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【PTA退会】もし学校が個人情報利用停止請求書に署名して返却してくれなかったら
PTA退会時、学校が下記の対応を取る場合、私は自治体(市/県)宛に個人情報利用停止請求の手続きを行うことを計画していました。
PTAへの個人情報の提供を停止しない
「個人情報利用停止請求書」に署名し、返却してくれない
そのように考えた理由を説明します。
<<!!注意!!>>
以降、「個人情報保護法」や個人情報保護委員会のHP内容に基づき解釈等を記載しますが、こちらはあくまで個人(非専門家)の見解です。
正確な法的解釈については、専門家等への確認をお勧めします。
1.公立学校の位置づけ
![](https://assets.st-note.com/img/1709700399057-VFTP5LsrZs.png?width=800)
個人情報保護委員会は公立学校の位置づけを下記のように説明しています。
教育委員会が所管する公立学校については、個々の学校自体が法第2条第11項第2号の「地方公共団体の機関」に該当するものではなく、当該学校を所管する教育委員会が、法第2条第11項第2号の「地方公共団体の機関」に該当します。
また、地方公共団体の取り扱いについて、個人情報保護法では下記のように規定されています。
個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十七号 令和五年法律第三十二号による改正)
第三章 個人情報の保護に関する施策等
第二節 国の施策
(個人情報の適正な取扱いを確保するための措置)
第十一条 国は、地方公共団体との適切な役割分担を通じ、次章に規定する個人情報取扱事業者による個人情報の適正な取扱いを確保するために必要な措置を講ずるものとする。
2 国は、第五章に規定する地方公共団体及び地方独立行政法人による個人情報の適正な取扱いを確保するために必要な措置を講ずるものとする。
※上記の第5章は、「行政機関等の義務等」を定めています。
上記より、公立学校と関連組織の関係は以下のように考えられます。
公立学校は、教育委員会が所管している。
教育委員会は、地方公共団体の機関である。
地方公共団体が遵守すべきルールが個人情報保護法 第5章にて規定される。
2.個人情報保護法
2.1 利用停止請求権
個人情報の利用停止請求について、以下のように規定されています。
個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十七号 令和五年法律第三十二号による改正)
第五章 行政機関等の義務等
第四節 開示、訂正及び利用停止
第三款 利用停止
(利用停止請求権)
第九十八条 何人も、自己を本人とする保有個人情報が次の各号のいずれかに該当すると思料するときは、この法律の定めるところにより、当該保有個人情報を保有する行政機関の長等に対し、当該各号に定める措置を請求することができる。ただし、当該保有個人情報の利用の停止、消去又は提供の停止(以下この節において「利用停止」という。)に関して他の法令の規定により特別の手続が定められているときは、この限りでない。
一 第六十一条第二項の規定に違反して保有されているとき、第六十三条の規定に違反して取り扱われているとき、第六十四条の規定に違反して取得されたものであるとき、又は第六十九条第一項及び第二項の規定に違反して利用されているとき 当該保有個人情報の利用の停止又は消去
二 第六十九条第一項及び第二項又は第七十一条第一項の規定に違反して提供されているとき 当該保有個人情報の提供の停止
上記のうち、学校からPTAへの個人情報の提供について、関係がありそうなのは、第六十九条です。
(第六十九条以外の項目については、後述で抜粋しています。)
第六十九条は、下記の通りです。
平成十五年
法律第五十七号個人情報の保護に関する法律
第五章 行政機関等の義務等第四節 開示、訂正及び利用停止
第二節 行政機関等における個人情報等の取扱い
(利用及び提供の制限)
第六十九条 行政機関の長等は、法令に基づく場合を除き、利用目的以外の目的のために保有個人情報を自ら利用し、又は提供してはならない。
2 前項の規定にかかわらず、行政機関の長等は、次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、利用目的以外の目的のために保有個人情報を自ら利用し、又は提供することができる。ただし、保有個人情報を利用目的以外の目的のために自ら利用し、又は提供することによって、本人又は第三者の権利利益を不当に侵害するおそれがあると認められるときは、この限りでない。
