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ブレイクスルーできる組織へ。計画的な権限移譲で誕生した新VPoEの苦悩と展望

10月3日、Rettyエンジニアリング部門のシニアマネージャーを務めてきた常松祐一が、新たに執行役員VPoEに就任したことを発表しました。これは前任の小迫明弘が、2年以上も前から計画していた権限移譲。組織の活性化、積極的な登用を実現するものです。

「開発組織の課題は、割と早い段階からふたりで話してきた」
月に1度の壁打ちを続けて課題を常に共有してきたふたりには、実務以外の引き継ぎはほとんど不要だったと言います。

小迫が計画的な権限移譲を決意し、バトンを渡す相手を常松に決めた理由は何か。そして、大規模スクラム(LeSS)への開発体制移行、Go To Eatキャンペーンの開発責任者としての牽引など、さまざまなプロジェクトをやり切ってきた常松が見据える組織の展望は。バトンタッチを終えたふたりに聞きました。

権限移譲の計画は2年以上前からあった

小迫:そもそもずっと執行役員VPoEでいようなんて思っていなかったんですよ。組織に必要だったからやっていただけで、自分以外に適任者がいるならバトンを渡すべきだし、そうしたいと思っていました。2018年の夏頃からVPoE、部門長、執行役員と段階を踏んで責任者をやってきましたが、当時からずっとそういうスタンスです。

2019年6月に常松さんが入社して、8月にはWebチームのエンジニアリングマネージャー(EM)、10月にはマネージャーになりました。その頃から、2年後くらいには執行役員VPoEを常松さんにバトンタッチできるんじゃないかなと考えていたんですよね。

ただ、そこへきてのコロナで、ちょっとそれどころじゃないなって。具体的に時期を決定できたのは、去年末のことですけどね。

前 エンジニアリング部門 執行役員VPoE・小迫明弘
立命館大学を卒業後に数回の起業で企画やデザインなどを経験した後、2015年、Rettyにエンジニアとして入社。長年VPoEを務め、エンジニア組織改善にも関わる。

ーー権限移譲するために常松さんを採用したということでしょうか。

小迫:いや、そこまで考えていたわけではないかな。当時はマネジメントができる人を求めていたので、常松さんに声をかけたんです。

はじめて会ったのは、Rettyがオフィスをお貸しした勉強会「Engineering Manager Meetup」でしたよね。常松さんが登壇してLeSSについて話していたのを聞いたのが最初。で、そのコミュニティのSlackを覗いたら常松さんが転職活動中だということがわかり、声をかけました。

常松:登壇者同士飲みに行きましょうという会話の流れで、「転職活動中なのでスケジュールが読めない」みたいなことをSlackで言ったような気がします。小迫さんはその投稿を見たのですかね。

ーーマネジメントができる人を求めていたというのは?

小迫:あの頃……2019年のはじめですが、Rettyは開発組織を立て直している最中だったんです。事業部制でプランナーもデザイナーもエンジニアも混ざり合った組織だったのが、サービスのグロースにともなって機能しづらくなってきたことから、機能別組織として開発プロセスに責任を持つ「エンジニアリング部門」に再編しようとしていました。

そのためにはマネージャーが必要で、でも現状組織にはプレイングマネージャーしかいない。ということで、マネジメントを任せられる人を探していたんです。監視カメラや電子辞書といったプロダクトを大企業で開発してきた常松さんに対して、我々はWebサービスを扱うベンチャー企業ですから、フィットするかはわからないとは思っていましたけどね。

常松:たしかにそこは不安だったので私からも伝えました。でも、私自身マネジメント・組織づくりをやっていきたくて社外に機会を求めていたので、お互いのニーズは合致していました。

ーーマネジメントへの意欲を持ったのはなぜですか。

常松:前職のキヤノンで香港に出向していた時の経験がきっかけでした。電子辞書のソフトウェア開発ではじめてマネージャーを担当することになったのですが、期日どおりに開発が進まなかったんです。原因は私の力不足。技術力さえあればうまくいくと思っていた自分にとって、考えを改めざるを得ないできごとでした。

いい開発体制がいいプロダクトをつくる。そう気づいてからは一層マネジメントの勉強をして、国内に戻ってからもプロジェクトリードの経験を積んでいきました。Rettyでもエンジニアリング部門の立て直しからLeSSの導入と、入社直後から組織づくり、マネジメントに取り組めたのはよかったです。

エンジニアリング部門 執行役員VPoE・常松祐一
キヤノン株式会社での研究開発員を経て、2019年にRettyへ入社。エンジニアリング部門全体のマネージャーとして、大規模スクラム(LeSS)の導入やGo To Eatの開発責任者を務めてきた。2022年10月より、同社執行役員VPoE。

親しみやすさとドライさの両立

小迫:常松さんには入社時に期待していることを明確に伝えていて、それを確実にAll Done(※)していったので「信頼できる人だな」と感じていました。このオンボーディングのドキュメントに書いてある……

<半年>
・EMとしてエンジニアチーム全体から認められている状態
・エンジニアスキルを認められた上でチームをまとめ、他のチームのEMとも連携して開発がスムーズに進められている
・開発全体フローや組織課題に対して取り組み、成果を出しつつある
・今後の方針を小迫やEMとも一緒に考えて、方向性を決めていく動きができている
・その中で一部のプロジェクトの責任者となって動かし始めている

