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弟子は質実に柔軟に淡麗に、しかし「人の声」で

山崎旭萃先生のお弟子さんの中でいちばんお若い世代にはいる田中旭泉さんをNHKで拝見。すっかり立派になられました。

口を横に広げてしめたように薄く開いた形で、喉の奥に響かせるような語りがお若いときより堂にいって迫力が増したと感じました。山崎先生の声だと地響きが近づいてくるような物々しさをあらわしていましたが。それに山下先生を想い出す頭に響くしなやかな声も磨きがかかって。

個人的な感想ですが、山崎先生、山下先生のお弟子さんたちは、それぞれが好い意味で個性を発揮していて、多様性があります。両師ともカリスマ性はあるのに、個性をコピーさせていない、というところでしょうか。

今回注目したのは、山崎先生の牛車の描かれた琵琶とは対照的な、削っていないような、しかし長い間人の手で撫でて滑らかさと艶が出たきたような木肌を活かした琵琶でした。
演奏場所、勧学院客殿の狩野派の襖より思わず惹きつけられました。

「湖水渡」は、橘旭翁作曲とのこと。


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