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テクニックと演じる状況 ~見えるものと見えないもの~

アロン・フィッシャー氏の「ペーパーエンジン」を訳したのは
だいぶ昔のことになってしまいましたが、確かそこで語られていたことに
テクニックと観客の注意力みたいなことがあったかと。

凄くざっくり言えば
ぼーっと見ている人としっかり見ている人で
テクニックを変える、と。
(効くテクニックが違う、的な)

確か、フラストレーションカウントを使う際などには
相手の意識レベルが少々ファクターになり
ぼーっと見ている人に向いているのです。

しっかり見ている人なら、しっかりと見せた方がいいという事で。

なので、フラストレーションカウントを使う際などは
相手がまだ注意してない時か、ある程度現象が進み
相手の頭がビジーになって、必要以上に情報を叩きこむ必要が
無い時なのでしょう。

そういった事を考えて、全体を構築してあると
「上手い構成になっている」
なんて感じになるわけです。

さて、このように、お客さんに合わせてテクニックを変えたり
と言うのはアロンに限ったことではなく、確か
アルフォンソも変えてくると聞いたことがありました。

お客さんにマジシャン的な人がいればそれはそれで
そうではないなら、それはそれで、みたいな感じで。

もちろん、そういった事関係なく
究極に研ぎ澄まされたテクニックを毎度容赦なく投げ込むっていう
ルセロみたいな手法も1つだと思うのですが
それって、体力とかマジックパワーを削られるじゃないですか?

レベルが高くって、いくら削られたって大丈夫ならいいのですが
僕ら普通の人間なら、できるだけ削られにくい方がいいわけで。

削られる分量を減らすか、元のパワーを大きくするか
(HPやMPの総量をアップさせる(笑))
回数減らして、気絶しないようにするか、なのでしょうかね。

相手の注意力に合わせて多少なりともテクニックを変化させる
と言うのは理解しやすいと思うのですが
目に見えるような部分だけではなく、目に見えない部分も
もう少し考慮する必要が出てくるような気がしてきました。

そのきっかけは、こちらのYoutube

「リアル陸奥圓明流」こと、雨宮先生のYoutubeなのですが
「思」と「念」という事をおっしゃられることがあります。
自分の思いが相手に伝わり、現象が変わると。

僕は武道や格闘技に関して門外漢ですが、自分の思いなどが相手の
反応を変えることは、なんとなく分かります。
マジックを通してそれを実体験してきましたので。

上記動画の最後の方で、互いに上級者だとわずかなことで
きちんと反応する、とおっしゃっています。

逆に、運動神経の悪い人や格闘技などの素人相手では
僅かな事柄で相手を動かすことはできないと言っています。
簡単に言えば、相手のセンサーが敏感ではないので、こちらがほんの少し
ノイズを出したところでそれに気づけないってことで。

なので、力で崩せばいいとおっしゃっています。
それを剛の技と。

この動画を見た時に、アロンの言葉を思い出したのです。
相手に合わせて、色々と変化させる必要があると。

相手の注意力の度合い、マジックへの期待値と言うか慣れも含め
実際には、関係性などに関してもでしょうね(催眠のように)
そういった事柄が密接にそして絶妙に影響してくる部分でしょう。

雨宮先生のように言語化出来ているのでしたら、むしろ
対応の方法も考えていくのですが、僕らマジシャンはなかなか
そういった言語化は難しいです。

なので、相手に応じて手法を変える、という事に行きつくことも少なく
そして行きついても、どういったファクターを考慮して
変えないといけないのか、経験的に学ぶしかないって感じで。

そう考えると、観客の状況に合うテクニックなどを
自然に選んでいるのではないでしょうかね?逆に。

つまり、いつも相手にしているお客さんが
注意力も高く、そしてマジシャンと良好な関係を持ってくれる
人ならば、まさに思と念をコントロールするような
手法を磨いていかないといけないでしょう。

そうではないなら、つまり、マジシャンに対して注意を払わず
認識レベルも低く、マジックを見慣れているわけでもない人なら
剛の技で行かないといけないわけです。

「酒瓶を背負って・・」みたいな事柄を言われますが
そういった部分もあるのかな?と。
演じるマジック、使うテクニックの磨かれ度合いなどから
逆に観客像が見えてくるんですよ、経験を積んだマジシャンからは。

なので、いつも演じている場の雰囲気が後ろに見えてくるんです。

さてさて、少し思考を進めて、もし自分とは全く異なるお客さんを
相手に演じている人のレクチャーを受けたとして
その人の観客が達人レベルだとします。
(もちろんマジシャンも達人レベル)

さて、その人の取る手法は、どういったモノになってくるか?
非常にサトルで磨き抜かれた手法が活用されていると
想像するのは難しくはないでしょう。

ではそれを全く違う観客の前で使ってみたら?
もちろん、上手く行くところもあるでしょう。
でも、多分に上手く行かず、勢いや力技の現象や手法の方が
相手のリアクションもあるために「ウケる」という印象に
なってくるような気がします。

何が良いのか、悪いのかという事ではなく
その場に合わせ、千変万化できる方がいいですよね?ってことで。

何かを学ぶ際にも、単にやり方などを学ぶだけではなく
その人の背景を理解して受けた方がいいのですが
まあ、こういった事柄があるわけです。

何にせよ、大事なことは相手をきちんと観察して
適切なレベルがどこになるのか、ってことを判断できるように
なることでしょう。

テクニックレベル、サトルティレベル、現象の選択など
自分の事とその周りを色々と考えてみてはいかが?

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