<1年>
・組織を大きく変革していくための中核を担っていってほしい
・小迫が持っているプロジェクト、タスクの半分を渡せている状態

常松:懐かしいな笑

小迫:この1年後の期待の「小迫の仕事の半分を渡せている」ってのを、本当に半分持っていったのが大きかったんですよね。そう言われて本当に持っていける人、そうそういないじゃないですか。

ーーそれが常松さんにバトンを渡すことに決めた理由でしょうか。

小迫:それもそうで、もうひとつはちゃんとドライに判断できること。厳しいことも言えるし、当然評価もフラットにドライにやっていく。ビジネスなんで当たり前かもしれないけど、常松さんは厳しいながらも気軽に絡みにきてくれる親しみやすさがある。バランス感覚がいいんですよね。

優しいマネージャーでも10人くらいまでならマネジメントできるかもしれないですけどね。それ以上の組織は優しさじゃ務まらない。

常松:役割ですからね。みんなやりたいことがあってRettyに来たはずだし、Rettyを良くしたいと思って仕事をしているはず。それをやり遂げるためには、事実として会社の考え、みんなの考え、そして私の考えを言葉にして伝えます。それに、仕事半分持っていってって言われたら持っていきますしね。

ーー実際に執行役員VPoEのバトンタッチとなったわけですが、具体的に引き継ぎはどうやって進めるものなのですか。

小迫:自分自身の性質の話なんですが、部門としての課題感とかは結構メンバーみんなに共有しているんです。あとはさっき言ったように、常松さんはすでに仕事を半分持っていってくれていたので、引き継ぎっていうことはあまりないですかね。細かいタスクや予算、インサイダーに当たるような情報の連携くらいです。

常松:入社して間もない頃から、小迫さんとは開発組織の課題の壁打ちを月に一度続けてきました。だから、今後の体制どうする?みたいな大きめの話も、課題認識のすり合わせも、ずっとできていることなんですよね。

ブレイクスルーできる組織へ

ーー常松さんを執行役員VPoEとした新体制がスタートします。さっそく取り組もうとしている課題はありますか。

常松:直近でやらなきゃいけないことは何より、会社の成長を右肩上がりにしていくこと。これを技術観点から支えることが最重要課題です。

コロナという外部要因はもちろんありますが、それを言い訳にしてはいけないと思っています。ユーザーさん、飲食店さんに愛されて選ばれるサービスにしていくために、もっと厳しく取り組んでいく必要があります。

ーー全社一丸で取り組まないといけないことですよね。

常松:それはそうなのですが、エンジニアのメンバーも意識をもう一段階二段階と上げていってほしいんです。そうじゃないと会社として目指している高い成長軌道に乗せられない。難しい課題だけどそれができるだけの素養はある組織だと思っているので、しっかりやっていこうと。

そして、やはりエンジニアリング部門だけで実現できることではないので、プロダクト部門やセールス部門とももっと対話をして、意識を揃えていこうと思っています。対話自体は1年前とかと比べても圧倒的に増えているんですが、まだまだ足りていないです。

ーー小迫さんはコロナ禍でずっと執行役員VPoEを務めてきましたが、組織の変化は感じますか。

小迫:エンジニアリング部門の組織改善からはじめて、プロダクト部門とも足並みを揃えるようになって、アウトカム思考でユーザーさんに価値を届けられるようにはなったとは思います。それまではUser Happy(※)を追求しようとは言っても、開発に繋げきれていなかったこともありましたから。でも、常松さんが言ったように、まだまだやるべきことはあります。

ーー目の前の課題を聞きましたが、プレッシャーに感じることもあるのでは。

常松:そうですね。最近思っているのが、単純にたくさんの施策をやればVPoEとして大きな成果を出せるかというと、それは違うなということ。年に数本ホームランを打ちに行かないといけないんですよね。たとえば、Breakthrough(※)なサービスやビジネスモデルだったり。そしてそれは、ボトムアップでホームランが出るのを待つんじゃなくて、組織づくりでやっていかないといけない

ホームランが定期的に出る組織というのを私はまだつくったことがないので、それはプレッシャーに感じています。でも、やるしかないです。打ち手を考えて、部門を越えてみんなを巻き込んでやっていきたいと思います。

ーー最後に、新VPoEとなった開発組織の展望を教えてください。

常松:ちょっと表現が悩ましいのですが、「次のキャリアのステップアップになる組織」にしていきたいんですよね。Rettyでエンジニアとして働いてホームランにも関わって、やりきった時に胸を張って卒業LT(Rettyには退職する人の卒業式をするカルチャーがあります)してもらって、その経験を持ってステップアップしていくような。いい循環があって、活気のある組織。

小迫:うんうん。

ーーそれは本人にとっても、会社にとってもいい組織ですね。

常松:私もここからミッションをAll Doneして、いつか誰かにバトンを渡せるようにしますよ。小迫さんから受け取ったバトンをつなぐことで、組織の循環や新たな人の活躍の場をつくっていきます。

※社員の行動指針「Retty Way」の項目
・All Done:徹底的にやる
・Breakthrough:革新的にやろう
・User Happy:全てはユーザーのために

▼執行役員VPoE就任についてはこちらもご覧ください

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<取材執筆:PR・関矢 瑞季>