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2022-2023 横浜F・マリノス補強考察

2022年の横浜F・マリノスの戦力整理

3年ぶりに頂点に立った横浜F・マリノス。連覇に向けて、当然補強を行うことになるだろう。そこで、まずは2022年の現有戦力をまとめる。

これを見ればわかるように、左右のウイング(以下LWG,RWG)、センターフォワード(CF)、センターバック(CB)の補強は必至である。また、マルコス=ジュニオール、吉尾海夏のレンタルないし完全移籍があった場合は、トップ下(OMF)も補強の必要がある。一方で、全体的にはOUTの選手は想定よりは少なく、LWG,RWG分の人数が増える形になるのではないかと筆者は考える。また、CFG体制の下にいることも含めると、今年も理に適った補強をすることが十分に考えられるだろう。

2022-2023の補強の重要性

次に、2022-2023の補強の重要性について言及する。まず、2023年は、前年に引き続き、ACLを戦うシーズンになること、リーグ連覇を目指すとともに、Jリーグカップ、天皇杯のいずれかないしいずれもを獲得し、国内タイトルを複数獲得するシーズンになり得る、ということを念頭に置く必要がある。そのためにも例年以上に選手層のニーズが高くなる。そこで気をつけるべきポイントは、2019-2020のオフを糧にすることである。
ここで、2019-2020のオフについて簡単に振り返る。このオフの最重要課題は、ディフェンスの要であるチアゴ=マルチンスと攻撃的サイドバックのティーラトンの完全移籍での獲得だった。その上で、ACLを戦いかつリーグ連覇に向けて、効率良く補強を進めた。その過程で、オナイウ阿道、水沼宏太といったJ1の主力を獲得した一方、全体的にはJ2上がりの選手が中心となり、結果的にJ1を戦う上ではやや足りなかったところが露呈された。もちろん、新型コロナウイルスの影響により思うような戦い方ができなかった点もあるが、前年王者としてのオフシーズンの補強をするにあたって、この時の経験を糧にしてもらいたいと考える。もちろん、フロントは、必要なポジションには多少なりともお金をかけて補強している傾向もあり、そこまで悲観はしていないし、むしろ信頼している。どのような選手に交渉しに行くのか、それを期待したい。

2023年 補強優先度

ここまでを踏まえて、補強優先度としては以下のようになるだろう

GK:オビ→白坂? 完全移籍による加入はなく優先度は低め
RCB:實藤と畠中は出場機会を求めて移籍?25~29の世代の選手が欲しい
LCB:角田と同世代か25~29の世代の選手をターゲット。獲得できない場合は畠中を左にスライドか
RSB:松原は出場機会を求めて移籍?同世代か小池Rと競争できる選手を獲得
LSB:小池Yの成長に懸けるが、出場機会を求めて移籍もあるかもしれない
DMF:現時点で最も充実しているが、OMFで獲得できなかった場合、渡辺を1列前にスライドし、新たに補強か
OMF:マルコスが移籍の場合、吉尾が期限付き移籍であれば西村と競争できる選手を獲得
RWG:仲川の移籍が決定的。ヤンが戦力になりつつ、競争相手を獲得あるいは松田復帰?
LWG:25~29の即戦力が欲しいが、不可能なら樺山復帰?
CF:レオに移籍の可能性も。移籍の場合、その穴埋めは必至

2023年 補強リスト

以上の優先度を鑑みて、補強に相応しい、ある程度現実的なリストを挙げてみた。

補強候補
GK:白坂楓馬(鹿児島)
RCB:田中駿汰(札幌),ンドカボニフェイス(東京V)
LCB:中野伸哉(鳥栖)
RSB:半田陸(山形),白井康介(京都)
LSB:吉田豊(名古屋)
DMF:高嶺朋樹(札幌),河原創(熊本)
OMF:鈴木唯人(清水)
RWG:藤井智也(広島),金子拓郎(札幌),小柏剛(札幌)
LWG:小屋松知哉(柏),松田天馬(京都)
CF:町野修斗(湘南),山岸祐也(福岡),佐藤凌我(東京V)

この辺りは、「やまじゅんのJクラブ研究所」やなどJリーグの移籍考察チャンネルのYouTuberなども言及しており、他のマリサポも同じような予想をしているのではないか。とりあえず、ポジション別に触れていこうと思う。

GK:白坂楓馬(鹿児島)は、マリノスから期限付き移籍により鹿児島ユナイテッドでプレーした。PA内こそ63%だったがPA外は87%のセーブ率で、ここまで全試合先発出場中。高丘と同世代で、かつて琉球からマリノスへ移籍したパク=イルギュの例もあり、オビに代わってマリノスへ復帰する可能性もあると見た

