさんの空気を肺に取り込むことができ、脳をはじめとする各臓器により多くの酸素を供給することが出来ます。また深くゆったりした呼吸には精神を落ち着かせる作用もありますので、バイクを操るための繊細なミリ単位の操作を、正確に行うためにもぜひマスターしてください。 腹式呼吸の基本は『息を鼻から吸って、鼻から吐く』ことです。鼻は内側に毛や粘膜を有していてフィルターの働きを持っています。口から大きく息を吸

【リーンウィズで速くなる!? 《全20回》】その12 ブレーキの引きずり

ブレーキを引きずるテクニックこれまでは、コーナーの進入時に『ブレーキレバーをスイッと離す』と説明してきましたが、その方法だと一次旋回を発揮する時間が短すぎて、大きなRのコーナーではクリッピングポイントにつけないことがあります。 そこで今回は、『ブレーキを引きずる』というテクニックを紹介します。 まずコーナー手前の直線部分でブレーキングをしますが、その時に完全にコーナーを曲がり切れる速度まで落とすのではなく、少しだけ速いと感じるスピードまで減速します。 次に、倒し込みたい

【リーンウィズで速くなる!? 《全20回》】その11 目線で導く

補足:S字コーナーの攻略前回の記事『その10 ラインに始まりラインに終わる』の補足です。 ワインディングには左右への切り返しが必要なS字コーナーがあります。 サーキットならばコーナーとコーナーの間に直線部分があるような大きなS字が一般的なので、一つ目のコーナーを立ち上がって二つ目の進入ポイントまでスロットルを開け、スロットルを戻したタイミングで重心を左右に入れ替えて切り返す、という方法を主に使いますが、日本のワインディングで最も多いのは、『シケイン』のような小さなRが連続

【リーンウィズで速くなる!? 《全20回》】その10 ラインに始まりラインに終わる

基本の走行ラインそれでは、実際のコーナーを走りだす前に、これまで説明してきたライディングテクニックをどこにどのように当てはめていくかを考えていきます。 下の図は左コーナーの模式図です。 こんな絵にかいたようなキレイな90°コーナーはサーキットにしかなく、一般公道ではほとんど見ることができません。 一般公道では、もっとコーナーの曲率が緩やかであったり、逆にもっとグルッと回り込んだコーナーが多いと思います。 さらに一般公道の場合は、対向車線があり、アスファルトの摩擦係数も