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イエス

 私は雨に濡れるのが子供の頃から好きだった。傘をさすのがめんどくさい、そもそも傘を用意し持ち運ぶのが煩わしいというのももちろんあったが。

 昨日の柔らかな白雨のなか走るのはとても気持ちが良かった。人工的では作りえないような流れと変数的な雨粒の中、コンクリートという人工物に溜まった水溜りを避けるアトラクションめいた遊びをしながら走るのは本当に楽しかった。

 生物学的には濡れるのは生命の危機につながるのに、雨を楽しめるというのは家に帰れれば、身体を温められるお湯やエアコン、身体をいたわってくれる純白のタオルが待っているからこそ、その生命の危機を克服した先の楽しさを享受したのだ。

 それに一番好きなのはここまで濡れたらどうでもいいかってなるのが好き。わざと汚い?水溜りに飛び込んだり、蹴飛ばしたりするのが好き。

 個人が自然と繋がり、社会規範や人間の価値観から逸脱し、自己を開放できる術を知っているのは幸福だと思う。

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