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75. わたし、笑顔で武装。

癒やされました、と
言ってもらえることがある。

2度目だった。
それも、所謂、デート、というものをした後に言われた言葉だった。

お硬いわたしがいけないのか。

わたし、とことん、恋愛には向いてないと思う。

それは鎧だよ。
笑顔で装ってるの。演じてるのよ。
本当は、気を遣ってへとへとだよ。

それが仮に本心ならば
あなたばかり癒やされて、ずるいと思う。
わたしはあなたの何なの?

わたしそんな尽くす女じゃない。
優しくて、温かい女じゃないわ。
いい子いい子で撫で回されたくなんてない。
撫で回すこともしたくない。
小動物みたいに言うのはやめて。
お母さんでも姉でもないのよ。

本当はわたし、世話好きなんかじゃないと思う。
甘えられるの、好きじゃないんだわ。
めんどくさいんだもん。

そうやって、わたしは自分で自分を一人にする。
わたしはわたしで強くなるからって
あなたもあなたでやってちょうだいよと。

心を開いてるフリをして
全く開けていないんだわ、わたし。

無愛想でごめん。
でも愛想よく可愛くかわせるモテる女の術を
持ち合わせちゃいないのよ。

ごめん。ごめんね。

こんな利己的なわたしなのだから、
外側の笑顔武装を捉えて、
癒やされたなんて言わないで。

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