一 本人の同意があるとき、又は本人に提供するとき。
二 行政機関等が法令の定める所掌事務又は業務の遂行に必要な限度で保有個人情報を内部で利用する場合であって、当該保有個人情報を利用することについて相当の理由があるとき。
三 他の行政機関、独立行政法人等、地方公共団体の機関又は地方独立行政法人に保有個人情報を提供する場合において、保有個人情報の提供を受ける者が、法令の定める事務又は業務の遂行に必要な限度で提供に係る個人情報を利用し、かつ、当該個人情報を利用することについて相当の理由があるとき。
個人情報保護法第六十九条と第九十八条を踏まえると、以下であると推察されます。
行政機関の長等は、本人が同意がある時、個人情報を第三者に提供できる。
上記に違反して提供されているとき、本人は個人情報の提供の停止を請求できる。
なお、第六十九条以外の法令は下記の通りです。
個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十七号 令和五年法律第三十二号による改正)
第五章 行政機関等の義務等
第二節 行政機関等における個人情報等の取扱い
(個人情報の保有の制限等)
第六十一条 2 行政機関等は、前項の規定により特定された利用目的の達成に必要な範囲を超えて、個人情報を保有してはならない。
個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十七号 令和五年法律第三十二号による改正)
第五章 行政機関等の義務等
第二節 行政機関等における個人情報等の取扱い
(不適正な利用の禁止)
第六十三条 行政機関の長(第二条第八項第四号及び第五号の政令で定める機関にあっては、その機関ごとに政令で定める者をいう。以下この章及び第百七十四条において同じ。)、地方公共団体の機関、独立行政法人等及び地方独立行政法人(以下この章及び次章において「行政機関の長等」という。)は、違法又は不当な行為を助長し、又は誘発するおそれがある方法により個人情報を利用してはならない。
個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十七号 令和五年法律第三十二号による改正)
第五章 行政機関等の義務等
第二節 行政機関等における個人情報等の取扱い
(適正な取得)
第六十四条 行政機関の長等は、偽りその他不正の手段により個人情報を取得してはならない。
個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十七号 令和五年法律第三十二号による改正)
第五章 行政機関等の義務等
第二節 行政機関等における個人情報等の取扱い
(外国にある第三者への提供の制限)
第七十一条 行政機関の長等は、外国(本邦の域外にある国又は地域をいう。以下この条において同じ。)(個人の権利利益を保護する上で我が国と同等の水準にあると認められる個人情報の保護に関する制度を有している外国として個人情報保護委員会規則で定めるものを除く。以下この条において同じ。)にある第三者(第十六条第三項に規定する個人データの取扱いについて前章第二節の規定により同条第二項に規定する個人情報取扱事業者が講ずべきこととされている措置に相当する措置(第三項において「相当措置」という。)を継続的に講ずるために必要なものとして個人情報保護委員会規則で定める基準に適合する体制を整備している者を除く。以下この項及び次項において同じ。)に利用目的以外の目的のために保有個人情報を提供する場合には、法令に基づく場合及び第六十九条第二項第四号に掲げる場合を除くほか、あらかじめ外国にある第三者への提供を認める旨の本人の同意を得なければならない。
2.2 利用停止請求の手続
実際の手続きについては、下記の通りです。
個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十七号 令和五年法律第三十二号による改正)
第五章 行政機関等の義務等
第四節 開示、訂正及び利用停止
第三款 利用停止
(利用停止請求の手続)
第九十九条 利用停止請求は、次に掲げる事項を記載した書面(第三項において「利用停止請求書」という。)を行政機関の長等に提出してしなければならない。
一 利用停止請求をする者の氏名及び住所又は居所
