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松竹梅で「竹」を選ばない消費性向。


極端の回避性?極端で結構。

 自転車に亀裂が見つかり、このまま使い続けると、いつ壊れてもおかしくない状態となったため、ミニベロから、普段使いできてそれなりに走る実用的なクロスバイスに乗り換える決断をしてはや数週間。

 その場の勢いでポチったものの、納車待ちの状態が続いており、仕方なく長く使う上で必要なアイテムを細々と揃えているが、ライトと鍵以外は買い直す格好となり、松竹梅で「梅」を選んできたツケを今になって支払っている。

 というのも、シティサイクルからあらゆる部品を削ぎ落として、コンパクトさに全振りしたミニベロと、あらゆる部品を削ぎ落として走行性能に全振りしたロードバイクを、普段使いできるレベルに落とし込んだクロスバイクでは、同じ引き算の美学でも設計思想が全く異なる。

 空気入れひとつとっても、一般的なチャリであれば、英式バルブ以外対応しておらず、対応する空気圧も適当で良かった。しかし、ロードで使われる高圧の仏式バルブではそうもいかない。

 空気入れなど空気が入ればそれで良いと、1,000円そこらの空気入れをAmazonギフト券で身銭を切らずに買ってこれまで使っていたが、結局、車種が変わったことで、バルブと空気圧に対応できなくなり、パナレーサーの定番品に行き着いた。

 結果論ではあるものの、最初から最安値よりも3倍近いコストを支払い、幅広い車種に対応する代物を買った方が、大は小を兼ねるで合理的だった訳である。

迷った時は、選択肢の中で最良品を選ぶ。

 そもそも論、チャリ如きの買い替えでポンと10万円くらい出せる時点で、パンピーの金銭感覚とズレていることは自覚している。

 自転車なんて車輪2つにハンドル、サドルと保安部品が付いてて、ペダルを漕いで走ればそれで良い程度のものだろうから、それに対する予算の相場はコミコミ3万円程度なもので、その価格より+αの付加価値が求められているとしても、電動アシスト機能くらいだろう。

 純粋に3倍以上の金額を出してロードやクロスバイクを選んだところで、シティサイクルの3倍速く走れることはない。せいぜい1.5倍程度だろう。

 優待名人の桐谷さんみたいに、たとえ乗っているのがシティサイクルでも、競輪選手顔負けのスピードが出せる人なら、西武新宿線をぶち抜く伝説のシーンを生み出す程度のことは可能なわけで、割合良いチャリを買うのは完全に趣向品の領域となる。

 私の場合、自転車ガチ勢ではないためクロスバイクを選んだが、クロスバイクの中で10万円程度のグレードとなると、同じ価格でロードバイクのエントリーモデルが買える。別に情弱でぼったくられた訳ではなく、ロード乗りお友人が見ても、価格相応の構成となっており、松竹梅の「松」に相当する。

 冒頭の大は小を兼ねる理論に通じる部分だが、オーバースペックで小さいものの効用を併せ持つことで、宝の持ち腐れとなる可能性もある。

 しかし、もし私がサイクリング沼にハマった場合、空気入れの件と違い、改めて本体を買い直す必要がない。あれこれ改良できる余地を残しておく意味合いを兼ねて、選択肢の中の最良品を選んだわけで、そうなるとメンテして長く使う方向にインセンティブが働き、長期間使用することで真価を発揮する。

 何かを比較検討する際、コストの観点で妥協することが往々にしてあるが、こだわりがあって、価値を感じるものであれば、価格は妥協しない方が結果として長く使えて安上がりとなることは多い。

 迷った時ほど一番良いものを選択しておけば、不満が出て目移りする対象も、暫くの間は存在しない。特にこだわりがないものは「梅」で質素に、こだわる部分だけは出費を惜しまず「松」を選ぶ、一点豪華主義の方が、何でも「松」を選ぶ平均主義より、総合的な満足度は上を行くと考えるが、いかがだろうか。センスの違いでしかないため異論は認める。

平均主義と一点豪華主義の捻れ。

 若干、平均主義的な考え方をディスっているような気もするが、いかにも中流御用達な無○良品の株主だったり、アスクルの株主優待で半年毎に4枚贈呈される500円引きクーポンで、いかにも中流御用達なソレを、大して身銭を切らずに買っていたりする。

 そのため「松」を全否定する意図はないどころか、平均主義がマジョリティであることを前提に、投資銘柄を選定している意味で、個人的な趣向として平均主義に賛同はしないものの、それが多数派であり続ける未来には賭ける格好である。

 ただ実際に使ってみて、これのどこが無○”良品”なのだろう?これなら別に100均でも良くね?と思ったものを、個人的にはリピートしないだけの話であり、100均と聞いて食わず嫌いするのは違うと考える。

 例えば下にリンクを貼った自転車のベルは、価格は高いものの、デザイン性が優れた画期的な製品である。しかし、これのパチモンは100均にも置いてあり、素人目では見分けがつかないため、私は27倍の価格差に見合う価値は見出せずパチモンを購入した。

 とはいえ、100均のように単価の上限が決まっている薄利多売のビジネスは、円安と原材料費の高騰でジリ貧のため、消費者として便利に利用しても、投資家目線で投資銘柄にはなり得ない。

 そのような捻くれた感性が、一点豪華主義のような極端な消費性向を誘因して、一流品とパチモンが混在するカオスな環境を生み出しては、決して普通ではないセンスを醸成する。

 これをどう評価するかは受け手次第だが、そもそもこだわりが強い人間は、周囲の視線など気にも留めないのだから、突き抜けて変態呼ばわりされる方が理にかなっているわけで、これも立派な差別化戦略と言えるだろう。


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