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マジックは、爆発だ!? ~個人的な経験からのフラッシュペーパー~

今回は、ホントに僕の体を痛めつつ(笑)
身につけた知識と経験を残しておきますね。

フラッシュペーパーに関してなのですが、あくまで
個人的な経験と、調べてみたことを土台にしておりますので
僕なんかよりも色々とご存じの方は
さらなるコンテンツをリリースしていっていただけると
ありがたいです。

正直ですね、僕みたいなレストランワーカーは
安易に使わない方がいいんですよ、火系は。
リスクがあるというのはご理解いただけると思うのですが
急にそういったものを見ると、どういった行動をとるか
分からない人などもいらっしゃるので、そういった
リスクを自分から向かっていく必要はないってことです。

まあ、でも、使ってきましたね。
最初は面白くって、とかでしたが
まあ、そういった時期はもう終わりましたので。

ちょっと話はそれますが、僕はマジックで爆破に携わったことが
あるんですよ(笑)。
僕の年代では少ないとは思いますが、爆破の瞬間は
まあ熱っついですよ。

なので、火の扱いには気をつけましょうね。

話を戻して、フラッシュペーパーですが、原料?は
ニトロセルロースという、平たく言えば火薬です。
たまにですね、紙に何かふりかけてとか思っている人がいるのですが
紙そのものが変性して、ああいった引火性の高い物質になっている
ってことです。

ウィキを見ていただければ、色々と分かると思うのですが
混酸(硝酸と硫酸を混ぜた物)に紙を通し、反応を止めたら
よく水洗いすると完成です。

なので、作業はシンプルなんですよ。
実験室とか入っている人なら(もちろん化学系ね)
全然すぐに作れます。

僕もこう見えても化学科の出なので
作ってみようかと思ったのですが
温度管理、廃液処理、洗浄の手間などを考えて
手を出すのを止めました。

さて、紙(セルロース)を変化させるわけですが
この分量が多ければ多いほど、燃える部分が多くなるっていうのは
なんとなく想像できると思うんです。

なので、かつて日本で作ってくださっている方がいたのですが
ミツマタとかこうぞといった和紙を加工したフラッシュペーパーが
あってですね、これがまた、すごい!

炎の厚みが尋常じゃない!
完全に火の壁ができますので。
あれを味わっている人にとっては、アメリカ製とかの
インディアンペーパーのようなモノを加工したペーパーの火は
薄いんですよね。

原材料が原材料だったので、結構高価なものでしたが
若いころは好んで使っておりました。

ペーパーを使っている人なら、1度や2度は
他のアイテムをダメにしたことがあると思います。
ペーパーそのものがぐずぐずになる位なら可愛いのですが
入れておいた封筒がボロボロになったり、近くにあった
金属部品が腐食したり、ゴムは溶けるわ革製品は変色するわ
結構被害があるかと思います。

コレ、まあ0にできるとは思わないのですが
ペーパーのクオリティが高いなら、問題になりにくいとは思います。

どういうことか、と言えば
混酸で処理した後に、水で洗浄するんですが
これ、60時間くらい洗浄するんですよ。
ざっと2日半くらいですよ。

これを十分に行ってないと、酸が残ってしまうんですね。
で、それがガスになって揮発していくんです。
なので、手元にあるフラッシュペーパーを嗅いでみて
硝酸の匂いとかするなら、少なからず
洗浄しておくことをお勧めします。

っていうか、硝酸の匂いってなんだよ!
って言われそうなのですが、こちとら化学科の出なので
自分の身を守るために、嗅覚はそれなりにしてないと
危機察知できないんですよ!(笑)

まあ、ツンとくる匂いがあったら、洗ってもいいかな??と。

硫化ガス、窒素ガスが出て、周りの金属などに
影響を与えてしまうわけです。

こういった事があるために、保存の仕方としては
風通しのいい冷暗所に保存する
というのはよく聞くと思います。

風通しが良い所、という理由は
ガスが出ても拡散してしまうようにです。

冷暗所というのは、劣化を早めないようにするためです。
温度が上がれば、ガスは出やすいし
日にあたったら紙は変色しますしね。

ちなみに、マジックの世界に出回っているフラッシュペーパーは
化合度合いはそれほどでもないはずです。
かなり高度に変性すると、非常に反応性が高くなり
紙同士がこすれただけで発火する、なんてことを読んだ覚えがあります。

そんな摩擦を減らすために、アルコール+水などで湿らせておく
という事をしておくのだそうです。
もちろん、温度が上がらないように、というのもありますが
摩擦を減らすため、というのが結構大きな理由のようです。