RCB:田中駿汰(札幌)は、マリノスが欲しいRCBにうってつけの選手と言える。ビルドアップ、対人守備をそつなくこなし、運動量もある点を含めてマリノスにもフィットするのではないか。ンドカボニフェイス(東京V)は、空中戦と対人プレーに強く、マリノスが課題とするセットプレーの守備にはありがたい存在ではないか。また、育成に長けるヴェルディとマリノスは補強におけるホットラインがあり、この辺りも期待できる

LCB:中野伸哉(鳥栖)も、ビルドアップという面で貴重な選手である。サガンではLSBでもプレーしており、ユーティリティという点も含めて補強したい選手である。中野選手が加入となれば、仮にLSBで小池裕太が出場機会を求めて移籍したとしても、LCBでは、エドゥアルド、角田、中野、LSBでは永戸、小池龍太、中野でローテーションが組めるのでこの点でも獲得したいところ

RSB:半田陸(山形)は、J2のRSBで注目株の選手ではないか。ボール奪取能力だったり、マリノスを優勝に導いたポステコグルー監督の右腕であったピーター=クラモフスキー監督が率いるモンテディオの選手ということもあり、戦術的にもうってつけの選手と言える。白井康介(京都)は、ドリブルと豊富な運動量という点でマリノスのサッカーにおけるポテンシャルはあると考える。適応には時間がかかると思われるが、これまでのマリノスの新加入選手の適応にかかった時間を考えると、後半戦には貴重な戦力になるのではないかと考える

LSB:吉田豊(名古屋)は、とにかく安定した稼働率を誇る選手である。年齢面を考えると、やや現実では起こり得ないが今季のグランパスでは出場機会が少なく、これまでの経験値の高さという点では面白い補強かもしれない

DMF:高嶺朋樹(札幌)は、ボール奪取能力の高さが売りで、展開力に期待できるDMFである。DMF以外でもLCBもプレーし、ユーティリティという面でも獲得したい選手の1人である。ただ、報道では柏レイソルへの移籍もあるが、続報がないこともあり、情勢は不透明。河原創(熊本)は、ポジショニングのセンスがあり、攻守の切り替えという点で貴重な選手と言える。実際に、争奪戦が繰り広げられていることから、それだけ獲得しがいのある選手だろう

OMF:鈴木唯人(清水)は、U-21日本代表でも活躍しており、テクニックの高さとフィジカルの強さに定評がある。マルコス=ジュニオールが移籍の場合、彼の穴を埋めるには最適の選手であるとともに、マリノスのプライマリーでもプレーした経験があり、即戦力として獲得したいところ

RWG:藤井智也(広島)は、サンフレッチェの戦術におけるハイプレスでキーとなる選手である。スピードが武器であり、移籍が決定的とされる仲川輝人の穴埋めとして獲得したい選手である。金子拓郎(札幌)は、精度の高いタッチと、ドリブルが売りの選手である。金子選手もまた、仲川選手の穴埋めとしてはうってつけの選手であり、楽しみな選手と言える。小柏剛(札幌)も、スピードが売りの選手だが、守備においても貢献度が高い点も特徴である。スタミナもあり、前線からの強度の高い守備も求められるマリノスでフィットすることは間違いないのではないか

LWG:小屋松知哉(柏)は、セカンドストライカーとして、リンクマンの役割を果たし、レイソルの前半戦の躍進に貢献した。また、持ち味としてドリブルがあり、サンガおよびサガン時代は左サイドのプレーが多く、さらに2019年オフにも一部で「マリノス・小屋松待望論」があったことも含め、この選手の獲得も興味深いのではないか。松田天馬(京都)は、164cmと小柄ながら強靱なフィジカルで当たり負けせず、テクニックにも優れ、パスセンスの高さが持ち味である。また、セットプレーのキッカーを務めることもあるなどキック精度の高さもあり、左からのクロスという点では獲得したい選手ではないか

