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すみなすものは心なりけり

高杉晋作は幕末の志士である。長州藩の出身で奇兵隊を創設して、倒幕に一役買ったというのが一般的に言われていることだ。

彼が残したとても有名な歌がある。

おもしろき こともなき世を/に おもしろく すみなすものは 心なりけり

上の句が「を」と「に」では、全く意味が異なってしまう。前者ならば、自分が世の中を面白くしてやろうでないかという気概を感じるし、後者ならば、面白いこともないような世の中であるがという諦めに似た印象を覚える。

ただ、下の句の存在がそれらの印象をガラリと変える。結局、彼が言いたかったのはこの部分なのではないかとさえ思う。

すみなすものは 心なりけり

面白いことがあろうがなかろうが、物事を面白くするのは自分の心次第。彼は生前、どんな難局に出会っても、何も困らないという気概でやっていれば自ずと道は開ける、というようなことを発言していた。つまり、自分の心掛け次第でどうにでもなるんだと、ずっと言い続けていたわけだ。

「おもしろき――」の歌は、近年の研究で辞世の歌ではないという説があるし、「すみなすものは心なりけり」の部分は高杉晋作ではない人が付けたとは言われているが、正確なことは現時点ではわからない。それでも、世の中の見え方は、自分次第なんだというメッセージはとても腑に落ちるものがある。調子のいい時なら何も思わないことも、心が荒んでいる時はちょっとしたことでもイライラしてしまうことがある。そんな時に戒めになるのもこの歌だし、たとえ、面白いことがないとしても、それを周りの環境のせいにせず、自分から何か作り(創り)出していく気概を持ちたいものだ。そんなわけでこの歌は、自分にエネルギーを貰える存在であると思っている。

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