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53.実はわたし、誕生日なの

実はわたし、誕生日なの。

ふつうに仕事して
ふつうにちょっとは嫌な気持ちになって
ふんわりと癒やされたりもして、帰宅。

池袋駅では
線路内に人が立ち入りお騒がせ。

そう、世界はいつも通りに回ってる。

誰かにとっての特別な日は
多くの誰かにとって何でもない日であって
人は他人の都合になんてお構いなしで

だからこそ、
自分で特別な日にするしかないのです。

なんとか予定を埋めたわたしは
仕事モードの服を脱ぎ
非日常のわたしに着替える。

新しい紺色ワンピースは
わたしからわたしへのプレゼント
耳元にはラピスラズリ
進むべき道を示す鉱石

化粧を直し
メガネをはずし
ざっくりまとめたひとつ髪から
ハーフアップへ

見事な変身ね
仕事のわたしと今のわたしは
違う人なのです

電車の窓の夜色ガラスがそんなわたしを映す


ねぇ、ラピスラズリ
わたしまたひとつ歳をとったわよ
あなたはこの先、
わたしをどこへ導こうというの?

わたし、どうなっていくの?

映ったわたしを通して問うても
夜は黙りを決め込んで
そのガラスに答えを映し出してはくれない

でも、ねぇ、その見えない黒の中に
星を隠しているんでしょう?

漠然と、そのまわりは見えないけれど
夜が星を隠していることを
昔から知ってるの

だから

少しずつ、楽しみにして進んでいきましょう

ラピスラズリ、ほんの少しでいいから
わたしの進む未来に力を貸して
わたしに力を貸して

素敵な大人になっていけますよう

誕生日の日の星に願いを

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