CF:町野修斗(湘南)は、なんといっても日本人CFとして獲得したい選手である。何より、町野選手は2018年にマリノスの選手としてJリーグのキャリアを始めた選手であり、古巣復帰を願うマリサポも多いはず決定力の高さ、ポストプレーなど足下の技術の高さ、そして前線からの守備といった献身的な姿勢が彼の飛躍に繋がった。特に前2つは、かつてマリノスでプレーしたフリオ=サリナスを彷彿させる。筆者としても町野復帰は強く願う。ただ、本人的には海外へのステップアップを想定しているだろう。国内移籍をするならベルマーレに残留か海外移籍と思われるが、一度マリノスに来てから海外へ後押ししたい。山岸祐也(福岡)も、トラップなどボールを収める力と決定力の高さ、短い距離ながらもスピードを発揮する点が売りである。アビスパの戦術とマリノスの戦術は対極にあり、適応に時間を要すると思うが、ポテンシャルの高さはあり、獲得の意義はあると思う。佐藤凌我(東京V)は、同じく決定力の高さと前線からの守備という点で獲得したい選手である。実際に、移籍となれば争奪戦も必至であり、J2のCFでは小川航基選手と遜色ない最高のCFではないか

期限付き移籍中の選手の動向

続いて、期限付き移籍中の選手の動向について言及する。
まず、ポジション別で整理すると以下の通りである。

GK:寺門陸(山口),白坂楓馬(鹿児島)
RCB/LCB:平井駿助(青森)
RSB/LSB:池田航(岡崎)
OMF:天野純(蔚山現代),植田啓太(栃木),榊原彗悟(青森)
RWG:松田詠太郎(新潟),山谷侑士(横浜FC)
LWG:樺山諒乃介(山形),椿直起(水戸),南拓都(岩手)
CF:ンダウターラ(岡崎),津久井匠海(青森)

JFL勢に関しては正確なフォーメーションをインプットできてないが、おそらくこのような陣容と思われる。この中で、復帰するとしたらやはり白坂選手が筆頭になるのではないか。天野選手も復帰して欲しいが、本人は蔚山への完全移籍を希望しているように思える。また、復帰してもマスカット監督との相性は、ポステコグルーのそれと比べるとあまり合わない点もあると思われるので、そのまま完全移籍へ移行するだろう。他の選手に関しては他クラブないし同クラブでの期限付き移籍延長になるか、期限付き移籍が他選手と比較して長い山谷選手や椿選手は完全移籍になると思われる。一方で、LWGの獲得状況次第では、樺山選手の復帰もあり得るだろう。期限付き移籍継続の選手の多くは、OMFであり、将来のマリノスにおいて即戦力になれるように経験を積んで戻って来て欲しい。もちろん、他のポジションの選手も同様である

番外編 現実的ではないが獲得したら面白い候補

RWG:坂元達裕(オーステンデ),エリキ(長春亜泰),小野瀬康介(G大阪)
LWG:相馬勇紀(名古屋)、遠藤渓太(ブラウンシュヴァイク)
CF:小川航基(横浜FC)

この辺りの選手も獲得したら面白いのではないか、という選手である。坂元選手は、ドリブルが売りであり、年齢的にもちょうど良い。ただ、2022年にセレッソ大阪から完全移籍になったばかりなので、移籍金でネックになる。同様に、エリキもコストの面の他、外国人枠の関係もあって獲得に動くことはないが、エリキは今もマリノスへの愛情が強く、心情的には復帰して欲しいことに間違いない。また、小野瀬選手は、ガンバ大阪から契約満了となったが、年齢面や、過去にマリノスへの移籍を断った経緯を含めるとマリノス加入には至らないのではないか。相馬選手も一部で待望論があるようだが、こちらはトヨタという大口スポンサーがついているグランパスから獲得するのは難しいし、遠藤選手も国内復帰ならマリノスだと思うが、こちらも移籍金でネックになるのではないか。そして、CFは小川選手を欲しいところでもあるが、彼は横浜FCの選手としてJ1に臨むだろう。本人にとってもおそらく移籍する大義名分も今の時点ではないのではないか。マリノスも札束攻撃をするようなクラブではないし、実現性は低いと思われる。

あらゆるプランも考えていることを信じて

さて、ここまで補強構想について自分なりに考えてみた。しかし、上で挙げた選手はどこのクラブも獲得したい選手ばかりである。そう考えると、当然獲得できない選手も少なからず出てくるだろう。しかし、そうであってもフロントは、あらゆるプランを考えて次のシーズンに挑むことを信じたい。実際に、現有戦力の選手で言うと、渡辺選手のようにDMFもOMFもプレーできる選手がいるように複数ポジションをプレーできる選手がいるように、仮に獲得できなくても次のプランを考えて行動に移せるだけの土壌がある。また、マネーゲームになっても昨年の西村選手のように「マリノスのサッカーに魅力を感じて来た」選手もいることから、そのような選手が現れることも強く願う。いずれにしても2023年が、リーグ連覇と複数タイトル獲得、そしてACLベスト8以上を実現できる年になることを願い、筆、いや指を置くことにする

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