見出し画像

81.心を燃やすもの

燃えるような夕空と
赤く染まった紅葉

大丈夫、大丈夫だと言い聞かせ続けてきたわたしは
いつしか大人になっていて
あの頃、自らの身体を燃やし
願いを叶えてくれようとした流れ星の魔法さえも
信じられなくなった

どうせもうどう足掻いたって無理だよ

夕空は次第に闇に溶けて
燃え尽き茶になった紅葉には雪が落ちる

ちびたちびた蝋燭の火が消えてしまわぬよう
大事に守ってきたつもりだったけど
ついに燃え尽きる時が来るのかもしれない

けぇるぞ、けぇるぞ
死神が言う
好きな落語の一場面

分かってる
流れ星に願った幼き日の夢
わたしの中で燃え続けてきた"好き"の炎
それは命も同じであって、だからこそわたしは、どうしても消せないのだ

暗く孤独な夜に耐え
雪の重みに耐えながら小さくても燃え続け
歩むしかないのだ
迎える朝の美しさを知ってるから
春を知ってるから

いつかその日が来たなら
わたしはきっとまた
精いっぱいに火を灯そう
自分だけじゃない、あなたさえも照らせるように

※注釈
けぇるぞ=消えるぞ 落語『死神』より

------------------------------------------------------------------------------
81/100 「火炎」
情熱の炎、よく燃せない時は、辛い。
でも好きを失くしたらきっと生きられないことをわたしは知ってるから。だから待つんだ。


「絵描きさんに100のお題」に文章で挑戦中。
http://kuusouya.web.fc2.com/Story2/h_100.htm

一人称替え、部分抜粋、アドリブOKです。


他サイトでの利用規則はこちらをご一読ください。
http://happy-smile30.wixsite.com/kuusouya/shiyou

noteでの投稿の場合、ぜひ、コメント欄にリンクを貼ってお知らせください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?