低賃金でも1年で100万円貯められる
凡人が収入を上げるのは難しい時代
私は今でこそ、老後資金問題が解決しているが、高卒で社会に出た当初は、正規雇用にも関わらず、労働集約型産業の典型例で初任給が安く、手取りが生活保護と大差ない状況が続いた。
それでも、質素倹約な暮らしを心がけ、必要最低限の生活費用を引き締めたことで、中央値以下の年収の割に、毎年100万円以上を貯蓄する習慣が身に付いていた。
そのことが幸いして、収入は人並み以下でも、資産運用で重要となる入金力は人並み以上を保持できていたことで、20代のうちに老後資金問題が解決する規模の資産を築くことができ、今ではお金に困らない生活が営めている。
昨今のインフレや人手不足が重なり、大企業では賃上げの機運が醸成されているが、日本の99.7%を占める中小企業に務める人からすれば蚊帳の外だろう。
大企業だとしても、トヨタと経団連が、終身雇用を維持するのは難しいと、事実上のギブアップ宣言をしている。事態を重く見た政府は、やれジョブ型雇用だの、リスキリングだの言い出しているが、これも専門能力を有している、学歴エリートにのみ与えられたオプション感が強い。
雇用が維持されるかも定かではなく、転職で収入が上がる人が4割程度であることからも、一社に長く居ようが、転職を繰り返そうが、凡人には収入を上げていくのが難しい時代のように思う。
だからこそ、不確実な収入を上げる努力よりも、無理なく確実に支出を減らすスキルを身につける方が、VUCAの時代には適していると思われ、私が培った知見が、少しでも何かの役に立つなら著述者冥利に尽きる。
毎月の生活費7.5万円の内訳
先取り貯蓄は常套手段だが、私も例に漏れず、毎月5万円+年2回のボーナス20万円で、100万円を貯める計画をもとに先取り貯蓄していた。
しかし、手取りが13万円しかないため、これを実現するためには、毎月8万円で生活しなければならない。
社会に出た当初こそ実家暮らしだったものの、社会に出てからは圧倒的に一人暮らしの期間が長く、最下限の手取り13万円で、先取り貯蓄しても生活が破綻することはなく、なおかつ貯蓄or投資にまわすお金がある環境をこれまで保持していた。
今もなお、試行錯誤してアップデートしているため、現在は7.5万円よりも低廉だが、荒削りで構築した当初の内訳の方が、普遍的な生活費のため多くの方の参考になると考えた。
家 賃:47,000円(管理費込み)
水道代:1,562円(東京都・呼び径13㎜・10㎥以内・隔月3,124円換算)
電気代:1,485円(自由化プラン・27円/Kwh・毎月55kWh換算)
ガス代:1,450円(自由化プラン・毎月5㎥換算)
スマホ:3,168円(無制限プランを固定回線代わりに)
食 費:20,000円(500円/日+飲み代5,000円換算)
えっ、それだけ?他にもあるだろ!と思うかも知れないが、毎月確実に掛かる固定費は、引き締めると自ずと衣食住に収斂していき、それ以外の費用は別になくても生きる上で困らないものが大半なのが持論である。
こうして、先取り貯蓄の5万円と、確実に掛かる7.5万円を差し引いた、5,000円〜が雑費や予備費となる形で、やりくりしていた。
これだけだと趣味のお金が皆無で、人として如何なものかと思うが、これに関しては、ボーナスの先取りで残った数万円と、残業代は全額突っ込むと心に決めていたため、なんだかんだで月換算で3万円くらいは確保できていたと振り返る。
役得はフル活用すべき
ちなみに、水道光熱費が安すぎるのではないかと突っ込まれそうだが、泊まり勤務のある鉄道員の役得で、風呂場が自由に使えること。派生して、自社線沿線に住めば、全線無料で乗れるため、電車賃が掛からないこと(民鉄のみ)。駅構内で読み捨てられた週刊誌が休憩中に読めること。ビニール傘がいくらでも手に入ること※。これらの影響が大きい。
※正規の取扱いであれば、遺失物として鉄道会社が7日間預かった後、警察署に移管して、3ヶ月後に拾い主(=鉄道会社)の所有物となる。しかし都市部では数が膨大なうえ、使い捨ての性質が強く、特徴がないことから引き取り手はまず現れず、鉄道忘れ物市で売るほど高価なものでもないことから、最終的な処分に困ることが目に見えているため、警察の方から端から移管しなくて良い暗黙の了解があり、現場預かりの体でしばらくエキ専用カサシャアザクみたいに記すなwとなり、事務室から溢れた分が有耶無耶になっている。
風呂場、電車賃無料、週刊誌、傘は鉄道員特有かも知れないが、誰にでも仕方なくその仕事をするうえで、役得と言えるカードがある筈だが、多くの人は日本特有の恥の文化からか、そのカードを切らずに生活している。
仕事上の役得がなくとも、市民の役得として、図書館を活用することで、光熱費や書籍代が削減できるかも知れない。株主の役得として優待を駆使すれば、桐谷さんのようにタダで外食やカフェで一息ついたり、何本も映画を観たり、ボウリングやクレーンゲームで遊んだり、遊園地に行くこともできる。
そうした、ひとつひとつは大したことがない積み重ねを1年続けることで、低賃金でもチリツモで100万円という、まとまった金額が手元に残る。そうして染み付いたコスト意識は、今後、お金に困らない人生を送るうえで重要となるだろう。