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わたし。

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「わたし」というお話。 日記ではない。「わたし」のことをとりとめもなく、まとまりもなく。
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2015年8月の記事一覧

12.「わたし」、甘いものが食べたい。

ひとりきりの部屋は、なんとなく寂しい。
テレビだけがうるさい。
別に見ていない。
どうでもいいんだけど、なんとなく
ひとりきりの部屋で静かになってしまうのが怖くて
つけておくことにする。

何か甘いものが食べたい。
チョコレートでも、カステラでもいいから、食べたい。

寂しいと、甘いものが食べたくなるのはなんでだろう。

親に電話でもすればいい。
友達にLINEでもすればいい。
だけど、なんとなく

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11.「わたし」の両親。

子どもにとって
両親のけんかほど嫌なものはない。

うちは仲のいい家族だと思う。
父、母、わたしの3人で
わたしは普段はもう、
家を出てしまったけれど
夏に帰省した時には
だいたい毎年家族旅行に行く。

だけど普段と違うイベントでは
普段と違う衝突が起きるわけで。

小さな忘れ物をめぐり
不穏な空気。
外は雨。大丈夫か、この旅行?

うちの父はすぐ怒る。
おしゃべりでおもしろい人だけど
頼りがいが

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10.「わたし」とマニキュア。

10.「わたし」とマニキュア。

「バカだなぁ、わたしは」
と、少しだけ気持ちが沈んで
ため息をついた。

友達の家で貸してもらった
ローズピンクのマニキュア。
指先だけ見てると
誰か私じゃない、"いい女"の指先みたいで
ちょっとむずがゆかったけど
嬉しかった。

まるで私がいつもより
"いい女"になったみたいと錯覚した。

だけど数日たった今
なんだか爪が息苦しくてたまらない。

「早く落として」って
薄い酸素にあえぎながら 言

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9.「わたし」と味噌カツ弁当。

東京に仕事で来た父と
お昼を共にした。

その帰り、夕御飯を作るのが面倒で
ねだって買ってもらった
ちょっとお高いお弁当。

一人の部屋で食す
味噌カツの入った和食弁当。

あまり食べなれないその
ソースとは違う独特の甘辛さ。
名古屋で味噌カツサンドを食べた時も
確かに感じたこの味、気持ちは

……「懐かしさ」という名前で
あってるのだろうか?

それに近い気もするし
ちょっと違う気もするし
不思

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8.「わたし」、空想バレリーナ。

むかし、クラシックバレエをかじったことがある。
当時好きだったアニメの女の子に憧れて。
ヒラヒラスカートと羽のように舞うバレリーナがとっても素敵で。

習い始めてみたけれど
あまりに体が固くて
友達より物覚えが悪くてやめた。
それでも3年くらいは続けた。
下手なりに一生懸命だった。

狭い台所で お母さんにみてもらいながら
繰り返したステップ…

人の少ない 地下鉄のホーム。
奥に進めば進むほど

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7.「わたし」、書けない。

何かを続けるには、才能が必要なのだろうか。それとも努力?

0から1を生み出し続けるのは、辛い。
好きな題材や得意な表現から作り始めて
最初はいい。けれど。
だんだん、それが越えられなくなる。
同じものはダメだ。もっと新しい何か、 何か、 なにか… 

日記も続いたことがないわたしが
短いけれど、それなりの世界観をもったお話を
5年も書き続けてこれたことは、すごいことだと思う。
もうすぐそれは、6

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