マジック世界で出回っているのは、そこまででもないので
乾いた状態で保存しても大丈夫でしょう。

なので、無理に湿らせておかないとって思わなくても
いいと思いますよ。もちろん水に湿らせておくのが安全ですが
変にぬらしても、かびちゃう可能性もあるので。
アルコールなどで除菌も含めて、ってしておいた方がいいのかも、ですね。

個人的には、紙の封筒に入れて、風通しのいい
日の当たらない場所で補完するのがいいでしょう。
日光を遮断する銀色の袋じゃないと!みたいな人もいるようなのですが
僕はあまりそこまでする必要はないと思っておりまして。

日に当たって紙の色が変わらないように、位でしょうかね。
どうせ、銀の袋でも中の温度は上がるでしょうし。
乾燥しないようにできるのなら、まあアリかもです。

湿っていると、ガスも出にくくなります。
もしかすると、液体にガスが吸われているのかもしれませんが
湿度が飛ばないレベルで密閉しないとダメですよ。

もしも、ジップタイプのビニールとかに入れておいて
劣化が進むと、袋の中にガスが充満するんですね、恐らく。
で、このガスがペーパーそのものを攻撃します。
なので、ペーパーがダメになっていくんです。
酸が残ってどんどん変性が進み、結果として綺麗に燃えてなくなる状態でもなくなり、時に潮解のような事も起こります。

個人的に一番ヤバいと思うのは、上記のような状況で
袋を開けた時ですね。
一気に酸素と反応をするのか、紙が熱くなります。
発火点を超えるとは思えないのですが、でも怖いくらいに熱くなります。

そして、ガスも一気に反応し白い煙が充満します。
しかもこれが目に来る(笑)。
いや、笑いごっちゃないのですが、明らかヤバい匂いもする。

僕は今まで数回こういった事を経験して、数十枚レベルで
ペーパーをダメにしました。
ちなみに、袋を開けてヤバいってなったら、すぐにその中に
水を入れて、温度が上がらないようにしてました。

で、いったん発煙と発熱が収まったら
紙の処理をしていかないと、なのですが
もうドロドロですし、しかも手で持つと手が黄色くなります。

コレ、高校くらいかな?で習う化学の反応です。
硝酸とタンパク質で起こる、キサントプロテイン反応が起こっているんですね。なので、たんぱく質そのものが黄色くなってしまい
ターンノーバーするまで、この色は取れません。

まあ黄色くなるだけじゃなくって、指紋もなくなりますよ。
もう、完全に手のたんぱく質がやられているなって分かります(笑)。

ここまで来なくても、悪くなったペーパーは
その段階で洗ったからって戻りません。
早い段階で洗って酸を落としておかないと、結局反応をし続けて
燃えにくい状態になってしまうんです。

ちなみに、反応としてはエステル化と言われるもので
これにはアルコールを使用することがあるのですが
濡れてるペーパーってかわきやすいじゃないですか?
なので、恐らくアルコールで反応を止めて大量の水を洗う
ってことをしていると思います。

そうすると、アルコールも残って水も残るので
揮発が早くなりますので。

実験室的に、アルカリを使うような手順がネットに出ていたり
しているのですが、個人的に大量生産の場合には
そんな過激なことはせんだろう、というのが感覚ですね。

まだ、とんでもなく洗浄する、という方が現実的な方法かと。
実験室的な手法で洗浄時間が短いのは、すぐに使用するから
という理由で、熱力学的には非常に不安定なペーパーと言えるでしょう。

色々とお伝えしてきましたが、急ぎならネットにでも入れて
1回軽く洗濯するくらいしてもいいと思います。
それほど急ぎではないなら、バケツに水はってそこに数日
入れておくだけでもいいんじゃないでしょうか?

適切にフラッシュペーパーを使いたいのでしたら
その特性も合わせて理解しておくといいと思います。

中国製のペーパーは、厚みも複数あったりして
厚いものは結構いい炎が出るのですが
結構匂いがすることも。これは洗浄が足りないからで
まあ、原価を安くするなら、どこかでコストカットをしないと
ってなるわけで。

もしオーダー来てから作っている、なんてなったら
そりゃあ洗浄時間を削るよね、ってことで。

ちなみに、混酸を作る際に高熱が出たり、混酸に紙を入れると
発熱したりがあるために、夏にペーパーの製作がされることが
少なくなります。

ある程度涼しい時期に、自分の使用する分の紙を手に入れて
洗浄しておくっていうのが安全な気がします。

今回のコンテンツ、是非活用してみてください。

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