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天然の青色

「買ってはいけない」というタイトルの本が昔、大ヒットした。その本の中に食品添加物を使った商品が色々と掲載されていた記憶がある。何の商品だったか、今となっては忘れてしまったが、とても衝動的な内容だったのはよく覚えている。その中に着色料の話もあって、真っ赤な福神漬けは食べないほうがよさそうだな…と、未だに刷り込まれている。

今日の話は、そんな着色料にまつわる話。赤キャベツの色素である「アントシアニン」から青い着色料が発見された。下記リンクは名大のプレスリリースである。

アントシアニンは、金属イオンと錯体を形成すると青色になることが知られていたので、個々の色素を単離して個別に金属イオンを加えて発色を調べたそうだ。そうすると、ある番号を付けたアントシアニンだけが、アルミニウムイオンと錯体を作ると、とても綺麗な青色を示した。

さらにこの研究では、青色を発色するアントシアニンを大量に得られる方法を確立し、チョコレートにコーティングして「青色1号」と比較まで行っている。見てみると、たしかに青色1号に一番近いのは、今回の研究で発見された錯体である。Science Advancesでは、色相角を比較して青色1号に最も近いことを示している。

青という色は何事も作り出すのが難しい色なのだなと思う。青色LEDも後から登場している。個人的に、この研究では、"単離した"ことに着目する。pHを変えること(酸性、中性、アルカリ性)でアントシアニンの色が変化し、アルカリ性で青色になることはこれまでもわかっていたそうだが、不安定なので着色料としては使えなかった。それを単離してみて丁寧に実験を重ねたから、今回のような発見に辿り着いたのだろう。

複雑に見える問題も、一つ一つ解きほぐしていくことで解決の糸口が見える。そんなことをこの研究事例が教えてくれる。

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