二 利用停止請求に係る保有個人情報の開示を受けた日その他当該保有個人情報を特定するに足りる事項
三 利用停止請求の趣旨及び理由
2 前項の場合において、利用停止請求をする者は、政令で定めるところにより、利用停止請求に係る保有個人情報の本人であること(前条第二項の規定による利用停止請求にあっては、利用停止請求に係る保有個人情報の本人の代理人であること)を示す書類を提示し、又は提出しなければならない。
3 行政機関の長等は、利用停止請求書に形式上の不備があると認めるときは、利用停止請求をした者(以下この節において「利用停止請求者」という。)に対し、相当の期間を定めて、その補正を求めることができる。
2.3 利用停止義務
地方公共団体は、利用停止請求を受け、その請求に理由があると認める場合、下記の通り、個人情報の利用停止してなければならないようです。
個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十七号 令和五年法律第三十二号による改正)
第五章 行政機関等の義務等
第四節 開示、訂正及び利用停止
第三款 利用停止
(保有個人情報の利用停止義務)
第百条 行政機関の長等は、利用停止請求があった場合において、当該利用停止請求に理由があると認めるときは、当該行政機関の長等の属する行政機関等における個人情報の適正な取扱いを確保するために必要な限度で、当該利用停止請求に係る保有個人情報の利用停止をしなければならない。ただし、当該保有個人情報の利用停止をすることにより、当該保有個人情報の利用目的に係る事務又は事業の性質上、当該事務又は事業の適正な遂行に著しい支障を及ぼすおそれがあると認められるときは、この限りでない
2.4 利用停止請求への措置
地方公共団体は、利用停止か否かを請求者へ書面にて通知することが定められています。
個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十七号 令和五年法律第三十二号による改正)
第五章 行政機関等の義務等
第四節 開示、訂正及び利用停止
第三款 利用停止
(利用停止請求に対する措置)
第百一条 行政機関の長等は、利用停止請求に係る保有個人情報の利用停止をするときは、その旨の決定をし、利用停止請求者に対し、その旨を書面により通知しなければならない。
2 行政機関の長等は、利用停止請求に係る保有個人情報の利用停止をしないときは、その旨の決定をし、利用停止請求者に対し、その旨を書面により通知しなければならない。
3.整理
![](https://assets.st-note.com/img/1710381826029-Jh0CdeB4PW.png?width=800)
3.1 整理
地方公共団体における個人情報の適正な取り扱いについては、個人情報保護法第5章にて規定している。
教育委員会は地方公共団体の機関である。
本人の同意がある時、行政機関の長等は個人情報を提供できる。
上記に違反する場合、本人は利用停止請求ができる。
利用停止請求に理由があると認められる場合、行政機関の長等は利用停止しなければならない。
行政機関の長等は利用停止するか否かの決定を本人へ書面にて通知しなければならない。
(教育委員会は公立学校を所管している立場)
3.2 対応策
公立学校は教育委員会に所管されており、教育委員会は地方公共団体の機関の一つである、という関係にあります。
地方公共団体は、個人情報保護法に則らなければなりません。
PTAを退会したら、学校がPTAへ個人情報を提供する必要はありません。それを理由に個人情報の第三者提供の停止請求が可能であると考えます。
また、利用停止請求に対しての決定を書面で通知しなければならない旨を定められているため、学校が書面(個人情報利用停止請求書)を返却しない行為は、個人情報保護法を遵守していない可能性があると思います。
よって、学校が下記の対応を取る場合、私は自治体(市/都道府県)宛に個人情報利用停止請求の手続きを行うことが妥当と思いました。
PTAへの個人情報の提供を停止しない
「個人情報利用停止請求書」に署名し、返却してくれない
上記の対応を学校がとる場合、自治体宛に個人情報利用停止請求を行う旨を学校に通告することも一案かと思います。(牽制として)
なお、個人情報保護法の一部について、地方公共団体が手続きを別途規定しているケースもあります。
一度、学校を所管している自治体の関連する条例等を確認しておくことをお勧めします。
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