祖父は死んだのではない。いなくなったのだ。
先月の暮れ、父方の祖父が亡くなった。それは本当に急なことで、入院してすぐに意識不明になり、その二日後には逝ってしまった。さまざまな持病と、さまざまな低すぎる数値と、流行病が重なったらしい。ちょうど入院する一週間前にふたりでランチに出かけたばかりだった。
流行病と、意識がなかったこともあり、病室の外からビニールカーテン越しでの面会だった。窓から見える祖父はベッドに横たわり、あらゆる機械に囲まれていた。ベッドの上に置かれたゴツいデジタル時計が妙に生々しく、僕の心を重くさせる。