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【PTA退会】もしPTAが個人情報を削除してくれなかったら

PTA退会時に、PTAが個人情報の削除をしてくれない場合、わたしは「個人情報保護委員会へ通告」する旨をPTAに通知することを計画していました。

個人情報保護委員会は、個人情報の適正な取扱いの確保を図ることを任務とする内閣府の外局です。

個人情報の保護に関する法律(以降、「個人情報保護法」とする)に基づくと、PTAが個人情報の削除に応じない行為は当該法律を違反している可能性があるように見受けられました。
そう判断した根拠について、説明します。

<<!!注意!!>>
以降、「個人情報保護法」や個人情報保護委員会のHP内容に基づき解釈等を記載しますが、こちらはあくまで個人(非専門家)の見解です。
より正確な法的解釈については、専門家への確認をお勧めします。


1.PTAの立ち位置

個人情報保護法上、PTAは「個人情報取扱事業者」に該当します。
以下は、個人情報保護委員会HPのFAQからの抜粋です。

個人情報データベース等を事業の用に供している場合は、個人情報取扱事業者に該当します。NPO 法人や自治会・町内会、同窓会、PTA のほか、サークルやマンション管理組合なども個人情報取扱事業者に該当し得ます。

https://www.ppc.go.jp/all_faq_index/faq1-q1-54/

PTAが個人情報取扱事業者に含まれる旨を明示しているPTAもあります。

https://www.pta-nagoya.jp/images/202103/privacy2021-03_4dat0vp9xf7sgmnjrwqk_4dat0vp9xf7sgmnjrwqk.pdf

2.個人情報保護法

2.1 本人→PTA(個人情報取扱事業者)への請求

前項より、PTA=個人情報取扱事業者と解釈します。
さらに、以下の法令に則り、本人はPTAに対し、PTAが個人情報を利用する必要がなくなった場合(=PTA退会)、個人情報の利用停止を請求することができると推察されます。

個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十七号 令和五年法律第三十二号による改正)

第四章 個人情報取扱事業者等の義務等
第二節 個人情報取扱事業者及び個人関連情報取扱事業者の義務
(利用停止等)
第三十五条 5 本人は、個人情報取扱事業者に対し、当該本人が識別される保有個人データを当該個人情報取扱事業者が利用する必要がなくなった場合、当該本人が識別される保有個人データに係る第二十六条第一項本文に規定する事態が生じた場合その他当該本人が識別される保有個人データの取扱いにより当該本人の権利又は正当な利益が害されるおそれがある場合には、当該保有個人データの利用停止等又は第三者への提供の停止を請求することができる。

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=415AC0000000057

2.2 PTA(個人情報取扱事業者)の対応

上記の請求を受けた場合、個人情報取扱事業者であるPTAは、下記の法令に則り対応しなければならないと思われます。

個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十七号 令和五年法律第三十二号による改正)

第四章 個人情報取扱事業者等の義務等
第二節 個人情報取扱事業者及び個人関連情報取扱事業者の義務
(利用停止等)
第三十五条 6 個人情報取扱事業者は、前項の規定による請求を受けた場合であって、その請求に理由があることが判明したときは、本人の権利利益の侵害を防止するために必要な限度で、遅滞なく、当該保有個人データの利用停止等又は第三者への提供の停止を行わなければならない。ただし、当該保有個人データの利用停止等又は第三者への提供の停止に多額の費用を要する場合その他の利用停止等又は第三者への提供の停止を行うことが困難な場合であって、本人の権利利益を保護するため必要なこれに代わるべき措置をとるときは、この限りでない。

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=415AC0000000057

なお、下記の通り「利用停止」=「停止又は消去」と読み替えられます。

個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十七号 令和五年法律第三十二号による改正)

第四章 個人情報取扱事業者等の義務等
第二節 個人情報取扱事業者及び個人関連情報取扱事業者の義務
(利用停止等)
第三十五条 (前略)当該有個人データの利用の停止又は消去(以下この条において「利用停止等」という。)を請求することができる。(後略)

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=415AC0000000057


2.3 PTA(個人情報取扱事業者)が違反した場合

個人情報取扱事業者が違反した場合について、個人情報保護委員会は以下の通り勧告することが定められています。

個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十七号 令和五年法律第三十二号による改正)

第六章 個人情報保護委員会
第二節 監督及び監視
第一款 個人情報取扱事業者等の監督
(勧告及び命令)
第百四十八条 委員会は、(中略)個人情報取扱事業者が(中略)第三十五条(第一項、第三項及び第五項を除く。)(中略)の規定に違反した場合において個人の権利利益を保護するため必要があると認めるときは、当該個人情報取扱事業者等に対し、当該違反行為の中止その他違反を是正するために必要な措置をとるべき旨を勧告することができる。

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=415AC0000000057

個人情報取扱事業者が本人の請求に基づき、個人情報を削除しなければならない義務は、第三十五条第六項に定められているので、上記が該当します。

なお、「委員会」は以下のように定義されています。

個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十七号 令和五年法律第三十二号による改正)

第六章 個人情報保護委員会
第一節 設置等
(設置)
第百三十条 内閣府設置法第四十九条第三項の規定に基づいて、個人情報保護委員会(以下「委員会」という。)を置く。

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=415AC0000000057


3.対応案

3.1 整理

  • PTA=個人情報取扱事業者

  • 本人は、個人情報取扱事業者(PTA)が個人情報を利用する必要が無くなった場合、個人情報の利用停止(停止、または消去)を請求できる。

  • 個人情報取扱事業者(PTA)は、前項請求を受けた場合、遅滞なく利用停止(停止、または消去)を行わなければならない。

  • 個人情報保護委員会は、個人情報取扱事業者(PTA)が前項規定に違反し、本人の権利利益を保護するため必要があると判断した場合、個人情報取扱事業者(PTA)へ是正を勧告できる。

PTA退会に伴い個人情報の利用停止を請求することは本人の権利であり、PTAはそれに応じなければならないと定められているように見受けられます。

3.2 対応案

上記を踏まえ、私はまず「個人情報の削除に応じて貰えない事実を個人情報保護委員会に通告する」旨をPTAへ通知することを考えていました。

PTAに通知することなく個人情報保護委員会へ通告することも可能と思われますが、PTA側も個人情報保護委員会に通告されたくないと推測します。
「個人情報保護委員会へ通告する」通知でPTAへ一定のけん制効果があるのではないかと考えています。
(大ごとにはしたくない人が多いのではないかと思いますので…)

上記の通知でも事態に進展が無ければ、個人情報保護委員会への通告準備を進めればいいのではないかと考えます。

一方、学校側からPTAへの個人情報の第三者提供を停止すれば、停止以降はPTAへ個人情報の提供はなされないはずなので、そちらに注力することも一案かと思います。
(この方法ですと、PTAが既に保有している個人情報の取り扱いが不明になるので、スッキリしない終わり方になりそうですが、終わりが見えるだけマシかと思います。)


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