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優待のQUOカード、溜まりがち。

株主優待の代名詞的存在。

 上場企業の3社に1社が導入しているとされている株主優待の中でも代表格となっているのがQUOカードである。事業内容や取り扱い商品が個人向けでない会社の場合、自社商品詰め合わせや、自社サービス利用券を配布するのが困難であるため、広く普及していて且つ有効期限のないギフトカードであるQUOカードが抜擢されているのだと思われる。

 企業側も株主を分散させたい思惑から、株主優待制度そのものが1単元だけ保有する時に最もコスパが良くなるように設計されている銘柄が大半であり、大口投資家や株主優待制度そのものがない海外の投資家からすれば別途コストの要する優待を設ける位なら、その分を配当金として還元して欲しいのが本音だろう。

 実際に日本たばこ産業(2914)は2022年12月権利付き確定日を最後に優待を廃止して、以後は配当を充実させる形で株主還元を強化すると謳っている。

 それでも、株主優待は事実上の非課税であることに大きな価値がある。厳密には雑所得に区分けされ、年間の所得が20万円を超えた場合は確定申告が必要になるが、各々の優待の評価額を算出するのが現実的ではないことや、物品として送付されて消費した場合、物品の取引そのものに貨幣経済を介していないことから、所得として証明することが難しい側面がある。

 それ故に優待名人の桐谷さんですら、Twitterにて「株主優待には税金がかかりません」と呟いており、推定で100万円単位で優待を受け取っている人ですら申告しなくても税務調査は行われないのだから、事実上の非課税なのである。

 仮に100株保有で1株あたりの年間配当10円の場合と、100株保有で配当は無いものの年に1回1,000円分のQUOカードが送られる場合、税引き前は同じ1,000円だが、配当金の場合は所得税と住民税合わせて20.315%が徴収されるため、実質的な入金額は797円となってしまう。所得が330万円以下であれば配当控除によって税率を7.2%まで圧縮可能だが、それでも928円であるのに対して、QUOカードの場合は1,000円がそのまま使えるのである。

 つまり、優待で受け取るよりも配当金で好きなものを買った方が良いと考える人は、20.315%若しくは7.2%の税金を余計に支払っており、商品を2割ほど高値で買っているのと変わらないのである。

 それらを考慮すると、生活する上で使いそうなものを優待で受け取ることで非課税の恩恵を受けつつ、生活コストを引き下げて収入が同じでも手残りを増やすことができるのである。

 1万円を給与所得で増やそうとすれば、一般的な労働者は税金や社会保険料などが2割程度差し引かれるが、生活費用を削減した場合、削減した分がそのまま手残りになるため、非課税で優待を受け取って生活費用を削減するのは節税の観点では二度美味しいのである。私が保有している優待銘柄の一部は下記で紹介している。

使い切る前に新しく届く。

 そんなQUOカードであるが、優待名人の桐谷さんのように、保有銘柄が600社とかのレベルになってくると、使い切れずに100均で売っているような、すっきりカードケースが埋まる位の枚数をストックする羽目になる程度に、毎年何社からも届くようになる。

 初めの頃は1枚届くと株主になった実感があって嬉しく、1枚1枚有難く使用していたが、数十銘柄を保有するようになった今では、昨年の同時期に頂いた同じ額面のQUOカードが使い切る前の状態で、新しく届く無限ループに嵌っている。

 そのため、基本的には高配当株投資で配当利回りが4%を超える銘柄を中心に買い集めているが、生活費用が削減できる生活防衛優待に限り桐谷さん方式で、配当+優待利回りが4%を超えた場合に買い注文を入れるようにしている。

 しかし最近は優待の内容がQUOカードの場合、生活防衛優待としてはカウントせず、純粋に配当利回りのみで買い集めるように心がけ、積極的にQUOカード優待銘柄を買い集めるようなことはしていない。それくらい、嬉しい悲鳴ではあるが、気付くと新しく届いているのである。

倹約家だと用途が限定される。

 QUOカード加盟店(一部抜粋)を確認すると、事実上マツモトキヨシ一択となってしまう。
・コンビニエンスストア
→コピー機や収納代行、チケットの発券以外使わない。
・ドラッグストア
・ファミレス、カフェ
→株主優待の範囲でしか利用しない。
・ガソリンスタンド
→車を所有していないので使わない。
・書店
→図書館の新刊予約で基本的に出番なし。
(例外として過去に紀伊國屋書店で株主優待ハンドブックを購入。図書館に置いていない類の本は優待で買うしかない。)
・HMV
→そもそも利用しない。
・ホームセンター
→使える店舗がない。

 仮に年間で数千円〜数万円単位でQUOカードが届いたとしても、コンビニで使えば使い切れるだろう。しかし、10万円に満たない生活費用とアッパーマス層前後の金融資産によって経済的な独立を目指すLeanFIREを目指すドケチ倹約家としては、打出の小槌の如く湧き出てくる優待のQUOカードでさえ無駄な浪費に使うことが許せないのである。

 同じ商品を定価よりも安く買えるものに対して、わざわざQUOカードを充てがって定価で購入する必要性を感じず、あくまでも賢い買い物の支払い手段としてQUOカードが存在する場合のみ使用する。原則として価値の感じないものに対しては1円たりとも余計なお金を支払いたくはないのである。

 だから私は徒歩5分圏内にあるローカルなドラッグストアを利用せずに、数km先にあるマツモトキヨシまで日用品を買い求め、自転車で足蹴く通うのである。その姿はまるで桐谷さんのようだ。


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