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男前なマジシャンたち ~ルーカス編~

さて、今回は男前なマジシャンとして
韓国のステージマジシャン、ルーカスを取り上げたいと思います。

ルーカス、韓国名はキ・イソク
韓国ではプロフェッサーでもあり、沢山の教え子たちがいます。
彼が出てきてから、静かに現象起こすマニピュレーションの演技が増えましたね。

まあ、僕が言うまでもなく、すごいマジシャンなんですけどね。

まだ彼が国外ではほとんど知られておらず、あまりコンテストってものに
それほど興味を持ってなかった時期から、ある意味で世界に打って出ようという事で大会などに出始めた位の時期のはず。

「お前が出たら、お前が優勝だ」
と言われるほどの実力を既に持っていた彼は、コンテスト参加時に
使用する道具を全て隠されてしまったそうです。

実際の出番まではあと数時間、その中で仲間たちも手伝って
必要な道具をその場で作り、ミスのない演技を行い
そして受賞したという逸話を持っています。

彼の場合には、ギミックというよりも身体によって行う事の方が
多いので、純粋な道具さえあれば、どうにかなる部分が大きいというのも
あるでしょうね。

そんなこんながあってだんだんとルーカスの名前が知られてきた位のころ
彼のDVDがリリースされました。初期のアーテストシリーズですね
ビジュアルとシステム

これができた当初、ほぼ韓国国内のみのリリースで海外へは
彼もあまり熱心にリリースしていませんでした。
そんな中で、僕は彼が日本でレクチャーを行うと聞き岡山まで
出かけていって、レクチャーを受けて商品を扱わせてくれるように
直談判をしに行ったのです。

オンラインのショップの番頭として顔の見えない存在だからこそ
直接会って色々と確認したいと思って。

彼はその礼に答えてくれて、ルーカス商品の一部を
ある意味で独占で扱わせてくれたのです。

彼はただでさえ、日本人に対しての礼を尽くす人
彼よりも格上のマジシャンやパフォーマーへ
そういった感情を示すのは分かると思うのですが
マジシャンとして全然格下の僕にも、礼を尽くしてくれました。

彼のまじめさと日本人への敬意が分かるお話があります。

UGMのコンベンションで彼がレクチャーをしてました。
4つ玉とかシンブルとか、スライハンドのレクチャー内容です。
その会場の後ろで、ゲストであったケン正木氏が見てました。

「イヤー彼は上手いね、ホント!」
スライハンドの名手、ケン正木氏をしてもルーカスの手法や
見せ方は刺激的だったのでしょう、かなり熱心に見ていました。

レクチャー後に、ケン正木氏がルーカスに挨拶しに行きました
「素晴らしいレクチャーでした!」と少々興奮冷めやらぬテンションで
握手をしたら、ルーカスがしっかりと手を握り返して
「違います、私はあなたから習ったんです!」と。

一時期マジックというものが、ほぼ絶えていた韓国では
日本のマジックの情報から学ぶという期間が長かったようで
彼も多くのテクニックを日本人マジシャンのコンテンツから学んで
きたそうです。

なので、ルーカスのレクチャーでは
「これは百瀬の手法だ」「これは正木の手法だ」などと
日本人マジシャンのクレジットをしてくれています。
というか、下手な日本人マジシャンよりも、よっぽど日本人マジシャンの
クレジットができる人です。

もう、これだけでも、男前です。

僕の前でさえ、お酒を飲む際には顔を横に向けて飲みますので、彼は。
(韓国では目上の方の前では、横を向き飲み口を隠してお酒を飲むのが丁寧な作法とされていますが、今となっては古いしきたりと言えるものです。)

また、彼自身の謙虚さを示す部分として
韓国のマジシャン:ユホジンとコンテンストが一緒になることが
多かったのですが、その場合には、ホジンが1位でルーカスが2位
という事が多いようです。実際にFISMでもそうですね。

ルーカス曰く
「人々の思い描く理想のマジシャンというものを、ホジンは表現している。なのでホジンのアクトには人は本能的な感情を動かされる」
といった風の事を言っていました。

これは、自身のアクトにはそういった見ている人の感情的な動きを
起こしにくいという事を理解していて、そのうえでも
自分のスタイルを追求していくという意味が込められていると思います。

なので、僕が彼につけた二つ名が
「世界で一番魔法使いに近い男」

某ショップの商品紹介の文章にこのコピーを使いましたが
なんかネットでルーカスの記事が書かれているのを見て
普通に使われていたなあ(笑)

裏の意味として、ホジンが魔法使い、という事を含んだ
僕なりの表現です。

そんなルーカスなので、自身の教え子にも
マジックを教えることはできるが、マジックへのパッションの部分は
教えられないと。

なので、自身の教え子がUGMに出場した際
MASAYOさんに、賞としては負けた順位になりつつも
「MASAYOに負けてよかった、演技を見せられてよかった」
と言っていました。

MASAYOさんのパッション溢れる演技から、学んでいける部分が
沢山あり、若いうちにそれを学べるのはこれからの糧になる
という事です。

自分の限界や他人の能力など、非常に冷静に判断し
そして敬意を払うのもまた、カッコいいなあと思います。

商品に関してアドバイスなどをしたこともあり
「日本人のマジシャンの友人は沢山いるが
ビジネスパートナーと言えるのは洋介だけだ」と言われたことも。

ある意味で、己の道を進み、自身を磨き続ける
修行僧というか、ストイックな彼なのですが
それと同時に周りへの敬意も払う男前のマジシャンなのです。

一時期での、韓国内でのマジックの盛り上がりからしたら
だいぶ落ちつた状態になってしまっているので
色々と大変な所があるかもしれませんが
世界で一番魔法使いに近い男は、その魔法の鋭さを
今も磨いているはずです。

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